いまは別の仕事をしていて、ITエンジニアに移りたいと考えています。調べ始めると、独学、資格、職業訓練、講座と、勉強の方法がいくつも出てきます。どれから手を付ければ職務経歴書に書ける形になるのか、決められずに止まっています。
この記事を読み終えると、三つのものが手元に残ります。職業の中身を書き写して学ぶ範囲を決めた紙と、情報処理技術者試験を受けるかどうかの確かめ項目です。公的職業訓練と教育訓練給付を使うときに、どこへ何を聞くかの順番も付きます。
入りやすい職種、年収、民間のスクールや学習サービスの名前は、公的な出どころがないので書きません。書くのは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)と厚生労働省の資料で、2026年10月9日に確かめたことだけです。例はすべて架空にしています。
この記事の結論
学ぶ前に、職業情報提供サイト(job tag)で目指す職業の仕事の内容と関連資格を書き写し、学ぶ範囲を紙に書きます。
IPAの情報処理技術者試験は、ITパスポートや基本情報技術者などの区分に分かれた国家試験です。受けるかどうかは、応募したい求人の応募条件で決めます。
費用をかけて学ぶ前に、ハローワークで公的職業訓練を相談し、教育訓練給付の対象講座かどうかを確かめます。
学ぶ前に、職業の中身を紙に書き写す
何を学ぶかは、目指す仕事の中身から決めます。この記事では、ソフトウェアを作る仕事と、情報システムを設計・運用する仕事を、まとめてITエンジニアと呼びます。
職業の分類の見方と、職業情報提供サイト(job tag)の使い方は、職種の調べ方の記事にまとめています。この記事では、学ぶ範囲を決めるために、職業のページから何を写すかだけを書きます。
job tagの職業のページには、タスクの一覧と、「就業するには」の欄、関連資格の欄があります。タスクは、職業に含まれるこまかな仕事のことです。たとえばプログラマーのタスクには、プログラムを作る、動作をテストする、問題を直す、といった作業が並びます。
関連資格の欄は、職業ごとに違います。プログラマーは基本情報技術者、システムエンジニア(受託開発)は応用情報技術者と基本情報技術者です。運用・管理(IT)には、ITパスポートや基本情報技術者などIPAの試験の名前のほか、別の団体の資格も載っています。
近い職業のページを開く最初に
応募したい求人の仕事の内容を横に置き、job tagで近い職業を選びます。求人票の職種名と職業の名前が違っていても、作業の中身で照らします。
タスクを書き写す次に
タスクの一覧から、自分が学べば扱えそうな作業を、短い言葉で紙の左に書き写します。
就業するにはと関連資格を写す続けて
「就業するには」の欄と、関連資格の欄を、書かれたとおりに写します。載っていない資格を自分で足しません。
学ぶ範囲を三つに分ける最後に
書き写した作業を、いまの経験と重なるもの、これから学ぶもの、求人や面接で確かめるものの三つに分けます。
学ぶ範囲を書いた紙の例(架空)
応募したい求人:〇〇の開発(求人票の職種名のまま)
近い職業(job tag):プログラマー
いまの経験と重なる作業:〇〇の手順書を作ってきたこと(保守のための文書を作る作業に近い)
これから学ぶ作業:プログラムを作る、動作を確かめるテスト、問題を直すこと
求人で確かめる作業:設計の工程まで担当するかどうか
情報処理技術者試験の区分と、位置づけ
IPAのページによると、情報処理技術者試験は、知識と技能が一定の水準にあることを認定する国家試験です。特定の製品やソフトウェアに限らない試験で、原理や基礎となる知識を広く確かめると説明されています。
IPAの試験区分一覧では、試験が段階ごとに並んでいます。ITパスポート試験は、全ての社会人に共通する知識の区分です。基本情報技術者試験は、情報処理技術者の基本的な知識・技能の区分で、その上に応用情報技術者試験と高度な区分が続きます。
ITパスポート試験と基本情報技術者試験(IPAの各試験のページから)
ITパスポート試験:職業人として備えたい、ITの共通的な基礎知識を確かめます。試験時間は120分で、100問の四肢択一です。
基本情報技術者試験:システムやソフトウェアを作る人が身に付けておく、基礎的な知識と技能を確かめます。科目Aは90分で60問、科目Bは100分で20問です。
基本情報技術者試験のページの「期待する技術水準」には、上位者の指導のもとで設計・開発・運用に関わることが並びます。プログラムを自分で作ることも載っています。job tagで写した作業と照らすと、どの項目が自分の学ぶ範囲に近いかが分かります。
IPAは、同じページで、ITエンジニアとして歩み始めるなら、まず基本情報技術者試験から受けることを勧めています。このページの最終更新は2023年7月6日と表示されています。区分は、応募したい求人の応募条件とあわせて決めます。
