次の勤め先の内定が出て、入社日も決まりました。あとは、いまの勤め先に退職を伝えるだけです。ところが、誰にどう切り出せばいいのか、退職願と退職届のどちらを出すのか、辞めたあとに健康保険や年金の手続きが要るのかが分かりません。期限があると聞いて、何を先にやればいいのかで迷っています。
この記事を読み終えると、退職を伝える順番、退職願と退職届のちがい、退職日までに受け取る書類、退職のあとの手続きと期限の一覧が手元に残ります。
先に、この記事の立場を書いておきます。制度の説明は、厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構・協会けんぽ(全国健康保険協会)・国税庁のページと法令で確かめたことだけを書き、末尾の参考欄に出どころと確かめた日を載せています。保険料や給付の金額は、人によって違うので書きません。自分の金額は、手続きの窓口や届いた書類で確かめてください。
この記事の結論
退職は、就業規則の決まりを確かめてから、直属の上司に直接伝えます。期間の定めのない雇用なら、法律では、退職の申し入れから原則2週間で雇用が終わるとされています。
退職願や退職届を出す前に、退職することを自分で決めきっておきます。退職の意思表示は、容易には撤回が認められないとされています。
次の勤め先にすぐ入らない場合は、退職のあとに期限のある手続きがあります。協会けんぽの任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民年金の手続きは14日以内です。雇用保険は、離職票が届いたら住所を管轄するハローワークで手続きします。
退職を伝える順番
退職を伝える前に、退職日の見通しを立てておきます。入社日、引き継ぎにかかる日数、残っている年次有給休暇から逆算して、希望する退職日を一つ決めます。退職日の決め方は、在職中の転職活動の記事にまとめています。
就業規則を確かめる伝える前
退職の申し出の時期と方法(書面の様式、出す相手)が、就業規則などで決められていないかを確かめます。
直属の上司に、直接伝える最初に
同僚や取引先より先に、直属の上司に伝えます。時間を取ってもらい、口頭で、退職すること、希望する退職日、引き継ぎの見通しを伝えます。
書面を出す上司に伝えたあと
会社の決まった様式があれば、それに沿って退職願か退職届を出します。どちらを出すかは、次の章を読んでから決めます。
引き継ぐ退職日まで
担当している仕事の一覧を作り、誰に何を渡すかを上司と決めて、引き継ぎます。
相談として切り出す例(架空)
少しご相談がありまして……。実は、辞めようかと迷っていて。
決めたことを伝える例(架空)
お時間をいただきありがとうございます。一身上の都合により、〇月〇日付で退職させていただきたく、お伝えに参りました。引き継ぎは、〇月〇日までに終えられるよう進めます。
→ 相談として切り出すと、退職するかどうかの話し合いから始まります。決めたことを伝える例は、退職日と引き継ぎの話から始められます。
退職願と退職届のちがい
厚生労働省の「確かめよう労働条件」のページは、退職の申し出を二つに分けて説明しています。働く人が申し込み、会社が承諾して成立する「合意退職」と、働く人の側から一方的に申し入れる「任意退職」です。
同じページは、合意退職の申し込みは「退職願」を出す形で、任意退職の申し入れは「退職届」を出す形で説明しています。合意退職の申し込みは、会社が承諾するまでの間は撤回できるとされています。一方、任意退職の申し入れは、会社が承諾すればその時点で、承諾しなければ2週間後に効力が生じ、会社が承諾したあとは一方的に撤回できないとされています。
同じページは、確実に一定の日に退職したい場合は、必要な期間を見込んだうえで、退職の意思をはっきり書いた退職届を出して任意退職を申し入れるのが無難だろう、としています。また、退職の意思表示は容易には撤回が認められないので、慎重に検討したうえで行うことが大切だ、としています。
期間の定めのない雇用の場合、退職を申し入れれば、勤め先が認めないと言っても、原則として2週間がたった時点で雇用が終わるとされています(民法第627条第1項)。有期の雇用で期間の途中に退職するときは、やむを得ない事由が要るとされています(民法第628条)。
退職日までと、退職の直後に受け取るもの
退職の前後には、あとの手続きで使う書類があります。受け取るものと、確かめることを並べます。
離職証明書に名前を書き、中身を確かめる退職の前
ハローワークのページによると、会社がハローワークに出す「離職証明書」には、離職の前に本人が氏名を書くことになっています。そのときに、離職理由などの記載の中身も確かめます。
雇用保険被保険者証があるかを確かめる在職中
