「ITエンジニアに移りたい。でも、何から勉強すればいいんだろう」。調べ始めると、独学・資格・職業訓練・講座と、勉強の方法がいくつも出てきます。
どれから手を付ければ、職務経歴書に書ける形になるのか。そこで、手が止まってしまいますよね。
先に、答えを書いておきます。学ぶ範囲は、職業情報提供サイト(job tag)で目指す職業の作業を書き写して決めます。試験を受けるかどうかは、応募したい求人の応募条件で決めましょう。費用をかけて学ぶ前に、ハローワークで公的職業訓練と教育訓練給付を相談してください。
この記事は、いまは別の仕事をしていて、ITエンジニアへの転職を考えている人に向けて書きました。入りやすい職種・年収・民間のスクールや学習サービスの名前は、公的な出典が無いので書きません。制度と日程は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)と厚生労働省の資料で、2026年10月9日に確認したことだけです。資料は、末尾の「参考にした資料」にまとめました。
この記事でわかること
job tagの職業のページから、タスク・「就業するには」・関連資格を書き写します。それをもとに、学ぶ範囲を三つに分けた紙を作れるようになります。
IPAの情報処理技術者試験は、ITパスポートや基本情報技術者などの区分に分かれた国家試験です。受けるかどうかは、応募したい求人の応募条件で決めます。
ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、2026年12月28日から休止される予定です。いま新しく申し込む場合に選べる試験日は、2026年12月27日までです。
公的職業訓練と教育訓練給付のどちらが使えるかは、ハローワークで確認します。教育訓練給付は、受講を始める前に支給要件照会ができます。
何を学ぶかは、どうやって決めますか?
何を学ぶかは、目指す仕事の内容から決めます。この記事で言うITエンジニアは、ソフトウェアを作る仕事と、情報システムを設計・運用する仕事のことです。
職業の分類の見方と、job tagの使い方は、職種の調べ方の記事にまとめています。ここでは、学ぶ範囲を決めるために、職業のページから何を書き写すかを説明します。job tagの職業のページには、次の三つの欄があります。
- タスクの一覧
- 「就業するには」の欄
- 関連資格の欄
タスクは、職業に含まれるこまかな仕事のことです。プログラマーのタスクには、プログラムを作る・動作をテストする・問題を直すといった作業があります。
関連資格の欄は、職業ごとに違います。3つの職業のページでは、次のとおりでした。
| 職業(job tag) | 関連資格の欄に載っているもの |
|---|---|
| プログラマー | 基本情報技術者 |
| システムエンジニア(受託開発) | 応用情報技術者と基本情報技術者 |
| 運用・管理(IT) | ITパスポートや基本情報技術者など、IPAの試験の名前のほか、別の団体の資格 |
近い職業のページを開く最初に
応募したい求人の仕事の内容を横に置き、job tagで近い職業を選びます。求人票の職種名と職業の名前が違っていても、作業の内容で突き合わせます。
タスクを書き写す次に
タスクの一覧から、自分が学べば扱えそうな作業を、短い言葉で紙の左に書き写します。
「就業するには」と関連資格の欄を写す続けて
「就業するには」の欄と、関連資格の欄を、書かれたとおりに写します。載っていない資格を、自分で足さないでください。
学ぶ範囲を三つに分ける最後に
書き写した作業を、いまの経験と重なるもの・これから学ぶもの・求人や面接で確認するものの三つに分けます。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
書き方の例:学ぶ範囲を書いた紙
応募したい求人:〇〇の開発(求人票の職種名のまま)
近い職業(job tag):プログラマー
いまの経験と重なる作業:〇〇の手順書を作ってきたこと(保守のための文書を作る作業に近い)
これから学ぶ作業:プログラムを作る、動作を確かめるテスト、問題を直すこと
求人で確認する作業:設計の工程まで担当するかどうか
情報処理技術者試験は、どんな試験ですか?
