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長期インターンに申し込む前に確かめること|有給・無給、労働者にあたる場合の考え方、募集要項と相談先

長期インターンに申し込む前に確かめることを解説する記事のアイキャッチ画像

授業の少ない曜日を使って、数か月にわたって会社で働く長期インターンに申し込もうとしています。募集の画面には「有給」とだけあり、時給なのか、交通費は出るのか、週に何日入るのかが読み取れません。無給の募集も並んでいて、何を比べて決めればいいのかが分からないまま、締め切りが近づいています。

この記事を読み終えると、有給・無給の扱いと、インターンの学生が労働者にあたる場合の考え方が分かります。申し込む前に募集要項と書面で確かめる項目の一覧と、困ったときの公的な相談先も手元に残ります。

この記事では、長期インターンが就活に有利かどうかや、募集の良し悪しの見立ては、公的な出どころが無いので書きません。労働者にあたるかも記事では判断せず、厚生労働省などの資料にある判断の要素を紹介して、相談先につなぎます。出どころと確かめた日は末尾の参考欄に載せ、例はすべて架空のものにしています。

この記事の結論

報酬を払うかは契約によりますが、参加者が労働者にあたる場合は、最低賃金額以上の賃金を払う必要があります。

労働者にあたるかは、呼び方ではなく、指揮命令の受け方や作業の中身などの実態から、個々に判断するとされています。

申し込む前に、仕事の内容・時間・期間・賃金・交通費・学業との両立を募集要項で確かめます。雇われる形なら、条件を書面で受け取ります。

この記事でいう長期インターンと、3省の類型

この記事では、数か月にわたって会社で働く形のものを、長期インターンと呼びます(この記事での呼び方です)。週に何日か通う形も、休みの期間にまとめて通う形も含めます。

文部科学省・厚生労働省などの3省がまとめた基本的考え方は、学生のキャリア形成支援の取組を四つの類型に分けています。そのうち「インターンシップ」と称するのは、就業体験が必須のタイプ3とタイプ4です。

タイプ3には、就業体験の日数、社員の指導、期間、実施の時期、情報の公表の要件があります。実施の時期は、学業との両立に配慮して、正課などを除き、学部なら3年と4年、修士なら1年と2年の長期の休みとされています。

数か月にわたるプログラムが、どの類型にあたるかは、名前ではなく募集要項の中身で確かめます。類型の見分け方は、インターンの選考対策の記事にまとめています。

有給か無給かと、賃金の決まり

3省の基本的考え方は、取組の形の例に、中長期のインターンシップや有給のインターンシップを挙げています。経費の負担や学生への報酬の扱いには、さまざまな例があるとしています。扱いは、基本的に大学などと会社が個別に協議して決めるのが適切とされています。

厚生労働省は、インターンシップを通じた採用日程に関連して、労働関係の法令で気をつけることをQ&Aにまとめています。このQ&Aも、参加者に報酬を払うこと自体は禁じられていないとしています。払うかどうかは、まずは参加者と会社の契約の中身によるという考え方です。

ただし、参加者が労働基準法の労働者にあたる場合は、労働関係の法令が適用されます。そのときは、最低賃金額以上の賃金を、労働基準法第24条の払い方の決まりに沿って払う必要があるとされています。

最低賃金は都道府県ごとに定められていて、額と発効日は、厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧で確かめられます。労働者にあたるかは、募集や契約の呼び方ではなく、実態から判断するとされています(次の章)。

インターンの学生が労働者にあたる場合の考え方

労働基準法第9条は、労働者を、事業に使われて賃金を払われる人と定めています。厚生労働省労働基準局の資料は、労働者にあたるかを、二つの基準で見るとしています。

一つは、他人の指揮監督の下で働いているか、もう一つは、報酬がその働きの対価として払われているかです。二つを合わせて「使用従属性」と呼び、契約の形式や名前にかかわらず、実態から個別に総合的に判断するとされています。

インターンシップの学生については、平成9年に出た通達があり、同じ資料に収められています。通達の考え方は、次のとおりです。

インターンシップについての通達の考え方(平成9年9月18日付けの通達から)

あたらない場合:実習が見学や体験のためのもので、業務の指揮命令を受けているとはいえないなど、使用従属関係が無いとき。

あたると考えられる場合:直接生産活動に携わるなど作業の利益や効果が会社に帰属し、かつ、使用従属関係があるとき。

判断のしかた:それぞれの実態に即して行う必要がある。

同じ資料は、具体的な判断基準が、昭和60年の労働基準法研究会報告で整理されているとしています。報告は、たとえば次の点を判断の要素に挙げています。

研究会報告が挙げる判断の要素(一部)

