10月になっても内定が無く、秋から応募できる会社の求人票を開きました。「固定残業代 〇万円(〇時間分)」「週休二日制:その他」「転勤の可能性:あり」と並んでいます。どの欄から読めば入社後の働き方が分かるのかが分からず、応募の手が止まっています。
この記事を読み終えると、求人票の項目ごとに読むところと、固定残業代の三つの表示が分かります。厚生労働省の公表事案の見方と、応募の前に確かめる手順、確かめる項目の一覧も手元に残ります。
この記事は、求人票の書き方から会社の良し悪しを決めつけず、給与・休日・残業の相場も、公的な出どころが無いので書きません。決まりは厚生労働省とハローワークの資料で確かめ、出どころと確かめた日を末尾の参考欄に載せています。例は、すべて架空のものです。
この記事の結論
求人票は、仕事の内容、就業場所と転勤、労働時間と時間外労働、休日、賃金、試用期間を、項目ごとに読みます。
固定残業代がある求人は、それを除いた基本給、何時間分でいくらか、超えた分を別に払うこと、の三つを確かめます。
分からない項目は応募の前に尋ね、職場情報と厚生労働省の公表事案も確かめてから応募します。
求人票に示される労働条件の決まり
会社が人を募集するときは、仕事の内容や賃金、労働時間などの条件を示すことが、職業安定法第5条の3で義務づけられています。ハローワークの求人票だけでなく、会社の採用ページの募集要項や求人広告も同じです。
厚生労働省の求職者向けのリーフレットは、最低限示す条件を挙げています。仕事の内容、契約の期間、試用期間、就業場所、就業時間と休憩、休日、時間外労働、賃金、加入する保険などです。
2024年4月からは、仕事の内容と就業場所の「変更の範囲」も加わりました。変更の範囲には、入社した直後だけでなく、将来の配置転換などの見込みも含まれます。
広告の紙面が足りないなど、やむを得ないときは、条件の一部を後で示すこともできます。その場合も、原則として面接などで最初に会うときまでに、すべての条件が示されることになっています。面接などの途中で条件が変わるときは、会社は変わった内容を示す必要があります。
新卒の応募者について、若者雇用促進法に基づく指針は、最初に示した条件を変えたり削ったりすることを不適切としています。同じ指針は、原則として内定を出すまでに、示した条件と、変更があればその内容を、書面で示すべきだとしています。
項目ごとに読むところ
ここでは、ハローワークの大卒等の求人票を例に、読むところを項目ごとに並べます。ハローワークのリーフレット「求人票(大卒等)の見方のポイント」と、「求人情報の見方」のページで確かめた内容です。会社の募集要項も、同じ項目を探して読みます。
仕事の内容職種・仕事の内容の欄
入社してすぐに担当する仕事と、将来に見込まれる仕事の変更の範囲が書かれます。変わる予定が無いときは、「変更範囲:変更なし」のように書かれます。
入社後に、職種をまたいで異動する場合もあります。変更の範囲に何が書かれているかを読みます。
就業場所と転勤就業場所・転勤の可能性の欄
就業場所には、入社してすぐに働く場所が書かれます。会社の所在地と違うことがあるので、住所を確かめます。
転勤の可能性が「あり」の求人は、転勤の範囲が「補足事項」の欄に書かれます。リーフレットは、「なし」でも遠くで研修をする場合や、将来に転勤を打診される場合があるとしています。転勤できない事情があるときは、面接などで伝えておくよう勧めています。
労働時間と時間外労働就業時間・時間外労働の欄
就業時間の欄で、始業と終業の時刻、休憩の時間を読みます。交替制や変形労働時間制、裁量労働制などのときは、詳しい決まりを「補足事項」の欄に書くことになっています。
時間外労働の欄は、早出や残業があるかと、「あり」のときの月平均の時間を読みます。時期によって残業の時間に差がある場合もあるので、気になるときは面接などで確かめます。
「36協定における特別条項」の欄が「あり」の求人は、特別な事情と延ばせる時間を書く欄も読みます。厚生労働省の上限規制の解説によると、時間外労働の上限は、原則として1か月45時間、1年360時間です。特別条項があっても年720時間以内などの上限があり、事業や業務によって扱いが違うものもあります。
休日休日等・週休二日制の欄
週休二日制の欄は、完全週休二日制なら「毎週」、ほかの形なら「その他」、週休二日制でなければ「なし」です。「その他」のときは、どういう形で休むのかの説明を読み、分からなければハローワークや面接で確かめます。
休日の欄とあわせて、年間休日数の欄も読みます。リーフレットは、休日に出勤が必要な場合もあることに注意するよう書いています。
有給休暇の欄の日数は、入社したときと6か月たったときに取れる日数です。取った日数の実績ではありません。
賃金賃金・手当の欄
月額は、基本給(a)と、毎月全員に決まって払われる手当(b)と、固定残業代(c)を足した額で示されます。金額は税込みで、ここから所得税や社会保険料などが引かれます。