知識と技能が一定の水準にあることを認定する、国家試験です。IPAのページでは、特定の製品やソフトウェアに限らず、原理や基礎となる知識を広く確かめる試験だと説明されています。
区分は、段階ごとに分かれています。IPAの試験区分一覧では、ITパスポート試験は、全ての社会人に共通する知識の区分です。基本情報技術者試験は、情報処理技術者の基本的な知識・技能の区分で、その上に応用情報技術者試験と高度な区分が続きます。
| 比べること | ITパスポート試験 | 基本情報技術者試験 |
|---|---|---|
| 確かめる内容 | 職業人として備えたい、ITの共通的な基礎知識 | システムやソフトウェアを作る人が身に付けておく、基礎的な知識と技能 |
| 試験時間と出題数 | 120分で、100問の四肢択一 | 科目Aは90分で60問、科目Bは100分で20問 |
基本情報技術者試験のページの「期待する技術水準」も読んでおきましょう。そこには、上位者の指導のもとで設計・開発・運用に関わることが挙げられています。プログラムを自分で作ることも、その一つです。job tagで書き写した作業と突き合わせると、学ぶ範囲に近い項目がわかります。
IPAは同じページで、ITエンジニアとして歩み始めるなら、まず基本情報技術者試験から受けることを勧めています。このページの最終更新は、2023年7月6日と表示されています。どの区分を受けるかは、応募したい求人の応募条件とあわせて決めましょう。
IPAの「試験に関するよくある質問」には、試験に関する講習や教材の販売・推奨は行っていないと書かれています。学習の手がかりとして、IPAのページで公開しているものは次のとおりです。
- 出題範囲を整理したシラバス
- 過去問題
- 解答例
- 採点講評
試験の申込みで、いま気をつけることは何ですか?
いまの制度のまま受けるなら、選べる試験日は2026年12月27日までです。ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、CBT方式で、年間を通じて随時実施されています。
CBT方式は、試験会場に置かれたコンピュータで受ける方式です。申込みのときに、自分で試験日時と試験会場を選びます。
注意
2026年10月9日に、IPAのページで確認したことです。ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、システムの入れ替えのため、2026年12月28日から休止される予定です。
いま新しく申し込む場合に選べる試験日は、2026年12月27日までです。会場によっては、それより前に休止になる場合もあります。
2027年1月以降の試験実施は、2026年秋ごろにIPAのページで知らせるとされています。2027年度から新しい試験制度に移る予定で、新制度のシラバスの案も公開されています。
2027年1月以降に受けるなら、IPAの知らせと、新制度の試験区分や出題範囲の案を確認してから、教材を選びましょう。申込みは、次の順に進めます。
受けたい区分のページを読む最初に
IPAの試験区分一覧から区分を選び、対象者像・試験時間・出題数を読みます。応募したい求人の応募条件に、試験の名前があるかも見ておきましょう。
申込み先を確かめる次に
ITパスポート試験は、IPAのページからITパスポート試験ウェブサイトへ進みます。基本情報技術者試験は、IPAの受験申込みのページから、試験概要のページへ進み、案内に従ってください。
試験日・会場・手数料を確認する申込みの前に
IPAの「スケジュール、手数料など」のページには、受験手数料が7,500円(消費税込み)と書かれています。金額は、申込み先のページでも確かめます。
受けられなかったときの扱いを読む申込みの前に
IPAのページには、選べる最後の試験日までに受験できなかった場合、受験手数料などは返還されないとも書かれています。試験日を変えるときの条件を、先に読んでおきましょう。
合否と合格年月日を確かめる受験のあと
基本情報技術者試験では、合格発表日に合格者の受験番号一覧がIPAのページに載り、受験者マイページでも確認できます。合格年月日がわからないときは、合格証明書の交付手続きがあります。
公的職業訓練(ハロートレーニング)は、誰が受けられますか?
