面接で「これまでで最大の失敗を教えてください」と聞かれる場面を想像して、手が止まっています。失敗の話をすると評価が下がりそうで、できれば小さな話で済ませたい。かといって、何を話せば安全なのかも分かりません。
この記事を読み終えると、面接で話す失敗の題材と、その話を組み立てる順番が手元に残ります。必要なのは、思い出せる失敗の候補を書き出す紙一枚です。題材を選ぶ作業と、話の順番を決める作業を分けて進めます。
先に、この記事が採らない立場を書いておきます。失敗を成功談に言い換えたり、失敗に見えない話を選んだりする助言はしません。失敗の質問は、都合の悪い事実をどう扱う人かを確かめる質問なので、そこを避けた答えは質問に答えていないことになります。
この記事の結論
失敗の質問で見られているのは、失敗の大きさではなく、事実を正直に言えるか、原因を自分の側で捉えているかです。
話す順番は、失敗の事実と影響、自分の判断のどこが抜けていたか、そのあと何を変えたか、です。
原因は「自分の能力が足りなかった」で止めず、どの時点のどの判断が抜けたかまで下ろします。
失敗の質問で確かめられていること
このサイトの面接対策150問では、失敗・挫折を独立したテーマとして扱っています。そこでは、この質問の意図を、都合の悪い事実を正直に言えるか、原因を他人のせいにしていないかを見るもの、と整理しています。立ち直り方に人柄が出る質問でもあります。
つまり、面接官が知りたいのは失敗の中身そのものより、失敗を前にしたときのその人の扱い方です。小さな失敗でも、扱い方が見える話なら質問に答えたことになります。反対に、大きな失敗でも、言い訳や他人の話で終わると扱い方が見えません。
失敗の質問は、続けて深く聞かれることを前提に準備しておきます。面接対策150問でも、最大の失敗を聞く問いのあとに、続けて聞かれる問いを並べています。原因の分析、立ち直り、同じ状況での変え方、謝った経験の四つです。
最初の答えは、深く聞かれても崩れない題材で組む必要があります。
この記事で言う「失敗」と「挫折」
失敗は、自分の判断や行動によって、うまくいかない結果を招いたことを指します。挫折は、その結果を受けて気持ちが折れたり、続けられなくなったりした状態を指します。面接では二つが続けて聞かれることがあるので、この記事では同じ出来事の前半と後半として扱います。
話す失敗を選ぶ三つの物差し
話す失敗は、大きさではなく、質問に答えられる材料が残っているかで選びます。ここでは、題材を選ぶときの物差しを三つ挙げます。三つともそろう題材が、深く聞かれても崩れにくい題材です。
自分の判断が入っている
一つ目は、その失敗に自分の判断が入っていることです。面接対策150問では、失敗を自分の判断ミスとして語るよう整理しています。誰かの指示に従っただけの話や、天候のように誰にも防げなかった話は、自分の扱い方を語る材料になりにくくなります。
自分の判断が入っているかは、「あのとき別の選び方ができたか」と自分に聞くと確かめられます。別の選び方が思い浮かぶなら、そこに自分の判断があります。思い浮かばない話は、題材の候補から外しておきます。
影響を言える
二つ目は、失敗によって誰に何が起きたかを言えることです。最大の失敗を聞く問い(Q36)では、失敗の事実と影響の大きさを先に出すよう整理しています。影響が言えない失敗は、聞き手から見ると、どの程度の失敗だったのかが分かりません。
影響は、大きく見せる必要はありません。誰の手間が増えたか、何が予定どおりに進まなかったかを、起きたままに言えれば足ります。言える範囲を超えて大きく話すと、深く聞かれたときに説明が続かなくなります。
そのあと変えたことがある
三つ目は、失敗のあとに自分で変えたことがあることです。面接対策150問の失敗・挫折のテーマでは、同じ状況をもう一度迎えて乗り越えた後日談があると強い、と整理しています。変えたことが無い失敗は、反省の話で終わってしまいます。
変えたことは、大きな仕組みでなくても構いません。確認の仕方を変えた、相談する相手を決めた、のような小さな変更でも、失敗から何を学んだかが伝わります。
事実と影響を先に話し、言い訳を前に置かない
題材が決まったら、話す順番を決めます。最大の失敗を聞く問い(Q36)は、状況、課題、自分の行動、結果の順に話すSTAR法で組むよう整理しています。面接対策150問では、STAR法を行動を問う質問の標準の形とし、行動の部分をいちばん長く話すのがこつだとしています。