仕事の依頼や指示を、断る自由があるか

仕事の中身や進め方について、具体的な指揮命令を受けているか

働く場所と時間が指定され、管理されているか

報酬が、時間をもとに計算されるなど、指揮監督の下で働いたことへの対価になっているか

この記事では、どの要素にあてはまれば労働者になる、とは書きません。資料は、要素を合わせて、実態から総合的に判断するとしているからです。迷ったときは、後の章の相談先に、募集要項と働き方の記録を持って尋ねます。

厚生労働省のQ&Aによると、労働者にあたる場合、会社は労働基準法や最低賃金法などを守る必要があります。労働時間や休憩・休日、賃金の払い方も、その法令に沿って扱われます。3省の基本的考え方も、会社と学生の間に使用従属関係があるときなどは、労働関係の法令が適用される場合があるとしています。

申し込む前に、募集要項で確かめること

3省の基本的考え方は、タイプ3の要件の一つとして、決まった項目を募集要項などに載せて公表することを挙げています。項目は、プログラムの目的、時期・期間・場所、無給か有給か、就業体験の中身と受け入れる職場などです。

長期のプログラムがタイプ3にあたらない場合も、これらの項目は、募集要項を読むときの手がかりになります。書かれていない項目は、申し込む前に問い合わせ先に尋ね、答えをメールなどで残します。

申し込む前に、募集要項で確かめること0 / 9 完了

書かれていない項目を尋ねる文の例(架空)

〇〇株式会社 インターンシップの募集ご担当の方へ

〇〇大学の〇〇〇〇です(〇〇学部〇年)。長期インターンの募集を拝見し、申し込みを考えています。

申し込みの前に、三点を教えていただけますでしょうか。時給の額と支払日、交通費の扱い、大学の試験期間中の勤務日の決め方です。

三点が分かりましたら、改めて申し込みの手続きを進めます。

3省の基本的考え方は、タイプ3では、学生が学修の時間を取れるよう十分に配慮する必要があるとしています。長期のプログラムでは、授業と試験の予定を先に書き出し、勤務の曜日と時間を並べてから申し込みます。両立の記録は、面接対策150問のQ75(学業と課外活動の両立)に答える材料にもなります。

同じ基本的考え方は、現場の安全の確保について、受け入れる会社が責任をもって対応する必要があるとしています。万一の災害補償も、大学などと事前に協議して、責任の範囲を明確にすることが重要とされています。厚生労働省の「確かめよう労働条件」によると、雇われて働く人は、働き方に関係なく労災保険の対象です。

雇われて働く形なら、条件は書面で示される

会社が働く人を募集するとき、職業安定法は、労働条件を示すことを義務づけています(厚生労働省のQ&A)。厚生労働省の求職者向けのリーフレットは、募集のときに最低限示す条件を、次のように挙げています。

募集のときに示される労働条件(求職者向けのリーフレットから)

業務の内容、契約の期間、試用期間、就業の場所

就業時間、休憩時間、休日、時間外労働

賃金、加入する保険、受動喫煙を防ぐ措置、募集する会社の名前

(2024年4月から)業務と就業の場所の変更の範囲、有期の契約を更新する場合の基準

やむを得ない事情で一部を後に回すときも、会社は、面接などで最初に接するまでに、すべての条件を示すのが原則です。面接などの途中で条件が変わるときは、変わった中身を示す必要があります。

労働契約を結ぶときは、労働基準法第15条により、労働条件が示されます。契約の期間、働く場所と仕事、時間と休み、賃金の決め方と払い方、辞めるときの決まりなどは、書面で示すこととされています。本人が望めば、印刷できる形のメールなどで受け取ることもできます。

募集要項と並べる書面を受け取ったら

募集要項と、説明や面接で聞いたことのメモを、受け取った書面の横に並べます。

違うところに印を付ける読み比べながら

仕事の内容、時間、期間、賃金、交通費の書き方が食い違うところに印を付けます。

契約の前に尋ねる署名の前

印を付けたところを、会社の担当の人に尋ねます。書面と違う答えだったときは、書面を直してもらえるかも尋ねます。

書面と記録を残す働き始めたら

書面は、期間が終わるまで手元に残します。働いた日と時間、作業の中身、受け取った賃金も記録しておきます。

労働条件通知書の項目ごとの読み方は、内定後に確かめる労働条件の記事にまとめています。その日の作業と聞いた話の記録の付け方は、インターンのあとにやることの記事にあります。

困ったときの公的な相談先

働き方や賃金のことで困ったら、総合労働相談コーナーに相談できます。窓口は、各都道府県の労働局や、全国の労働基準監督署の中などに置かれています。

厚生労働省のページによると、募集・採用やいじめ・嫌がらせを含む労働問題を幅広く扱い、学生や就活生の相談も受けています。専門の相談員が面談か電話で応じ、予約は要らず、無料です。

