面接の終わりに「最後に、何かご質問はありますか」と聞かれました。準備していた質問は、話の途中で説明されてしまっています。とっさに「特にありません」と答えて部屋を出たあと、あれで良かったのかが気になっています。
この記事を読み終えると、面接の前に用意しておく質問の候補と、その場で質問を作り直すための手順が手元に残ります。必要なのは、志望する会社について調べたメモと紙一枚です。聞く質問を作る作業と、聞かない質問を外す作業を分けて進めます。
先に、この記事が採らない立場を書いておきます。面接官に好印象を与える決まった質問の一覧は扱いません。その会社と自分に合っていない質問を覚えても意味が薄いので、自分の判断に必要なことから質問を作る手順だけを説明します。
この記事の結論
逆質問は、相手に聞かせる場ではなく、自分が入社を判断するための材料を取りに行く時間です。
聞く質問は、自分の考えを一言添えて、相手にしか答えられないことを聞く形にします。
調べれば分かること、待遇だけに寄った質問、相手の立場で答えられない質問は避けます。
逆質問の時間に確かめられていること
逆質問は、面接のなかで唯一、質問する側と答える側が入れ替わる時間です。面接官は、ここで何を聞くかによって、応募者がこの会社のことをどこまで考えてきたかを見ることができます。質問の中身は、そのまま準備の深さとして伝わります。
同時に、逆質問は応募者にとっても情報を取れる時間です。会社の説明やウェブサイトに載っていないことを、働いている人に直接聞ける場でもあります。相手に良く見せるためだけに使うのは、もったいない時間です。
この二つは、矛盾しません。自分が入社を判断するために本当に知りたいことを聞けば、それが準備の深さとして伝わります。評価を気にして用意した質問は、その会社でなくても聞ける形になっていないかを確かめてください。
この記事で言う「逆質問」
面接の終わりに「何か質問はありますか」と聞かれて、応募者の側から面接官に質問する時間のことです。会社によっては、面接の途中や、面談の形で同じような時間がとられることもあります。
このサイトの面接対策150問では、逆質問を独立したテーマとして扱っています。悪い例は、待遇のことだけを続けて聞く質問(Q131)と、「質問はないです」と答える形(Q132)です。どちらも、その会社について考えてきたことが伝わりません。
聞く質問は「自分の判断に必要なこと」から作ります
聞く質問は、決まった一覧から選ぶのではなく、入社を決めるために何が足りないかから考えます。足りない情報が分かれば、それがそのまま質問になります。ここでは、質問を良い形にする要素を三つ挙げます。
自分の考えを一言添える
一つ目は、質問に自分の考えを添えることです。たとえば「調べた範囲では、現場での研修が中心だと理解しました」と前置きしてから、最初に任される仕事を聞きます。何を調べて何が分からなかったかが伝わり、相手も答える範囲を絞れます。
添える考えは、正しくなくても構いません。面接官が「そこは少し違っていて」と訂正してくれれば、それも新しい情報です。考えが外れていることを恐れて何も添えないより、添えたうえで確かめるほうが会話になります。
添える考えの材料は、志望理由と同じです。面接対策150問の志望理由の問い(Q106)では、会社の事業の特徴を一次情報から述べるよう整理しています。そこで調べたことが、そのまま逆質問の前置きになります。
相手にしか答えられないことを聞く
二つ目は、その面接官にしか答えられないことを聞くことです。会社の制度や数字は、資料を読めば分かることもあります。働いている人の判断や、仕事のなかで感じていることは、その人に聞かなければ分かりません。
たとえば「この仕事で、入社してから考え方が変わったことはありますか」という質問は、答える人によって中身が変わります。答える人ごとに違う答えが返ってくる質問は、聞く価値があります。
面接官自身について聞きたいことを問われる場合(Q133)もあります。そこでは相手個人の経験に踏み込む質問を一つ、答えやすい形にして、聞いた後の自分の受け止めも述べます。悪い例は、年収のように答えにくいことを聞く形です。
自分の判断にどう使うかが説明できる
三つ目は、その答えを自分の判断にどう使うかを説明できることです。一つだけ聞くならという問い(Q132)でも、なぜそれが自分の判断に必要なのかを添えるよう整理しています。理由を添えた質問は、面接官から見ても答えやすくなります。
