「正社員として働きたい。でも、新卒の就活の時期はもう過ぎている」。アルバイトの帰り道、そう考えて足が止まることはありませんか。
職務経歴書に書けるのは、アルバイトの経験だけ。どこに相談すればいいのかも、わかりにくいですよね。
先に、答えを書いておきます。使える若者向けの公的な窓口は、卒業からの年数と年齢で決まります。新卒の採用枠に応募できるかは、会社の募集の案内で確認しましょう。アルバイトの経験も、仕事ごとに書き出せば職務経歴書の材料になります。
この記事は、学校を卒業したあとにアルバイトなどで働いていて、正社員を目指す人に向けて書きました。「正社員になりやすい職種」や求人の見通し、年収の相場は、公的な出典が無いので書きません。窓口と制度は、厚生労働省と内閣官房の資料で確認したことだけです。資料と確認した日は、末尾の「参考にした資料」にまとめました。
この記事でわかること
公的な窓口は二つあります。卒業後おおむね3年以内なら新卒応援ハローワーク、正社員を目指すおおむね35歳未満ならわかものハローワークです。
職業訓練(ハロートレーニング)とトライアル雇用は、ハローワークなどで相談して使う制度です。どちらに当たるかは、雇用保険の受給の状況や働いた期間で変わります。
政府の要請は企業に、「卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者」が新卒の採用枠へ応募できるようにすることを求めています。応募できるかは、会社の募集の案内で確認しましょう。
アルバイトの経験は、仕事の種類ごとに期間と職務内容を書けば、職務経歴書の材料になります。
この記事で言う「既卒・フリーター」は、どんな人ですか?
学校を卒業したあと、アルバイトなどで働いている人と、働いていない人のことです。既卒は、学校を卒業した人を指します。国の資料には「いわゆるフリーター」という書き方がありますが、確認した資料に決まった定義は見つかりませんでした。
使える窓口や制度には、それぞれ対象の決まりがあります。紙に書き出すのは、次の4つです。
- 卒業した年月
- いまの年齢
- いまの働き方(アルバイトか、働いていないかなど)
- 雇用保険を受けているかどうか
この4つがあれば、次の見出しからの窓口と制度が自分に当てはまるかを確認できます。
既卒・フリーターは、どの公的な窓口を使えますか?
若者向けの窓口は、三つです。厚生労働省が案内している若者の就職支援の施設は、次の表のとおりです。
| 窓口 | 対象 | 受けられる支援 |
|---|---|---|
| 新卒応援ハローワーク | 大学や専修学校などの学生と、卒業後おおむね3年以内の人 | 担当者を決めた個別支援・エントリーシートや履歴書の作成支援・面接対策・セミナー・全国の求人の閲覧・企業説明会や面接会・就職後の定着支援(すべて無料) |
| わかものハローワーク | 正社員を目指す、おおむね35歳未満の人 | 担当者制の職業相談・セミナーやグループワーク・職業訓練の受講の相談・応募書類の作成支援・模擬面接・求人の閲覧・企業説明会や面接会・就職後の定着支援(すべて無料) |
| 地域若者サポートステーション | いま仕事に就いておらず、動き出せずにいる人 | 働きたいけれど自信が持てない、といった悩みを抱える人の就労の支援 |
わかものハローワークは、パート・アルバイトで働き、正社員を希望する人の窓口として紹介されています。就業経験が十分でないことや、離職・転職を繰り返したことに悩む人にも、利用を呼びかけています。担当者制の職業相談で行うのは、課題の把握と、目標・個別支援計画の作成です。
新卒応援ハローワークは、各都道府県に1か所以上置かれ、全国で56か所あります。わかものハローワークは21か所、わかもの支援コーナーと支援窓口は199か所です。どちらも、2026年10月9日に確認した時点の数です。所在地は、厚生労働省の一覧のページで探せます。
卒業後おおむね3年以内で、おおむね35歳未満の人は、二つの窓口の両方に当たります。どちらを使うかの決まりは、確認した資料に書かれていません。最寄りの場所と支援の内容を確かめて、使う窓口を選んでください。支援の内容や規模は施設ごとに異なるので、都道府県労働局かハローワークに問い合わせます。
メモ
民間の職業紹介事業者(転職エージェント)も使えます。使うときに確認することは、転職エージェントの仕組みと使い方の記事にまとめました。
ハロートレーニングとトライアル雇用は、どんな制度ですか?
