転職の面接の日が決まり、転職理由と志望動機は用意しました。ただ、職務経歴の説明は何分で話すのか、希望年収を聞かれたら金額を言っていいのかが、まだ決まっていません。勤め先に退職を伝えていないので、入社できる時期の答え方も分かりません。
この記事を読み終えると、転職の面接の質問を九つに分けた見取り図と、質問ごとの答えの組み立ての手順が手元に残ります。希望年収・入社日・勤務地を聞かれる前に読んでおく書面と、最終面接の前に用意する答えも、あわせてまとめています。
この記事は、「この質問が出る」「この答えなら通る」とは書かず、年収の相場も書きません。何を聞いて何を確かめるかは会社が決めることで外からは分からず、相場には公的な出どころが無いからです。決まりは厚生労働省とハローワークの資料で確かめたことだけを書き、例はすべて架空のものにしています。
この記事の結論
質問は、何を聞かれているかで九つに分け、出した職務経歴書と求人票を手元に置いて、分けたものごとに答えを組み立てます。
希望年収は、相場ではなく、いまの年収の事実と希望の根拠を用意し、応募先の求人票の賃金の欄と照らし合わせてから答えます。
厚生労働省が示す公正な採用選考の考え方は、新卒だけでなく中途の採用にも関わります。適性・能力と関係のない質問への返し方も、決めておきます。
質問の分け方と、手元にそろえる書類
転職の面接の質問は、言葉が違っても、何を聞かれているかで分けられます。この記事では、次の九つに分けます。
この記事での質問の分け方(九つ)
自分と経歴を話す質問は、自己紹介と、職務経歴の説明です。
理由と経験を話す質問は、転職理由、志望動機、活かせる経験、入社後にしたいことです。
確かめる質問は、条件の確認(入社日・勤務地・希望年収)、逆質問、最終面接の確認です。
このうち、転職理由は転職の面接、志望動機は転職の志望動機、逆質問は中途の面接の逆質問の記事で組み立てます。この記事では、残りの六つの組み立てを書きます。
準備の前に、応募先に出した履歴書と職務経歴書のコピーと、求人票をそろえます。ハローワークの「応募書類の作り方」は、出した書類のコピーを取り、面接の前に読み返すよう勧めています。書類と食い違う受け答えをしないためです。
面接対策150問を使うとき
このサイトの面接対策150問は、新卒の面接向けに作った問いで、見本の答えは学生を想定しています。ただ、問いの形が転職の面接と同じものがあるので、この記事では章ごとに番号を挙げます。答えの中身は自分の職務経歴の事実に置き換え、声に出す練習に使います。
自己紹介と職務経歴の説明
自己紹介と職務経歴の説明は、どちらも職務経歴書の「職歴の要約」から作ります。要約の書き方は、職務経歴書の書き方の記事にまとめています。
自己紹介は、職務の要約、いまの仕事、応募した理由の順に短く話します。時間を指定されたら、要約を削って収めます。面接対策150問のQ1(自己紹介)は問いの形が同じなので、声に出して時間を計る練習に使えます。
職務経歴の説明は、次の順に組み立てます。
要約を、声に出せる長さにする最初に
要約に、勤め先ごとの期間、職種、担当の範囲が入っているかを確かめます。読み上げて、時間を計ります。
求人票と重なる経験から詳しく話す次に
応募先の求人票の仕事の内容と重なる経験を、先に詳しく話します。重ならない経験は、期間と職種だけにとどめます。
数字には、期間と比べた相手を添える数字を言うとき
何の数字か、いつの期間か、何と比べたかを添え、職務経歴書と同じ値で話します。測り方を重ねて聞かれたときのために、根拠の記録も読み返しておきます。
数字の書き方は営業職の職務経歴書の書き方の記事に、社外に出せない情報の扱いは転職の面接の記事にまとめています。仕事をしていなかった期間があれば、ブランク期間の説明の仕方の記事の順番で話します。面接対策150問のQ56(成果を数字で)とQ57(数字の測り方)も、問いの形が同じです。