順番のなかで最も崩れやすいのは、冒頭です。失敗の話になると、事情の説明や、忙しかったという前置きから入りたくなります。前置きが長いと、失敗の事実にたどり着く前に言い訳が続く形になります。
Q36 でも、言い訳の前置きをせずに話すよう整理しています。冒頭には、何が起きたかと、それが誰に影響したかを置きます。
面接対策150問の悪い例も、この形になっています。「忙しくて手が回らず」と始め、人手が足りなかったことを大きな要因として挙げる答えです。原因が自分の外に置かれているので、自分の判断がどこにあったのかが見えません。
面接対策150問の悪い例(Q36)
忙しくて手が回らず、確認が遅れてしまいました。人手が足りなかったことも大きな要因だったと思います。
例(架空の型):事実と影響を先に、判断を自分の側に置く形
〇〇の確認を任されていたとき、私は△△の時点で確認を後回しにする判断をしました。その結果、□□に遅れが出て、ほかの人の作業が増えました。気づいた時点で関係する人に経緯を伝え、自分の判断のどこが抜けていたかを考えました。
→ 直したほうは、何を任されていて、どの判断をして、誰に何が起きたかが最初の三文に入っています。忙しさや人手の話は、聞かれたときに補足すれば足ります。
上の直した例は、話の骨組みだけを示すために作ったものです。実際の出来事ではありません。〇〇や△△に、自分の失敗の事実を当てはめて使ってください。
原因は「能力不足」で止めず、工程まで下ろす
失敗の話には、ほぼ続けて原因を聞く質問が来ます。原因を聞く問い(Q37)では、原因を「能力不足」で止めず、どの工程が抜けたかまで分けて話すよう整理しています。
悪い例として挙げているのは、「自分の確認不足が原因です」と言い、次からは注意すると締める答えです。確認不足という言葉は、何を、いつ、どう確認していなかったのかを含んでいません。注意すると言われても、聞き手には何が変わるのかが分かりません。
工程まで下ろすには、失敗に至るまでの流れを時間の順に並べます。任されたとき、進めていたとき、異変があったとき、気づいたとき、のように区切ります。それぞれの時点で、自分が何を見てどう判断したかを書き出します。
そのなかで、判断が抜けていた時点が原因の場所です。
原因が一つの時点に見つかったら、その手前にもう一つ理由が無いかを確かめてください。なぜその判断で足りると考えていたのか、という問いです。面接対策150問でも、最大の失敗を聞く問いのあとに、当時その判断で足りると考えていた理由を聞く深掘りを想定しています。
原因を自分の外に置かないことと、自分を責めることは別です。工程まで下ろした原因は、自分の判断の場所を示すものであって、自分の価値を下げるものではありません。話すときは、時点と判断を述べることに集中すれば足ります。
立ち直りと、次に変えることの話し方
原因の次に聞かれやすいのは、そこからどう立ち直ったかと、同じ状況ならどこを変えるかです。どちらも、気持ちの話で終わらせず、行動の話に下ろすと答えになります。
支えになったものは一つに絞る
立ち直りを聞く問い(Q38)では、支えになったものを一つ挙げ、それが具体的に何を変えたかを述べるよう整理しています。感謝で終わらせないことも書かれています。
悪い例は、友人や家族が励ましてくれたので前向きな気持ちを取り戻せた、と感謝で締める答えです。励ましがあったことは伝わっても、そのあと自分の行動の何が変わったのかが分かりません。支えになった人の言葉や行動を一つ挙げ、それを受けて自分が次に何をしたかまで話します。
変える箇所は時点で言う
同じ状況ならどこを変えるかを聞く問い(Q39)では、変える箇所を時間の順に特定するよう整理しています。「もっと頑張る」ではなく、判断の時点と打ち手を具体的に述べます。
悪い例は、次はもっと早めに確認して、同じミスをしないよう気をつける、と答える形です。気をつけるという答えは、何をいつ変えるのかを含んでいません。原因を工程まで下ろしてあれば、その時点で何を変えるかを、そのまま答えにできます。
変える箇所は、「もっと注意する」のように自分の頑張りに頼る形より、手順そのものを変える形で考えます。確認の時期を前に寄せる、状況を人に見える場所に置く、異変があったらその日に伝える、のような案です。手順を変える案のほうが、時点と打ち手として言いやすくなります。
迷惑をかけて謝った経験を聞かれたら
失敗の話とは別に、人に迷惑をかけて謝った経験を聞かれることもあります。面接対策150問の問い(Q40)では、謝った相手と場面を具体的に出すよう整理しています。謝罪の中身としては、事実・影響・対策を示します。