IPAのよくある質問には、試験に関する講習や教材の販売・推奨は行っていないと書かれています。学習の手がかりとして、出題範囲を整理したシラバスと、過去問題、解答例、採点講評をIPAのページで公開しているとあります。
申込みの手順と、いま気をつけること
ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、CBT方式で、年間を通じて随時、実施されています。CBT方式は、試験会場に置かれたコンピュータで受ける方式です。申込みのときに、自分で試験日時と試験会場を選びます。
2026年10月9日に、IPAのページで確かめたこと
ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、システムの入れ替えのため、2026年12月28日から休止される予定です。
いま新しく申し込む場合に選べる試験日は、2026年12月27日までです。会場によっては、それより前に休止になる場合もあります。
2027年1月以降の試験実施は、2026年秋ごろにIPAのページで知らせるとされています。
2027年度から新しい試験制度に移る予定で、新制度のシラバスの案も公開されています。
いまの制度のまま受けるなら、選べる試験日は2026年12月27日までです。2027年1月以降に受けるなら、IPAの知らせと、新制度の試験区分や出題範囲の案を確かめてから、教材を選びます。
受けたい区分のページを読む最初に
IPAの試験区分一覧から区分を選び、対象者像、試験時間、出題数を読みます。応募したい求人の応募条件に、試験の名前があるかも見ます。
申込み先を確かめる次に
ITパスポート試験は、IPAのページからITパスポート試験ウェブサイトへ進みます。基本情報技術者試験は、IPAの受験申込みのページから、試験概要のページへ進み、案内に従います。
試験日、会場、手数料を確かめる申込みの前に
IPAの「スケジュール、手数料など」のページには、受験手数料が7,500円(消費税込み)と書かれています。金額は、申込み先のページでも確かめます。
受けられなかったときの扱いを読む申込みの前に
IPAのページには、選べる最後の試験日までに受験できなかった場合、受験手数料などは返還されないとも書かれています。試験日を変えるときの条件を、先に読みます。
合否と合格年月日を確かめる受験のあと
基本情報技術者試験では、合格発表日に合格者の受験番号一覧がIPAのページに載り、受験者マイページでも確かめられます。合格年月日が分からないときは、合格証明書の交付手続きがあります。
公的職業訓練(ハロートレーニング)で学ぶ
厚生労働省のページによると、ハロートレーニングは、ハローワークの求職者が再就職のために受ける訓練です。職業相談などを通じて受講が必要とされたときが対象です。受講を希望するときは、お近くのハローワークに相談します。
ハロートレーニングの二つの訓練(厚生労働省のページ)
公共職業訓練(離職者訓練):主に雇用保険を受給している求職者が対象です。訓練期間はおおむね3か月から2年で、受講料は無料です(テキスト代などは自己負担)。
求職者支援訓練:主に雇用保険を受給できない求職者(受給が終わった人を含む)が対象です。訓練期間は2か月から6か月で、受講料は無料です(テキスト代などは自己負担)。
求職者支援制度のページには、ITの分野のコースの例として、WEBアプリ開発科やプログラマ育成科などが載っています。公共職業訓練の委託訓練の例には、情報処理科があります。コースは、ハローワークインターネットサービスのコース検索で、地域、分野、募集の時期、訓練の期間を指定して探せます。
同じページによると、要件を満たすと、訓練を受ける期間に月10万円の職業訓練受講手当などが支給されます。収入や資産の要件があるので、対象になるかどうかはハローワークで確かめます。
働きながら学ぶ場合は、仕事を続けたまま受けられる訓練があるかを、ハローワークで尋ねます。求職者支援制度のページには、パートで働く人など、収入が一定額以下の在職者も対象に含まれるとあります。在職者向けの高度な訓練は、原則として有料です。
求職の申込みをする最初に
求職者支援制度のページは、訓練を受ける要件の一つに、求職の申込みをハローワークに出していることを挙げています。
コースを検索して候補を写す次に
先に書いた紙の「学ぶ作業」と、コースの内容を照らし、候補を二つか三つ書き写します。
ハローワークの窓口で尋ねる候補を写したら
自分が受けられる訓練の種類、給付金の要件、募集の時期、受講までの流れを尋ねます。
教育訓練給付の対象講座で学ぶ