ハローワークの求職者で、職業相談などを通じて受講が必要とされた人が対象です。厚生労働省のページでは、再就職のために受ける訓練と説明されています。受講を希望するときは、お近くのハローワークに相談しましょう。
| 比べること | 公共職業訓練(離職者訓練) | 求職者支援訓練 |
|---|---|---|
| 対象(厚生労働省のページの文言) | 「主に雇用保険を受給している求職者の方」 | 「主に雇用保険を受給できない求職者の方(受給が終わった方も含む。)」 |
| 訓練期間 | おおむね3か月から2年 | 2か月から6か月 |
| 受講料 | 無料(テキスト代などは自己負担) | 無料(テキスト代などは自己負担) |
受講料は、どちらも無料です。求職者支援制度のページには、ITの分野のコースの例として、WEBアプリ開発科やプログラマ育成科などが載っています。公共職業訓練の委託訓練の例には、情報処理科があります。
コースは、ハローワークインターネットサービスのコース検索で、地域・分野・募集の時期・訓練の期間を指定して探せます。
メモ
求職者支援制度のページによると、要件を満たすと、訓練を受ける期間に月10万円の職業訓練受講手当などが支給されます。収入や資産の要件があるので、対象になるかどうかはハローワークで確認してください。
働きながら学ぶ場合は、仕事を続けたまま受けられる訓練があるかを、ハローワークで聞きましょう。求職者支援制度のページには、パートで働く人など、収入が一定額以下の在職者も対象に含まれるとあります。在職者向けの高度な訓練は、原則として有料です。
求職の申込みをする最初に
求職者支援制度のページは、訓練を受ける要件の一つに、求職の申込みをハローワークに出していることを挙げています。
コースを検索して候補を写す次に
先に書いた紙の「学ぶ作業」と、コースの内容を突き合わせ、候補を二つか三つ書き写します。
ハローワークの窓口で相談する候補を写したら
自分が受けられる訓練の種類・給付金の要件・募集の時期・受講までの流れを聞きます。
教育訓練給付は、どんな制度ですか?
指定を受けた教育訓練を修了した人に、経費の一部を支給する制度です。厚生労働省のページでは、「教育訓練給付金」の名前で説明されています。IPAのページには、対象になっている情報処理技術者試験の講座もあると書かれています。
同じIPAのページは、講座の紹介や給付制度の問い合わせには答えられないとしています。このため、この記事でも講座の名前は挙げません。指定を受けた講座は、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで検索してください。
| 種類 | 支給される額 | 支給の時期 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 経費の20%(上限10万円) | 修了後 |
| 特定一般教育訓練 | 経費の40%(上限20万円)。資格を取得して就職した場合などは、追加の支給がある | 修了後 |
| 専門実践教育訓練 | 経費の50%(年間上限40万円)。資格の取得や就職などの条件で、割合が上がる場合がある | 受講中に半年ごと |
どの種類にも、雇用保険に加入していた期間などの要件があります。期間は、初めて給付を受ける人かどうかと、訓練の種類で変わります。
ハローワークのページによると、受講を始める前に、ハローワークで支給要件照会ができます。受給資格があるかと、受けたい講座が指定を受けているかを、先に確認できる仕組みです。電話での照会は、受け付けていません。
注意
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、訓練対応のキャリアコンサルタントとの面談で、ジョブ・カードの交付を受けます。受講を始める日の2週間前までに、受給資格の確認をハローワークですませてください。
一般教育訓練と特定一般教育訓練の給付は、訓練を修了した日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ申請します。専門実践教育訓練は、半年ごとなど、申請の時期が別に決まっています。
では、受けたい講座が見つかったら、何から始めればいいのでしょうか。最初は、講座の内容と紙の「学ぶ作業」の突き合わせです。
講座の内容を紙と突き合わせる最初に
検索で見つけた講座の内容を、紙の「学ぶ作業」と突き合わせます。給付の対象でも、求人で確認した作業と合わなければ、候補から外しましょう。
支給要件照会をする申込みの前に
ハローワークへ、受講を始める予定の日と講座の名前を持って行き、受給資格と講座の指定を確かめます。
必要な手続きの時期を書く申込みの前に
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、面談と受給資格の確認の期限を、受講の開始日からさかのぼって書き込みます。
学んだことは、応募書類と面接にどうつなげますか?
