最後のシーズンが近づき、部の指導者から「卒業したあとも競技を続けるのか」と聞かれました。続けたい気持ちはあります。けれども、仕事と練習を両立できるのか、競技を区切って就職の準備に移るのか、決められないまま応募の締切が近づいています。
この記事を読み終えると、選べる道を並べる手順と、道ごとに確かめることの一覧が手元に残ります。働きながら競技を続ける道については、勤務と練習・試合の条件を、求人票と労働条件の書面で確かめる手順もまとめています。国の情報の入口と、相談先も挙げます。
この記事では、どの道がよいか、実業団などの仕組みや会社の良し悪し、競技を続けると就職に不利かは書きません。決めるのは本人で、見立てを支える公的な出どころも無いからです。決まりは厚生労働省とスポーツ庁などの資料で確かめて出どころを末尾の参考欄に載せ、例はすべて架空にしています。
この記事の結論
卒業したあとに選べる道を並べ、道ごとに、決める期限と確かめることを書き出してから選びます。
働きながら競技を続けるなら、勤務時間・休日・雇用の形と期間を求人票で確かめます。遠征や大会の日の扱いのように、求人票に無いことは会社に尋ねます。
内定のときは労働条件を書面で受け取り、求人票と、尋ねて得た答えに照らしてから返事をします。
決めるまでの順番
この記事では、卒業したあとの道を三つに分けて考えます。働きながら競技を続ける道、競技を区切って就職する道、競技を続けてから就職を考える道です。ほかに考えている道があれば、四つ目として足します。
道を並べる最初に
考えている道を、紙に横に並べて書きます。迷っている道も、消さずに残します。
決める期限を書く次に
道ごとに、いつまでに何を決めるかを書きます。応募の締切、内定の返事の期限、続けるかどうかを部に伝える時期などです。
確かめることを書き出す期限の前に
次の章を見ながら、道ごとに確かめることを書き出します。確かめた答えは、どこで確かめたか(求人票、会社からの書面など)と一緒に書きます。
譲れない条件と照らす並べ終えたら
確かめた答えを、自分の譲れない条件と照らします。譲れない条件の書き出し方は、就活の軸の決め方の記事にまとめています。
決めた道と理由を書く最後に
選んだ道と、その理由を一文ずつ書いておきます。決める前に、並べた紙を部の指導者や家族に見せて話すこともできます。
選べる道と、それぞれで確かめること
働きながら競技を続ける
会社に雇われて働きながら、競技を続ける道です。勤務と練習・試合が同じ週に重なるので、勤務時間、休日、遠征や大会の日の扱い、雇用の形と期間を確かめます。どこから話が来た会社でも、雇われて働くなら、確かめることは同じです。
確かめ方は、このあとの二つの章で、求人票、労働条件の書面の順に書きます。
競技を区切って就職する
競技を区切る時期を決めて、就職の準備に移る道です。確かめるのは、区切る月と、応募したい会社の選考の時期です。引退の月ごとに、何から手をつけるかは体育会学生の就活のページにまとめています。
区切ったあとも、休みの日に体を動かしたい、地域で続けたいといった希望があれば、働く条件の軸に書き足しておきます。
競技を続けてから就職を考える
卒業したあとも競技を続け、区切りがついてから就職を考える道です。確かめるのは、いつまで続けるかの目安と、卒業したあとに新卒の枠で応募できるかです。その間に会社に雇われて働くなら、一つ目の道と同じ条件も確かめます。
厚生労働省の指針は、学校を出た人にも新卒向けの募集への応募を認めるよう、会社に努めることを求めています。認める期間は、卒業してから3年間以上としています。努めることを求める決まりなので、応募したい会社の募集要項で、卒業した人も応募できるかを確かめます。
卒業したあとに使える国の窓口は、最後の章に挙げます。
働きながら続けるとき:求人票で確かめる条件
厚生労働省の求職者向けのリーフレットによると、会社は求人票や募集要項に、決まった労働条件を書かなければなりません。そのうち、練習や試合の予定と並べて読む項目は次のとおりです。
就業時間と時間外労働練習の時間と並べる
始業と終業の時刻、休憩の時間を、練習が始まる時刻の横に書きます。時間外労働の欄で、残業があるかどうかも確かめます。
休日大会と遠征の日程と並べる
休日の曜日や時期を、大会と遠征の日程の横に書きます。重なる日のうち、勤務の日にあたる日に印を付けます。
契約期間と試用期間雇用の形と期間
期間を区切った雇い方かどうかを確かめます。区切ってある場合は、契約を更新するときの基準と、更新の上限があるかも読みます。試用期間があるかどうかも見ます。
業務内容と就業場所の、変更の範囲区切ったあとの働き方
2024年4月から、業務と就業場所の変更の範囲も示されるようになりました。入社した直後だけでなく、配置転換などで将来変わりうる見込みも含めて示されます。競技を区切ったあとの仕事や勤務地を考える手がかりになります。
練習の時間を勤務に含めるか、遠征や大会の日をどう扱うかは、求人票に書く決まった項目には入っていません。書かれていなければ、会社に尋ねます。
リーフレットによると、求人票に書ききれない条件は、原則として、面接など会社と最初に会う時点までに示されます。分からない条件が残っていないかを、面接などで確かめることも勧めています。
答えが一つに決まらない聞き方(架空)
競技は続けられますか。
扱いを尋ねる聞き方(架空)
〇月と〇月に、XX日ずつ遠征があります。その日は勤務の日として扱われますか、休暇として扱われますか。休暇の場合は、どの休暇にあたりますか。