厚生労働省のページによると、教育訓練給付金は、指定を受けた教育訓練を修了した人に、経費の一部を支給する制度です。IPAのページには、対象になっている情報処理技術者試験の講座もあると書かれています。
同じIPAのページは、講座の紹介や給付制度の問い合わせには答えられないとしています。このため、この記事にも講座の名前は挙げません。指定を受けた講座は、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで検索します。
給付の三つの種類(厚生労働省とハローワークのページ)
一般教育訓練:経費の20%(上限10万円)を、修了後に支給します。
特定一般教育訓練:経費の40%(上限20万円)を、修了後に支給します。資格を取得して就職した場合などは、追加の支給があります。
専門実践教育訓練:経費の50%(年間上限40万円)を、受講中に半年ごとに支給します。資格の取得や就職などの条件で、割合が上がる場合があります。
どの種類も、雇用保険に加入していた期間などの要件があります。期間は、初めて給付を受ける人かどうかと、訓練の種類で変わります。
ハローワークのページによると、受講を始める前に、ハローワークで支給要件照会ができます。受給資格があるかと、受けたい講座が指定を受けているかを、先に確かめられます。電話での照会は受け付けていません。
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、さらに準備があります。訓練対応のキャリアコンサルタントとの面談でジョブ・カードの交付を受けます。受講を始める日の2週間前までに、受給資格の確認をハローワークですませます。
一般教育訓練と特定一般教育訓練の給付は、訓練を修了した日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ申請します。専門実践教育訓練は、半年ごとなど、申請の時期が別に決まっています。
講座の内容を紙と照らす最初に
検索で見つけた講座の内容を、紙の「学ぶ作業」と照らします。給付の対象でも、求人で確かめた作業と合わなければ、候補から外します。
支給要件照会をする申込みの前に
ハローワークへ、受講を始める予定の日と講座の名前を持って行き、受給資格と講座の指定を確かめます。
必要な手続きの時期を書く申込みの前に
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、面談と受給資格の確認の期限を、受講の開始日から逆にたどって書きます。
学んだことを、応募書類と面接につなぐ
学んだことは、書類と面接に載せて初めて、応募先に伝わります。書類全体の構成は職務経歴書の書き方に、職種を変えて応募するときの書き方は未経験の職種への転職にまとめています。この章では、試験や訓練を書くときの決まりだけを書きます。
ハローワークの「職務経歴書の作り方」には、取得資格は正式な名称で書き、取得年月を添えられるとあります。勉強中のものも、その旨を明記すれば書けます。職業訓練を受けたときは、施設名、コース名、得られた能力を書きます。
名刺などへの合格の書き方について、IPAは決まりを設けておらず、合格した本人が決めるとしています。書類に書くときは、試験の名前と年月を、合格証書や、IPAのページの合格発表日で確かめます。
伝わりにくい例(架空)
ITの勉強をしています。資格も取るつもりです。
伝わる例(架空)
取得資格:基本情報技術者試験 合格(20XX年〇月)。学習中:〇〇の講座で△△を学習しており、修了は20XX年〇月の予定です。訓練歴:〇〇科(公共職業訓練、20XX年〇月〜〇月)。
→ 伝わる例には、正式な試験名、取得年月、学習中であること、修了の予定、訓練の名前が入っています。伝わりにくい例は、何を学んでいるのかを確かめる材料がありません。
面接では、学び方と、学んだあとの姿を聞かれることがあります。面接対策150問のQ84(学んだ知識を活かした経験)とQ123(入社後の1年で身につけたいこと)に、声に出して答えます。答えには、job tagで写した作業の言葉を使います。
学び始める前に確かめること0 / 7 完了
学び方に迷うときは、試験、訓練、講座のどれが先かではなく、足りない作業から決めてください。その問いは、「応募したい求人で、いま足りない作業はどれか」です。紙の「学ぶ作業」に戻ると、選んだ理由が書類にも面接にもそのまま使えます。
よくある質問
ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、どちらから受けますか?
この記事では順番を決めません。IPAは、ITエンジニアとして歩み始めるなら基本情報技術者試験から受けることを勧めています。ITパスポート試験は、職業人に共通する基礎知識の区分です。応募したい求人の応募条件と、job tagの関連資格の欄を見て決めます。