コーナーは、労働基準法などに違反する疑いがあるときは、労働基準監督署など、指導の権限を持つ部署に取り次ぐとされています。賃金や労働時間などの法令違反、仕事中の事故、労災保険の請求の相談は、労働基準監督署が窓口です。

近くの窓口の連絡先は、厚生労働省のページから、住んでいる地域で探せます。平日の夜や土日・祝日には、厚生労働省の委託事業の電話相談「労働条件相談ほっとライン」もあります。

男女雇用機会均等法の改正により、2026年10月1日から、求職者等へのセクハラを防ぐ措置が会社の義務になりました。厚生労働省のWebマガジンによると、求職者等にはインターンシップに参加する人も含まれます。相談は、会社の窓口のほか、大学のキャリアセンターなどや、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)にもできます。

相談するときは、募集要項、受け取った書面、働いた日と時間や作業の中身、指示を受けた人の記録をそろえます。大学を通じて申し込んだプログラムなら、大学の担当の窓口にも伝えます。

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募集要項は、申し込んだ日に画面を保存しておいてください。働き始めてから条件が違うと感じたとき、最初に示された条件と比べる材料になります。

よくある質問

無給の長期インターンは、法律に反していますか?

この記事では判断しません。厚生労働省のQ&Aは、報酬を払うかはまず契約によるとし、労働者にあたる場合は最低賃金額以上の賃金が要るとしています。労働者にあたるかは実態から判断されるので、迷ったら総合労働相談コーナーに相談します。

「業務委託」や「体験」と書かれた募集なら、労働者にはあたりませんか?

呼び方だけでは決まりません。厚生労働省労働基準局の資料は、契約の形式や名前にかかわらず、実態から個別に判断するとしています。指示の受け方や働く時間の決まり方を書き出して、相談先に尋ねます。

長期インターン中にけがをしたら、どうなりますか?

申し込む前に、けがをしたときの扱いを会社に尋ねておきます。厚生労働省の「確かめよう労働条件」によると、雇われて働く人は、働き方に関係なく労災保険の対象です。大学を通じたプログラムなら、大学の窓口にも補償の扱いを確かめます。

長期インターンは、就活に有利ですか?

この記事では書きません。外からは分からず、公的な出どころも無いからです。申し込むかどうかは、仕事の内容、時間、賃金、学業との両立を募集要項で確かめてから決めます。

参考にした公的資料

制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確かめたものだけを書いています。確かめた日も添えています。

厚生労働省労働基準局「労働基準法における労働者性の関連通達」(令和7年3月時点、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/001462702.pdf(2026年10月9日に確認)

労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日。厚生労働省のページに掲載のPDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001483481.pdf(2026年10月9日に確認)

厚生労働省「高い専門的知識や能力を有する学生を対象とした採用日程の設定関係Q&A(労働関係法令等との関係で留意すべき事項)」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001173553.pdf(2026年10月9日に確認)

文部科学省・厚生労働省ほか「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」(令和4年6月13日一部改正、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000949684.pdf(2026年10月9日に確認)

文部科学省「大学等におけるインターンシップの推進」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/sangaku2/1346604.htm(2026年10月9日に確認)

厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/(2026年10月9日に確認)

厚生労働省「確かめよう労働条件」アルバイトをする前に知っておきたいポイント
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/parttime/(2026年10月9日に確認)

厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!(求職者の皆さまへ)」(リーフレット、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/001114167.pdf(2026年10月9日に確認)

厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「採用時にはどのような労働条件が明示されるのでしょうか?」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/koyou/q1.html(2026年10月9日に確認)

厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html(2026年10月9日に確認)

厚生労働省「労働基準行政の相談窓口」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kijyungaiyou/kijyungaiyou06.html(2026年10月9日に確認)

厚生労働省 Webマガジン「求職活動等をする方を守るために ― 求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の新ルール」(2026年9月1日)
https://www.mhlw.go.jp/web_magazine/series/20260901.html(2026年10月9日に確認)

公的機関のページは改められることがあります。手続きの前に、そのときのページで確かめてください。

インターンシップの類型の見分け方と、労働条件の書面の読み方の記事を並べておきます。

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この記事を書いた人

就活ノート編集部

Only Life 就活ノート

体育会学生の新卒就職支援を専門にする Only Life 株式会社の社内チームで、エントリーシートの添削と模擬面接を担当しています。面接対策150問や公的機関の資料を使った記事は、本文末の参考欄や根拠欄に出どころを記しています。読んで納得して終わる記事ではなく、読みながら手が動く記事だけを出す方針です。

編集・監修:就活ノート編集部 / 担当領域:就活の進め方・公的資料の確認 / 編集部の記事一覧