どちらも、窓口で相談して使う制度です。ハロートレーニングは仕事に必要な技能や知識を身につける訓練で、トライアル雇用は試しに雇われる制度です。
ハロートレーニング(公的な職業訓練)
ハロートレーニングは、ハローワークで仕事を探している人が、相談して訓練が必要になった場合に受けます。受講を希望する人は、近くのハローワークに相談してください。わかものハローワークでも、訓練の情報提供と、受講に向けた相談を受けられます。
| 訓練の種類 | 対象 | 費用 |
|---|---|---|
| 公共職業訓練(離職者訓練) | 雇用保険を受給している求職者が中心。訓練期間は概ね3か月から2年 | 受講は無料(テキスト代などは自己負担) |
| 求職者支援訓練 | 雇用保険を受給できない求職者が中心(受給が終わった人も含む) | 受講は無料(テキスト代などは自己負担) |
どちらに当たるかは、雇用保険の受給の状況を窓口に伝えて確認します。コースは、ハローワークインターネットサービスの検索で探してください。都道府県・分野・募集期間・訓練期間を選んで探せます。未経験の職種に移るときの訓練の探し方は、未経験の職種への転職の記事にもまとめています。
トライアル雇用
トライアル雇用は、職業経験の不足などで就職が難しい求職者を、原則として3か月、試しに雇う制度です。期間の定めのない雇用に移るきっかけにすることが目的とされています。期間中も労働基準法などの法律が適用され、賃金が支払われます。
応募の入口は、ハローワークなどでの職業紹介です。そのうえで、トライアル雇用の対象として出された求人に応募してください。求人は、ハローワークインターネットサービスで、条件を指定して探せます。
対象者の条件(求職者向けリーフレットと助成金のページから)
- 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上、離職や転職を繰り返している
- 紹介日の前日の時点で、離職している期間が1年を超えている(アルバイトなども含めて、一切働いていないことが要件)
- 60歳未満で、ハローワークなどで就労に向けた個別支援を受けている
- ほかに、妊娠・出産・育児を理由に離職した人などの条件もある
これらのどれかに当たる人が、紹介を受ける日にトライアル雇用を希望すると、対象になるとされています。安定した職業に就いている人と、卒業していない在学中の人は、対象になりません。
注意
期間が終わった時点で一定の要件を満たさないと、期間の定めのない雇用に移らないことがあります。
アルバイトで働いている人がどの条件に当たるかは、働いた期間や個別支援の有無で変わります。窓口で、自分の状況を伝えて確認してください。
卒業したあとでも、新卒の採用枠に応募できますか?
応募できる場合があります。根拠は、内閣官房などの関係省庁が28卒向けに出した、就職・採用活動の要請です。要請は企業に、「卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者」が新卒の採用枠へ応募できるようにすることを求めています。
その機会を広く知らせることも、要請の内容です。同じ要請は、卒業から3年間は応募できる募集条件にするよう努めることも求めています。通年採用などで、募集の機会を設けることも同様です。
若者雇用促進法に基づく指針は、事業主が努めることとして、次のことを挙げています。
- 学校の卒業者も新卒の枠に応募できる募集条件にし、「卒業後少なくとも三年間は応募できるものとすること」
- 新卒者の募集では、年齢の上限をできる限り設けないこと。設ける場合も、若者が広く応募できるよう検討すること
- 通年採用や秋季採用の導入を検討すること
- いわゆるフリーターの選考では、応募した時点の職業経験だけでなく、留学やボランティアの実績なども考えること。将来性まで含めて、長い目で判断することが望ましいとされています
- 職業経験が十分でなく、はじめから正社員として採用しにくい場合は、トライアル雇用などを活用すること
これらは企業や事業主への要請と指針で、一社ごとの選考でどう扱われるかは外からはわかりません。
注意
窓口の対象の「おおむね3年以内」と、新卒の枠に応募できる「3年間」は、別の決まりです。取り違えないようにしてください。
3年を過ぎた人の扱いは、確認した資料に書かれていません。働いた経験がある人が新卒の枠の対象になるかも、同じです。会社の募集の案内で確認しましょう。わからなければ、採用の担当者に問い合わせます。
卒業前の学生が10月以降に会社を探す手順は、内定がないときに見直すことの記事を参考にしてください。一度就職してから卒業後まもなく動く人の窓口は、第二新卒の転職の進め方の記事にまとめています。この記事は、正社員として働いた経験が十分でない人に絞りました。
アルバイトの経験は、職務経歴書にどう書きますか?