ハローワークのページは、できれば在職中に「雇用保険被保険者証」があるかを確かめるよう案内しています。
離職票を受け取る退職のあと
退職のあとに、「雇用保険被保険者離職票(-1、-2)」が届きます(受け取りに行く場合もあります)。雇用保険の手続きに使います。
源泉徴収票を受け取る退職の日以後1か月以内
国税庁のページによると、年の途中で退職した人には、給与所得の源泉徴収票を、退職の日以後1か月以内に交付しなければならないとされています。届いたら保管しておきます。
退職のあとの手続き(次の勤め先にすぐ入らない場合)
退職してしばらく次の会社に入らない場合や、自営業などになる場合は、健康保険と年金の手続きを自分で行います。次の勤め先にすぐ入る場合の加入の手続きは、次の勤め先に確かめます。期限の短いものから並べます。
年金:国民年金の手続き(退職日の翌日から14日以内)
日本年金機構のページによると、会社を退職し、しばらく次の会社に入らない場合や自営業などになった場合は、その期間は国民年金の第1号被保険者となる手続きを行い、国民年金の保険料を納める必要があります。
手続き先は住所地の市区役所または町村役場で、出す書類は「国民年金被保険者関係届書(申出書)」、提出の期限は退職日の翌日から14日以内、出すのは本人または世帯主とされています。退職直後の手続きでは、厚生年金保険の資格を失った日を証明できるもの(離職票など)が必要になる場合がある、とも書かれています。
退職して、配偶者が加入する健康保険の被扶養者になる場合は、国民年金の第3号被保険者になる手続きを、配偶者の勤務先を通して行います。退職する人に扶養されていた配偶者(第3号被保険者)がいる場合は、その配偶者も同時に第3号被保険者の資格を失うので、第1号被保険者の手続きをする必要がある、とされています。
健康保険:三つの選び方(任意継続は退職日の翌日から20日以内)
協会けんぽのページによると、退職後の健康保険には、「健康保険任意継続」「国民健康保険」「家族の健康保険(被扶養者)」の三つの選び方があります。毎月納める保険料などを比べて選び、手続きをします。
健康保険任意継続退職日の翌日から20日以内
協会けんぽの任意継続に入る条件は、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あること、退職日の翌日から20日以内に手続きすることです。20日目が土日・祝日の場合は翌営業日までで、郵送の場合は20日以内に必着とされています。手続き先は、住所のある都道府県の協会けんぽの支部です。
任意継続の被保険者でいられる期間は2年間で、就職してほかの健康保険に入ったときなどには資格を失います。保険料は、退職前に差し引かれていた保険料の2倍になり、上限があるとされています(都道府県が変わる場合などは2倍にならない場合があります)。
国民健康保険住所の市区町村に確かめる
手続き先は、住所のある市区町村の国民健康保険の担当課です。保険料は、加入する世帯の人数や前年の所得などで決まり、市区町村によって違うとされています。
家族の健康保険(被扶養者)家族の勤務先に確かめる
家族が加入している健康保険の扶養の条件を満たす必要があり、手続きは家族の勤務先を通して行います。被扶養者の保険料の負担はありません。
ここで挙げた任意継続の条件は、協会けんぽの場合です。勤め先の健康保険が健康保険組合の場合は、その組合に手続きを確かめます。
雇用保険:基本手当の手続き(離職票が届いたら)
ハローワークのページによると、雇用保険の基本手当は、離職して、ハローワークで求職の申込みを行い、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるのに職業に就けない「失業の状態」にあり、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上ある人に支給されます。倒産・解雇などで離職した人(特定受給資格者)などは、離職の日以前1年間に6か月以上でもよいとされています。
手続きは、住所を管轄するハローワークで「求職の申込み」をしてから、離職票(-1、-2)を出します。持ち物として、離職票、マイナンバーを確かめる書類、本人を確かめる書類、写真2枚(マイナンバーカードを見せると省略できる場合があります)、本人名義の預金通帳かキャッシュカードが挙げられています。ハローワークは、受給の要件を満たしているかを確かめて受給資格を決め、そのときに離職理由も判定します。
求職の申込みのあと、失業の状態にある7日間(待期)は、基本手当は支給されません。そのあとは、原則として4週間に1度、失業の認定を受けます。認定を受けるには、原則として、認定の対象になる期間中に2回以上の求職活動の実績が必要とされています。