→ 尋ねる日と、扱いの選び方まで書くと、答えを労働条件の書面の休日・休暇の項目と照らせます。
面接で働き方を聞かれたときに、勤務と練習をどう両立させるつもりかを話せるようにしておきます。面接対策150問のQ127(残業や休日の働き方)とQ99(譲れない条件)で、自分の基準と理由を話す練習ができます。気になる条件を尋ねる切り出し方は、Q134(不安に感じている点)で練習できます。
内定のとき:労働条件を書面で確かめる
厚生労働省のQ&Aによると、労働契約を結ぶとき、会社は主な労働条件を書面で渡すことになっています(労働基準法第15条)。書面の項目は、契約の期間、更新の基準、就業の場所と業務、始業と終業の時刻・休日・休暇、賃金、退職などです。2024年4月からは、更新の上限と、就業の場所と業務の変更の範囲も加わりました。
卒業見込みの学生については、厚生労働省の指針にも定めがあります。募集のときに示す労働条件とその変更は、原則として、雇うことを約束したり知らせたりするまでに書面で示すべきだとしています。内定の連絡を受けたら、書面を受け取れているかを確かめます。
同じ指針は、卒業見込みの学生に最初に示した条件を、変えたり削ったりすることを不適切としています。示していなかった業務を足すことも同じです(あとで示すと先に断っていた事項は除きます)。条件が変わると知らされたら、変わる前と後を見比べられる書面を求め、理由を尋ねます。
内定の返事をする前に確かめること0 / 6 完了
書面の読み方の全体は、内定後に確かめる労働条件の記事にまとめています。転職の場面を例にした記事ですが、労働条件通知書の項目の読み方は新卒でも同じです。
国の情報と相談先
文部科学省が定めた第3期スポーツ基本計画には、デュアルキャリアという考え方が出てきます。競技者としての時期と引退後の時期を合わせた人生の設計を、アスリート自身が考えられるよう支える、という説明です。現役のうちから、二つのキャリアを並べて形づくれるようにすることも含まれます。
スポーツ庁は、アスリートが現役のうちから引退後のキャリアに備えられるよう、支援の事業を行っています。事業のページ(スポーツキャリアサポート支援事業)には、年度ごとの報告書が載っています。
働く条件や求人票の読み方に迷ったら、大学のキャリアセンターに尋ねるほか、新卒応援ハローワークでも相談できます。厚生労働省のページによると、使えるのは、大学などを卒業する予定の学生と、卒業後おおむね3年以内の人です。担当者を決めた個別の相談や、求人票の見方の説明を受けられます。
決めた道と理由は、並べた紙の端に、決めた日と一緒に書いておいてください。あとで迷い直したときに、何を確かめて決めたかを読み返せます。
よくある質問
どの道を選ぶのがよいですか?
この記事では書きません。決めるのは本人で、どの道がよいかを示す公的な出どころも無いからです。道ごとに確かめることを書き出し、確かめた答えを自分の譲れない条件と照らして決めます。
競技を続けると、就職に不利になりますか?
この記事では書きません。公的な出どころが無いからです。卒業したあとに応募するときは、卒業した人も新卒の枠に応募できるかを、応募したい会社の募集要項で確かめます。
遠征や大会の日の扱いは、どこに書かれていますか?
求人票に書く決まった項目には入っていないので、書かれていなければ会社に尋ねます。休暇として扱う場合、休暇は、労働契約を結ぶときに書面で示される項目に入っています。
求人票と、内定のときの書面で、条件が違っていました。
厚生労働省のリーフレットによると、面接などの途中で最初に示した条件が変わるときは、会社はその変更を示す必要があります。違うところに印を付け、返事をする前に会社に理由を尋ねます。
参考にした公的資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確かめたものだけを書いています。確かめた日も添えています。
厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!(求職者の皆さまへ)」(リーフレット、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「採用時にはどのような労働条件が明示されるのでしょうか?」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/
厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(令和8年10月1日適用、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「新卒応援ハローワーク」
https://www.mhlw.go.jp/
文部科学省「スポーツ基本計画」(第3期、令和4年3月25日、PDF)
https://www.mext.go.jp/
スポーツ庁「スポーツキャリアサポート支援事業」
https://www.mext.go.jp/
譲れない条件の書き出し方と、労働条件の書面の読み方の記事を並べておきます。
【完全無料】
競技と仕事の条件の整理を、一緒に
はじめに状況をお聞きします。そのうえで、合いそうな条件や職種をお伝えします。求人は、探してほしいと言われたときだけお送りします。
LINEで相談する※相談は無料です。LINEで申し込めます。面談はオンラインで、最短当日です。初回の面談は10〜15分ほどが目安で、カメラオフ・私服で構いません。