良い質問を一つ作るには、その会社について調べた量がそのまま効いてきます。調べたうえで分からなかったことが、いちばん聞く価値のある質問です。調べる前に質問を考えると、調べれば分かることを聞いてしまいます。
評価を下げやすい質問の型
逆質問には、聞き方によって、準備が足りないと受け取られやすい型があります。どの型も、質問の中身が悪いというより、その場で聞く理由が伝わらないことが原因です。ここでは、避けておきたい型を挙げます。
一つ目の型は、調べれば分かることを聞く質問です。会社のウェブサイトや募集要項に書いてあることを聞くと、調べていないことが伝わります。気になる点があるなら、「募集要項では〇〇と書かれていましたが」と、調べたことを前提にして聞いてください。
二つ目の型は、待遇だけに寄った質問です。給与や休日、福利厚生は、入社を判断するうえで大事な情報です。ただ、それだけを続けて聞くと、仕事の中身に関心が無いように受け取られることがあります。
待遇について知りたいことは、先に募集要項で確かめてください。分からないことは、成果の測り方や支援の仕組みと結びつけて聞くと伝わり方が変わります。
選考で不安に感じている点を聞かれる問い(Q134)では、不安を一つ正直に出し、確かめたい事実を質問の形にして返します。待遇や働き方の不安も、この形にすると聞きやすくなります。
三つ目の型は、相手の立場で答えられない質問です。現場の社員に経営方針を細かく聞いたり、人事担当者に特定の部署の作業を聞いたりすると、相手は答えに困ります。相手の役職や仕事を考えて、その人が答えられる範囲で聞いてください。
四つ目の型は、はい・いいえで終わる質問です。「残業はありますか」のような質問は、答えが一言で終わり、会話が続きません。「忙しい時期には、どのように仕事を分担していますか」のように、相手が説明できる形に直すと話が広がります。
例(架空の質問):避けておきたい形
御社の福利厚生について教えてください。あと、残業はどれくらいありますか。休日は取りやすいですか。
例(架空の質問):考えを添えて、相手が説明できる形
募集要項を読んで、若いうちから担当を持てる環境だと理解しました。担当を持ち始めた頃に、先輩の方からどのような支援を受けられたのかを伺えますか。自分が最初の時期にどう学べるかを考える材料にしたいと思っています。
→ 直したほうは、調べたこと、聞きたいこと、その答えを何に使うかが入っています。待遇の話を避けたのではなく、自分の判断に必要な形に置き換えています。面接官は、自分の経験から具体的に答えられます。
上の二つは、どちらもこの記事のために作った例です。実際に誰かが使った質問ではありません。聞き方の違いだけを見てください。
面接の前に質問を作る手順
ここからは手を動かします。面接の前に質問の候補を用意し、その場で使えるように整えるところまでを進めます。志望する会社について調べたメモと、紙を一枚用意してください。
入社を決めるために知りたいことを書き出す
仕事の中身、育ち方、働き方、評価のされ方など、自分がその会社に入るかを決めるうえで知りたいことを紙に書き出します。ここでは質問の形にせず、知りたいことの見出しだけを書きます。
調べて分かったものを消す
書き出した見出しのうち、会社のウェブサイトや募集要項、説明会の資料で分かったものに線を引いて消します。消さずに残ったものが、質問の候補になります。分かった内容は、質問に添える考えとしてメモしておきます。
残った見出しを、考えを添えた質問の形にする
残った見出しを、「調べた範囲では〇〇だと理解しましたが」のように自分の考えを添えた質問に書き直します。はい・いいえで終わる形になっていたら、相手が説明できる形に直してください。
面接官の立場ごとに並べ替える
人事の担当者、現場の社員、役員など、面接の段階によって相手が変わることがあります。それぞれの立場の人が答えられる質問を分けて並べ、面接の段階に合わせて使えるようにします。
答えを何に使うかを一言で言えるか確かめる
質問の一つずつについて、その答えを自分の判断にどう使うかを一言で言えるかを確かめます。言えない質問は、聞く理由がはっきりしていないので、候補から外すか作り直します。
候補は、一つの面接で使う分より多めに用意しておくと安心です。面接の途中で答えが説明されてしまった質問は、その場で使えなくなります。使えなくなったときのために、別の見出しから作った質問を残しておいてください。