活かせる経験と、入社後にしたいこと
転職理由と志望動機のあとに、これまでの経験を応募先でどう使うか、入社してから何をするかを聞かれることがあります。ハローワークの「応募書類の作り方」も、応募先の仕事で使える自分の経験や能力から、アピールの内容を考えるよう勧めています。
活かせる経験
求人票の仕事の内容を、作業に分ける最初に
求人票の仕事の内容と応募の条件を読み、何をする仕事かを、作業の言葉で一行ずつ書き出します。
作業ごとに、自分の経験を当てる次に
書き出した作業ごとに、職務経歴書のどの経験が対応するかを当てます。対応する経験が無い作業は、空けたままにします。
場面を一つ添えて話す答えるとき
いちばん重なる経験を一つ選び、その経験をした場面と、応募先の仕事のどこで使うかを話します。
職種を変えて応募するときの重なりの探し方は、未経験の職種への転職の記事にまとめています。面接対策150問のQ14(仕事でどう活かすか)も、問いの形が同じです。
入社後にしたいこと
入社後にしたいことは、求人票の職種と仕事の内容の言葉を使い、最初に担当する仕事から話します。そのうえで、活かせる経験をどの仕事で使い、何を新しく覚えるかを添えます。
ばくぜんとした例(架空)
御社で成長して、いずれは会社に貢献したいと考えています。
仕事の言葉で話した例(架空)
最初の1年は、求人票にあった〇〇の業務で、前職の△△の手順を使い、担当の顧客を引き継ぎます。並行して御社の□□の仕組みを覚え、その先は□□の提案まで担当したいと考えています。
→ 仕事の言葉で話した例には、最初に担当する仕事、そこで使う経験、新しく覚えることの三つが入っています。
入社後に担当する範囲が求人票から読み取れないときは、面接の最後に確かめます。質問の作り方は中途の面接の逆質問の記事に、練習の問いは面接対策150問のQ123(入社後の1年)にあります。
条件の確認:入社日・勤務地・希望年収
条件の質問には、求人票に書かれた条件と、自分の事実を並べてから答えます。厚生労働省の求職者向けのリーフレットによると、会社は求人票や募集要項で、仕事の内容・就業場所・賃金などを示す決まりです。2024年4月からは、仕事の内容と就業場所の「変更の範囲」も、示す項目に加わりました。
一部をあとで示す場合も、原則として、面接などで最初に接する時点までにすべての条件を示すこととされています。示されていない条件があれば、面接で確かめます。
入社日
勤め先の決まりと、残りの仕事を書き出す面接の前
在職中なら、就業規則で退職の申し出の時期を確かめ、引き継ぎにかかる日数と、年次有給休暇の残りの日数を書き出します。
日付か期間で答える答えるとき
書き出したことから入社できる日を決め、日付か期間で答えます。例(架空):「〇月〇日以降なら入社できます」「内定のご連絡から〇か月ほどで入社できます」。
書類と同じ日を答える書類に書いたとき
ハローワークの「応募書類の作り方」は、本人希望記入欄に入社できる日を書く例を挙げています。欄に書いたなら、面接でも同じ日を答えます。
退職の申し出の決まりと、退職の時期を決める順番は、在職中の転職活動の進め方の記事にまとめています。
勤務地
就業場所の欄を読む最初に
ハローワークの「求人情報の見方」のページによると、求人票の就業場所の欄には、雇い入れ直後の場所が書かれます。転勤などで別の場所に配置される見込みがあれば、「転勤の可能性」の欄に書かれます。「変更の範囲」の欄があれば、それも読みます。
自分が働ける範囲を決める次に
通える範囲、転居ができるか、できるならいつからかを、自分の条件として書き出します。
できるかどうかを先に言う答えるとき
転勤ができるか、できないかを先に言い、条件があればその内容を添えます。