厚生労働省のページによると、正当な理由がなく自己の都合で退職した場合は、7日間の待期のあと、1〜3か月間は基本手当が支給されません(給付制限)。退職日が令和7年4月1日以降の場合は原則1か月です。ただし、退職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格の決定を受けている場合は3か月とされています。令和7年4月以降に教育訓練などを受けた場合は、給付制限が解除されるとも書かれています。
基本手当を受けられる日数(所定給付日数)は、離職の日の年齢、被保険者であった期間、離職の理由などで、90日〜360日の間で決まります。受けられる期間は、原則として離職の日の翌日から1年間です。自分の日数と金額は、ハローワークで確かめます。
期限の一覧
退職のあとの手続きを、期限の順に並べます。退職日が決まったら、手帳やカレンダーに日付で書き込みます。
退職のあとの手続き(次の勤め先にすぐ入らない場合)0 / 6 完了
期限のある手続きは、退職日の翌日から数えます。退職日を決めた時点で、14日目と20日目の日付をカレンダーに書いておくと、引き継ぎで慌ただしい時期でも抜けません。
よくある質問
退職を伝えたら、引き止められて、なかなか辞めさせてもらえません。
厚生労働省の「確かめよう労働条件」のページによると、期間の定めのない雇用では、退職を申し入れれば、勤め先が認めないと言っても、原則として2週間がたった時点で雇用が終わるとされています。同じページは、退職の効力のような民事的な問題は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで相談できる、としています。
退職したのに、離職票が届きません。
ハローワークのページは、会社から離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明の場合などは、住居地を管轄するハローワークに問い合わせるよう案内しています。
次の勤め先が決まっていて、退職日の翌日から働きます。手続きは要りますか?
健康保険と年金の加入の手続きは、次の勤め先に確かめます。日本年金機構のページは、国民年金の第1号被保険者の手続きが要るのは、しばらく次の会社に入らない場合や自営業などになった場合としています。源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付されることになっているので、届いたら保管します。
自己都合で退職した場合、基本手当はいつから受けられますか?
求職の申込みのあとの7日間(待期)は支給されません。厚生労働省のページによると、正当な理由がなく自己の都合で退職した場合は、待期のあとに給付制限があり、退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月です。自分の場合の日程は、ハローワークで確かめます。
参考にした公的資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確かめたものだけを書いています。確かめた日も添えています。
厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/
e-Gov法令検索「民法」(第627条・第628条)
https://laws.e-gov.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
https://www.mhlw.go.jp/
全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/
日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」
https://www.nenkin.go.jp/
日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
https://www.nenkin.go.jp/
国税庁 タックスアンサー No.7411「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等
https://www.nta.go.jp/
退職日の決め方と、在職中の転職活動の進め方は、別の記事にまとめています。続けて読める記事として並べておきます。
【完全無料】
退職の前後の段取りを、一緒に確かめる
はじめに状況をお聞きします。そのうえで、合いそうな条件や職種をお伝えします。決まるまで、相談を続けます。
LINEで相談する※相談は無料です。LINEで申し込めます。面談は最短当日です。