相手の立場で聞くことを変える
同じ会社の面接でも、面接官が誰かによって、答えられることが変わります。立場に合わない質問は、相手を困らせるだけでなく、聞いた側も十分な答えを得られません。ここでは、立場ごとに聞きやすいことの方向を整理します。
人事の担当者には、採用や育成の考え方、評価や配属の仕組みのように、会社全体の制度に関わることが聞きやすくなります。面接対策150問でも、配属や評価を聞くとき(Q135)は、成果の測り方と支援の仕組みを聞くよう整理しています。
現場の社員には、日々の仕事の進め方や、仕事のなかで難しいと感じることが聞きやすくなります。入社してから変わった考え方のように、その人の経験に関わることも向いています。会社全体の方針より、その人が実際にどう働いているかを聞くほうが答えが具体的になります。
役員や部門の責任者には、事業の方向や、これから入る人に期待していることのように、より広い視点の質問が向いています。ただし、公開されている経営計画に書いてあることを聞き直すと、調べていないことが伝わります。調べた内容を前提にして、その先を聞く形にしてください。
「特にありません」と言いたくなったとき
用意していた質問が、面接の途中で全部答えられてしまうことがあります。そのとき「特にありません」と答えると、関心が薄いように受け取られることがあります。質問が無くなったときにも、取れる手があります。
一つ目の手は、面接の中で聞いた話から質問を作ることです。面接官が話してくれた内容のなかで、もう少し知りたいと感じたところを掘り下げます。「先ほど〇〇とおっしゃっていましたが」と前置きすると、話をよく聞いていたことも伝わります。
説明会やOB訪問で印象に残ったことを聞く問い(Q110)でも、誰から聞いた何かを具体的に述べます。そこから自分が考えたことまで話します。面接の中で聞いた話から質問を作るときも、同じ順番が使えます。
二つ目の手は、用意していた質問が答えられたことを伝えたうえで、別の角度から聞くことです。「質問しようと思っていたことは、先ほどのお話でよく分かりました」と言ってから、そこから考えたことを確かめます。答えを聞いて考えが進んだことが伝わります。
どうしても質問が浮かばないときは、無理に作った質問をするより、丁寧に断るほうが誠実です。「お話を伺って、知りたかったことは分かりました」と理由を添えて答えると、関心が無いとは受け取られにくくなります。
面接の前日に確かめること0 / 6 完了
よくある質問
逆質問はいくつくらい用意すればいいですか?
決まった数はありません。面接の途中で答えられてしまう質問もあるので、一つの面接で使う分より多めに用意しておくと安心です。その場では、相手の立場と残りの時間を見て、いちばん聞きたいものから順に聞いてください。
給与や休日のことは聞かないほうがいいですか?
聞いてはいけないわけではありません。ただ、それだけを続けて聞くと、仕事の中身に関心が無いように受け取られることがあります。募集要項で分かることは先に確かめ、分からないことは成果の測り方や働き方と結びつけて聞くと、伝わり方が変わります。
最終面接でも、同じ質問をしていいですか?
同じ質問をしても構いませんが、相手の立場に合わせて聞き方を変えるほうが答えが得られやすくなります。最終面接では役員や責任者が相手になることがあります。事業の方向やこれから入る人への期待のように、広い視点の質問を用意しておくと使えます。
前の面接で聞いた答えを、次の面接で話してもいいですか?
話して構いません。前の面接で聞いた答えをもとに考えたことを伝えると、会社について考えを進めてきたことが伝わります。「前回の面接で〇〇と伺い、そこから考えたのですが」と前置きして、その先を確かめる質問にしてください。
この記事の主張は、このサイトの面接対策150問にある問いの組み立てと悪い例で言い換えています。数字や体験談は使っていません。
根拠:面接対策150問 Q131・Q132・Q133・Q134・Q135(逆質問対策)/Q106・Q110(企業志望理由)逆質問は面接の最後に来ますが、準備は自己紹介や学生時代の話と同じ材料から始められます。冒頭の自己紹介と、書類で書く題材の選び方も、続けて読める記事として並べておきます。
【完全無料】
用意した質問を、面接の前に一緒に見直す
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