資格は、正式な名称で書いてください。ハローワークの「職務経歴書の作り方」によると、取得年月も添えられます。勉強中のものも、その旨を明記すれば書けます。
職業訓練を受けたときは、施設名・コース名・得られた能力を書きましょう。書類全体の構成は職務経歴書の書き方に、職種を変えて応募するときの書き方は未経験の職種への転職にまとめています。
名刺などへの合格の書き方について、IPAは決まりを設けておらず、合格した本人が決めるとしています。書類に書くときは、試験の名前と年月を、合格証書やIPAのページの合格発表日で確認しましょう。
例文:何を学んでいるかがわからない書き方
ITの勉強をしています。資格も取るつもりです。
例文:試験名・年月・訓練の名前を入れた書き方
取得資格:基本情報技術者試験 合格(20XX年〇月)。学習中:〇〇の講座で△△を学習しており、修了は20XX年〇月の予定です。訓練歴:〇〇科(公共職業訓練、20XX年〇月〜〇月)。
→ 直したほうには、正式な試験名・取得年月・学習中であること・修了の予定・訓練の名前が入っています。最初の例には、何を学んでいるのかを確かめる材料がありません。
面接では、学び方と、学んだあとの姿を聞かれることがあります。面接対策150問の次の二つの問いに、声に出して答えてみてください。
答えには、job tagで書き写した作業の言葉を使いましょう。
学び始める前に確かめること0 / 7 完了
編集部
学び方に迷うときは、試験・訓練・講座のどれが先かではなく、足りない作業から決めてください。手がかりは、「応募したい求人で、いま足りない作業はどれか」という問いです。紙の「学ぶ作業」に戻ると、選んだ理由を書類にも面接にも使えます。
質問と答え
ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、どちらから受けますか?
応募したい求人の応募条件と、job tagの関連資格の欄を見て決めます。IPAは、ITエンジニアとして歩み始めるなら基本情報技術者試験から受けることを勧めています。ITパスポート試験は、職業人に共通する基礎知識の区分です。
資格がなくても、ITエンジニアの求人に応募できますか?
求人票の応募条件で確認します。入りやすい職種の見通しは、公的な出典が無いので書いていません。必要な経験や資格と、あればよい経験を分けて書き写し、足りない作業を学ぶ範囲にしましょう。
公的職業訓練と教育訓練給付は、何が違いますか?
ハロートレーニングは、ハローワークの求職者が受ける訓練で、受講料は無料です(テキスト代などは自己負担)。教育訓練給付は、指定を受けた講座を修了したときに、支払った教育訓練経費の一部が支給される制度です。どちらを使えるかは、ハローワークで確認してください。
試験は、2026年内に受けないといけませんか?
IPAのページに、受けなければならない期限は書かれていません。ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、2026年12月28日から休止される予定です。2027年1月以降の実施は、2026年秋ごろに知らせるとされています。申込みの前に、IPAのページで確認しましょう。
参考にした資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確認したものだけを書いています。それぞれ、確認した日を添えました。
IPA「試験情報」(情報処理技術者試験の入口)
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験の概要」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験区分一覧」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「ITパスポート試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「基本情報技術者試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「受験申込み」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「受験申込み:ITパスポート試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「受験申込み:情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「スケジュール、手数料など」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「CBT方式で実施する3試験区分における2026年5月以降の試験実施について」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験制度の見直しについて」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「試験に関するよくある質問」
https://www.ipa.go.jp/
IPA「教育訓練給付制度について」
https://www.ipa.go.jp/
厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「教育訓練給付金」
https://www.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「プログラマー」
https://shigoto.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(受託開発)」
https://shigoto.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「運用・管理(IT)」
https://shigoto.mhlw.go.jp/
厚生労働省・ハローワーク『職務経歴書の作り方』(パンフレット)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
学んだことを書類に書く手順は、次の二つの記事にまとめています。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。