仕事の種類ごとにまとめて書きます。ハローワークのパンフレットは、アルバイトなどの経験も、応募先に伝えられる場合があるとしています。書くのは、仕事の種類ごとの期間・職務内容・勤務先です。
職務経歴書の構成と書く順番は、職務経歴書の書き方の記事を参考にしてください。この見出しでは、アルバイトの経験を書く手順だけを説明します。
仕事ごとに書き出す最初に
アルバイトの仕事を一つずつ、紙に書き出します。分ける項目は、時期・勤務先・職務内容・任された役割や実績です。職務内容は、何をしたかを動詞で書いてください。
同じ種類の仕事をまとめる次に
パンフレットは、販売・飲食・倉庫のように、仕事の種類ごとにまとめる書き方の例を示しています。種類ごとに、通算の期間・職務内容・勤務先を書きます。雇用形態は、アルバイトと括弧書きで添えましょう。
応募先で活かせる要素を探す求人票を読んだあと
書き出した仕事を見直し、責任のある仕事を任された場面や、続けて身につけたことを探します。応募先の求人票の仕事の内容と重なる経験から、順に詳しく書きます。
書くことが足りないときに足す書けることが足りないとき
パンフレットは、職務経歴や資格が十分でないときも、自分を伝えられるとしています。材料にできるのは、次のものです。
- 応募する職種に関わるアルバイトの経験
- 受けた訓練
- いま勉強している分野
- 仕事への姿勢
ハロートレーニングを受けたなら、その内容も材料になります。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
例文:勤め先だけの書き方
コンビニでアルバイトをしていました。
例文:仕事の中身を入れた書き方
【職歴】小売店(コンビニエンスストア)にアルバイトとして通算〇年〇か月勤務。【職務内容】レジ、商品の発注、品出し、新人アルバイトへの指導を担当。シフトリーダーとして、〇人のシフト表の作成と当日の割り振りを任された。
→ 中身を入れた例には、期間・雇用形態・担当した仕事・任された役割が書かれています。
新卒の採用枠に応募するときは、提出する書類を募集の案内で確認してください。履歴書・エントリーシート・職務経歴書のどれを出すかは、会社によって異なります。履歴書の職歴の欄にアルバイトを書く方法と、働いていない期間の書き方は、ブランク期間の説明の仕方の記事にまとめました。
何から、どの順番で進めますか?
書類の形がわかったら、次は何から動けばいいのでしょうか。最初にするのは、紙に4つ書くことです。そのあと窓口に行き、制度が自分に当たるかを聞いてから、書類と面接の準備に進みます。
紙に4つ書く最初に
卒業した年月・いまの年齢・いまの働き方・雇用保険の受給の有無です。窓口の対象と、訓練の種類を確認するのに使います。
窓口に行く次に
最寄りの新卒応援ハローワークかわかものハローワークを、厚生労働省の一覧のページで調べます。わかものハローワークの初回は、予約が要りません。それ以外の窓口は、行く前に問い合わせて確認しましょう。
制度が自分に当たるか聞く窓口で
ハロートレーニングとトライアル雇用が自分の状況に当たるかを、担当者に聞きます。わかものハローワークでは、はじめに課題を把握し、目標と個別支援計画を作るとされています。
職務経歴書を書く応募の前に
前の見出しの手順で書きます。書いた紙は、窓口で応募書類を見てもらうときの材料にもなります。
面接で話す順番を決める応募したら
アルバイトを続けてきた理由と、正社員として働きたい理由をつなぎます。順番は、事実・判断・次の仕事です。組み立ては転職の面接の記事に、働いていない期間があるときはブランク期間の説明の仕方の記事にまとめています。
面接の練習には、このサイトの自己分析チェック(80問)と面接対策150問を使ってください。新卒向けに作ったツールですが、アルバイトの経験を材料にしても練習できます。たとえば、強みを根拠と一緒に答える問い(Q11)と、志望動機を自分の経験で裏づける問い(Q116)です。
窓口に行く前に確認すること0 / 5 完了
編集部
アルバイトの経験は、仕事の名前だけで終わらせないでください。任された役割と、自分が変えたことを一つ添えてくださいね。書き出した紙は、窓口で応募書類を見てもらうときにも使えます。
質問と答え
卒業して3年以上たっていると、新卒の採用枠には応募できませんか?
要請と指針は、卒業から3年間は応募できる条件にすることを求めています。3年を過ぎた人の扱いは、確認した資料に書かれていません。会社の募集の案内で、卒業後の年数や年齢の条件を確かめてください。
アルバイトしかしていなくても、職務経歴書は書けますか?
書けます。ハローワークのパンフレットは、アルバイトの経験を書く例を示しています。仕事の種類ごとに、通算の期間・職務内容・勤務先を書き、応募先で活かせる要素を探して書き足します。
ハロートレーニングは、費用がかかりますか?
厚生労働省のページでは、公共職業訓練(離職者訓練)も求職者支援訓練も、受講は無料です。テキスト代などは自己負担とされています。受講を希望する人は、近くのハローワークに相談してください。
アルバイトで働いていても、トライアル雇用の対象になりますか?
条件は、過去2年以内の離職や転職の回数・離職している期間・ハローワークなどでの個別支援の有無などで決まります。離職期間が1年を超える条件は、アルバイトなども含めて一切働いていないことが要件です。どの条件に当たるかは、窓口で確認します。
参考にした資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確認したものだけを書いています。それぞれ、確認した日を添えました。
厚生労働省「若者への就職支援」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「わかものハローワーク」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「新卒応援ハローワーク」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「新卒応援ハローワーク一覧」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「トライアル雇用」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「トライアル雇用」リーフレット(求職者向け、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
内閣官房ほか「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について」(令和8年3月24日、PDF)
https://www.cas.go.jp/
厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(令和8年10月1日適用、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省『職務経歴書の作り方』(パンフレット、令和5年5月)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
アルバイトの経験を書き出したら、次に読む記事は次の二つです。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。