家族手当のように人によって変わる手当は、特記事項の欄に書くことになっています。賞与と昇給の欄は前年度の実績で、入社後の待遇を約束するものではないとされています。
試用期間試用期間の欄
試用期間があるときは、その長さが「補足事項」の欄に書かれます。期間中に賃金などの条件が変わるときも、同じ欄に書かれます。
若者雇用促進法に基づく指針は、試用期間の中と後で条件が違うときは、両方の条件を示すこととしています。
どの項目も、詳しい説明が「補足事項」と「求人条件にかかる特記事項」の欄に書かれることがあります。最後に、この二つの欄を読みます。
固定残業代の書き方を確かめる
固定残業代は、名前にかかわらず、決まった時間分の時間外・休日・深夜の労働に対して、定額で払う割増賃金のことです。厚生労働省のリーフレットによると、若者雇用促進法に基づく指針は、固定残業代を採る会社に、次の三つを示すよう求めています。
固定残業代がある求人で示される三つ(厚生労働省のリーフレットから)
一つ目:固定残業代の分を引いた、基本給の金額
二つ目:固定残業代が何時間分で、金額はいくらか(計算のしかた)
三つ目:その時間を超えた時間外労働と、休日・深夜の労働には、割増賃金を別に払うこと
三つが読み取れない例(架空)
月給〇〇万円(固定残業代を含む)
三つが読み取れる例(架空)
基本給 〇〇万円(固定残業代を含まない額)。固定残業代 〇万円(〇時間分の時間外労働に当たる額で、残業が〇時間に満たない月も支給)。〇時間を超えた分と、休日・深夜の労働の割増賃金は、別に支給。
→ 読み取れる例には、引いた基本給、何時間分でいくらか、超えた分を別に払うこと、の三つが入っています。
固定残業代(c)が「あり」の求人には、固定残業代に関する特記事項の欄もあります。会社は、決まった時間を超えた分を追加で払う旨を、この欄に書くことになっています。
固定残業代が、手当(b)の欄に書かれている場合もあると、ハローワークの「求人票の見方」の資料にあります。手当の名前だけで中身が分からないときや、三つのどれかが読み取れないときは、応募の前に尋ねます。ハローワークの求人は、窓口で尋ねると、職員が会社に電話で詳しい内容を確かめることもできます。
厚生労働省の公表事案の見方
厚生労働省は、労働基準関係の法令に違反した疑いなどで公表された事案の一覧を、ホームページに載せています。掲載の基準によると、一覧に載るのは次の二つの事案です。
一つは、法令に違反した疑いで送検し、公表した事案です。もう一つは、違法な長時間労働などが複数の事業場で見つかり、労働局長が企業の経営トップを指導して、公表した事案です。
一覧の行には、企業・事業場の名称、所在地、公表日、違反した法の条項、事案の概要、その他の参考事項が並びます。2026年10月9日に確かめた一覧は、令和7年9月1日から令和8年8月31日までに公表された分でした。違反の条項には、労働基準法のほか、労働安全衛生法や最低賃金法のものもありました。
掲載は、公表日からおおむね1年間です。1年がたって最初の月末に外され、1年より前でも、載せ続ける必要がなくなった場合などには外されます。
一覧を開く最初に
厚生労働省の「長時間労働削減に向けた取組」のページから、公表事案の一覧(PDF)を開きます。都道府県の労働局も、公表した事案を自分のホームページに載せています。
会社の名前で探す次に
PDFを開いた画面の検索で、応募したい会社の名前を探します。名前の似た会社と取り違えないよう、所在地も見比べます。
載っていたら書き写すあったとき
公表日、違反の条項、事案の概要を、求人票を書き写した表に書き足します。応募するかを考える材料の一つにします。
一覧に名前が無いことだけで、ほかの確かめを省かないようにします。この記事では、一覧に載っているかどうかで、会社の良し悪しは決めません。
応募の前に確かめる手順
求人票を読んだら、応募の前に次の順で確かめます。10月から応募できる会社の探し方は、内定がないときに見直すことの記事にまとめています。
求人票を保存する見つけたら
求人票を保存し、見た日を書き添えます。ハローワークの求人は、求人番号が分かれば、全国のハローワークで同じ求人を確かめられます。
項目を表に書き写す応募の前
前の章の六つの項目を、一社ずつ同じ順で表に書き写します。書かれていない項目と、意味が分からない項目に印を付けます。
職場情報を読む応募の前
大卒等の求人票には、職場情報の欄もあります。新卒採用者数と離職者数、研修の有無、前の事業年度の月平均の所定外労働時間などです。時間外労働の欄の月平均と並べて読みます。
載っていないときの求め方は、企業研究のやり方と就活の軸の決め方の記事にまとめています。若者雇用促進法に基づく指針は、情報を求めた学生を、それを理由に不利益に扱わないよう会社に求めています。