そのうえで、相手との関係がどう戻ったかまで話します。
悪い例は、遅刻して迷惑をかけたことがあり、すぐに謝って、それからは時間に気をつけている、という答えです。誰に、何を、どう伝えたのかが無く、謝罪の中身が見えません。気をつけるという締め方も、原因の話と同じく、何が変わったのかを含んでいません。
謝った経験を話すときも、責任を自分の側に置くことは同じです。相手に何が起きたかを先に述べ、自分の判断のどこが原因だったかを伝え、そのあと変えた決まりや手順を添えます。関係がどう戻ったかは、相手のその後の様子として、分かっている範囲で話します。
答えを組み立てる手順
ここからは手を動かします。失敗の候補を選び、面接で話せる形にするところまでを進めます。紙を一枚用意してください。
失敗の候補を書き出す
学業、アルバイト、部活動、委員会など、場面を問わずに、うまくいかなかったことを思い出せるだけ書き出します。この段階では、話せるかどうかを考えずに見出しだけを並べます。
三つの物差しで候補を絞る
候補ごとに、自分の判断が入っているか、誰に何が起きたかを言えるか、そのあと変えたことがあるかを確かめます。三つそろう候補を残し、その中から一つを選びます。
失敗に至る流れを時点で区切る
選んだ失敗について、任されたときから気づいたときまでを時間の順に並べます。それぞれの時点で、自分が何を見てどう判断したかを書き、判断が抜けていた時点に印を付けます。
冒頭の三文を書く
何を任されていて、どの判断をして、誰に何が起きたかを三文で書きます。忙しさや人手のような事情は、この三文には入れません。聞かれたときに補足する材料として、別に書いておきます。
変えたことと、次に変えることを書き足す
印を付けた時点に対して、そのあと実際に変えたことと、同じ状況ならどこを変えるかを書きます。どちらも「気をつける」ではなく、時点と打ち手の形で書きます。
書き終えたら、声に出して一度話してみてください。冒頭の三文を言う前に事情の説明が入っていないかと、原因のところで「能力不足」に戻っていないかを確かめます。
面接の前に確かめること0 / 6 完了
よくある質問
大きな失敗をした経験がありません。小さな失敗でもいいですか?
小さな失敗でも構いません。この質問で見られているのは失敗の大きさではなく、事実をどう扱ったかです。自分の判断が入っていて、誰に何が起きたかを言えて、そのあと変えたことがある題材なら、小さな出来事でも質問に答えられます。
原因に他の人の行動が関わっているときは、どう話せばいいですか?
他の人の行動を原因として前に出さず、自分の判断が入っていた時点を探して、そこを原因として話します。他の人の事情は、聞かれたときに事実として補足すれば足ります。自分の判断が一つも見つからない場合は、その出来事を題材から外すことも考えてください。
失敗の話をすると、評価が下がりませんか?
この質問は、失敗があったことを前提に聞かれています。答えで伝わるのは、失敗の有無ではなく、失敗を前にしたときの扱い方です。事実と影響を先に話し、原因を自分の側で捉え、変えたことまで話せば、聞かれていることに答えたことになります。
挫折から立ち直った話は、失敗の話と同じ題材でいいですか?
同じ題材で構いません。面接対策150問でも、最大の失敗のあとに立ち直りを聞く問いを続けて並べています。同じ出来事の前半と後半として話すと、深く聞かれたときにも話がつながります。
この記事の主張は、このサイトの面接対策150問にある問いの組み立てと悪い例で言い換えています。数字や体験談は使っていません。
根拠:面接対策150問 Q36・Q37・Q38・Q39・Q40(失敗・挫折)失敗の質問で使った「時点で区切る」やり方は、学生時代に力を入れたことを話すときにも使えます。面接の冒頭の自己紹介と、最後の逆質問の記事も、続けて読める記事として並べておきます。
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選んだ失敗の話を、面接の前に一緒に組み直す
失敗の話は、一人で組むと前置きが長くなったり、原因が自分の外に置かれたりしやすい話です。LINEの無料相談では、選んだ失敗の話を一緒に読み、事実と影響が冒頭にあるか、原因が判断の時点で言えているかを確かめます。
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