資格がなくても、ITエンジニアの求人に応募できますか?
求人票の応募条件で確かめます。この記事では、入りやすい職種の見通しは書いていません。必要な経験や資格と、あればよい経験を分けて写し、足りない作業を学ぶ範囲にします。
公的職業訓練と教育訓練給付は、何が違いますか?
厚生労働省のページによると、ハロートレーニングは、ハローワークの求職者が受ける訓練です。受講料は無料です(テキスト代などは自己負担)。教育訓練給付は、指定を受けた講座を修了したときに、支払った教育訓練経費の一部が支給される制度です。どちらを使えるかは、ハローワークで確かめます。
試験は、2026年内に受けないといけませんか?
IPAのページに、受けなければならない期限は書かれていません。ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、2026年12月28日から休止される予定です。2027年1月以降の実施は、2026年秋ごろに知らせるとされています。申込みの前に、IPAのページで確かめます。
参考にした公的資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確かめたものだけを書いています。確かめた日も添えています。
IPA「試験情報」(情報処理技術者試験の入口)
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験の概要」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験区分一覧」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「ITパスポート試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「基本情報技術者試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「受験申込み」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「受験申込み:ITパスポート試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「受験申込み:情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「スケジュール、手数料など」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「CBT方式で実施する3試験区分における2026年5月以降の試験実施について」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験制度の見直しについて」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験に関するよくある質問」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「教育訓練給付制度について」
https://www.ipa.go.jp/
厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「教育訓練給付金」
https://www.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「プログラマー」
https://shigoto.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(受託開発)」
https://shigoto.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「運用・管理(IT)」
https://shigoto.mhlw.go.jp/
厚生労働省・ハローワーク『職務経歴書の作り方』(パンフレット)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
学んだことを書類に書く手順と、職務経歴書の構成の記事を並べておきます。
【完全無料】
学ぶ範囲を決める前に、状況を聞くところから
はじめに状況をお聞きします。そのうえで、合いそうな条件や職種をお伝えします。面談のあとは、職務経歴書を見たり、模擬面接をしたりできます。どれを進めるかは、面談の最後に決めます。
LINEで相談する※相談は無料です。LINEで申し込めます。面談はオンラインで、最短当日です。初回の面談は10〜15分ほどが目安で、カメラオフ・私服で構いません。