公表事案を確かめる応募の前
前の章の手順で、公表事案の一覧に会社の名前があるかを確かめます。
印を付けた項目を尋ねる応募の前か面接で
ハローワークのリーフレットは、分からない点を応募の前にハローワークに尋ねるか、面接で会社に確かめるよう勧めています。
面接では、逆質問の時間に一つずつ尋ねます。聞き方は、面接対策150問のQ131(最後に質問はあるか)とQ135(配属や評価で確かめたいこと)で練習できます。
内定のときは書面と照らし合わせる内定が出たら
ハローワークのページは、求人票は雇用契約書ではないとし、採用のときに書面で労働条件を示してもらうよう求めています。受け取った書面を、書き写した表と照らし合わせます。読み方は、内定後に確かめる労働条件の記事にまとめています。
面接対策150問には、働き方の考えを聞く問いもあります。Q127(残業や休日の働き方の考え)とQ99(譲れない条件)で、答えを用意しておきます。
応募の前に確かめること0 / 9 完了
書き写した表は、内定が出るまで消さずに残してください。内定のときに受け取る書面と、求人票で読んだ条件を、同じ表の上で並べられます。
よくある質問
「週休二日制」と「完全週休二日制」は、同じ意味ですか?
ハローワークの求人票では、完全週休二日制なら週休二日制の欄が「毎週」、ほかの形なら「その他」と分けて書かれます。「その他」のときは、どういう形で休むのかを、ハローワークや面接で確かめます。
固定残業代がある求人では、決まった時間を超えて残業しても、残業代は出ないのですか?
若者雇用促進法に基づく指針は、固定残業代を採る会社に、超えた分の扱いも示すよう求めています。示すのは、決まった時間を超えた時間外労働と、休日・深夜の労働の割増賃金を、別に払うことです。求人票から読み取れないときは、応募の前に尋ねます。
公表事案の一覧に、応募したい会社の名前はありませんでした。
一覧に載るのは、送検して公表した事案などで、掲載は公表日からおおむね1年です。一覧だけで確かめを終えずに、求人票の項目と職場情報を読み、分からない項目を尋ねます。
求人票と、内定のときに示された条件が違っていました。
若者雇用促進法に基づく指針は、条件を変えるときは変わった内容を示し、理由を聞かれたら説明するよう求めています。違うところを書き出して尋ね、条件は書面で受け取ります。困ったときは、都道府県労働局などの総合労働相談コーナーにも相談できます。
参考にした公的資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確かめたものだけを書いています。確かめた日も添えています。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人票(大卒等)の見方のポイント」(リーフレット、PDF)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「求人情報の見方」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「求人票の見方」(PDF)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人情報(大卒等)の入力のポイント」(事業主向け、PDF)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!(求職者の皆さまへ)」(リーフレット、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」(リーフレット、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「長時間労働削減に向けた取組」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省労働基準局監督課「労働基準関係法令違反に係る公表事案(令和7年9月1日~令和8年8月31日公表分)」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案のホームページ掲載について」(公表事案のホームページ掲載の基準、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
内定のあとに書面で確かめることと、10月から応募できる会社の探し方の記事を並べておきます。
【完全無料】
働く条件の希望から、合いそうな職種を聞く
はじめに状況をお聞きします。そのうえで、合いそうな条件や職種をお伝えします。求人は、探してほしいと言われたときだけお送りします。内定が出たあとも、相談を受けます。
LINEで相談する※相談は無料です。LINEで申し込めます。面談はオンラインで、最短当日です。初回の面談は10〜15分ほどが目安で、カメラオフ・私服で構いません。