面接対策150問のQ126(転勤や異動の可能性)も、問いの形が同じです。制約の理由として家族のことを尋ねられたときの考え方は、次の章に書きます。
希望年収
この記事では、年収の相場は書きません。公的な出どころの無い数字を、答えの基準にしないためです。希望年収は、次の順に用意します。
いまの年収を、内訳に分けて確かめる最初に
直近1年の給与明細と賞与の明細から、基本給・手当・残業代・賞与に分け、税込みの額で足します。ハローワークの「求人情報の見方」のページによると、求人票の賃金は税込みの額です。比べるときは、いまの年収も税込みにそろえます。
希望の額と、その根拠を決める次に
生活に必要な額や譲れない下限など、自分の事情から希望の額を決めます。勤務地や働く時間など、ほかの条件と比べて、どれを優先するかも決めておきます。
求人票の賃金の欄を読む面接の前
賃金の形(月給・年俸制など)と、基本給・手当の内訳を読みます。固定残業代があれば、何時間分でいくらか、その時間を超えた分の扱いも読みます。
ハローワークの「求人情報の見方」のページによると、昇給と賞与は前年度の実績で、採用後の待遇の約束ではありません。
答え方を決める答えるとき
求人票の賃金の幅で構わないなら、「求人票の条件を拝見しました。御社の規定に従います」と答えられます。下限があるなら、いまの年収の事実、希望の額、その根拠を、この順に短く伝えます。
事実の無い答えの例(架空)
今より上がれば、いくらでも構いません。
事実と根拠を添えた例(架空)
現在の年収は、賞与と残業代を含めて税込みで約〇〇〇万円です。生活の事情から、〇〇〇万円を下限に考えています。求人票の賃金の欄は拝見していますので、その中で御社の規定に沿ってご判断いただければと思います。
→ 添えた例には、いまの年収の事実、下限とその根拠、求人票を読んだことの三つが入っています。
ハローワークの「応募書類の作り方」は、履歴書の本人希望記入欄に書くことが特に無いときの書き方を挙げています。その一つが「勤務条件は貴社の規定に従います。」です。勤務条件の具体的な希望は、欄にそのまま書かずに、面接などの場で相談する方法を示しています。
面接の途中で、求人票と違う条件を示されたときは、その内容を書面やメールで受け取れるかを尋ねます。厚生労働省のリーフレットによると、面接などの途中で最初の労働条件を変えるときは、会社はその内容を示す必要があります。内定のあとに受け取る労働条件通知書の読み方は、内定後に確かめる労働条件の記事にまとめています。
適性・能力と関係のない質問
中途の採用にも関わる決まりとして、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、採用選考の基本の考え方を二つ挙げています。応募者の基本的人権を尊重することと、適性と能力にもとづく基準で行うことです。面接についても、仕事に必要な適性と能力を見る観点から質問を前もって決め、関係のない事項は尋ねないよう、企業に示しています。
このページは応募用紙についても、新卒者以外の求職者が使う様式を示していて、新卒の採用だけを扱うものではありません。個人情報の面でも、職業安定法などで、差別の原因になりうる個人情報の収集は原則として認められていません。ページの注によると、この決まりは労働者の募集を行う者にも及びます。
公正採用選考特設サイトは、就職差別のおそれがある事項として、14の事項を挙げています。家族に関すること(職業・続柄・健康・収入など)、住宅状況、尊敬する人物や愛読書などです。同じサイトのQ&Aは、既往歴の確認なども含む採用選考時の健康診断を、合理的・客観的に必要な場合に限るよう求めています。
同じQ&Aは、話の流れで尋ねた事柄にも、こうした事項が含まれることがあるとしています。勤務地や入社日の話から家族のことに及んだときは、通える範囲や転居できる時期など、自分が働ける条件として答えを返せます。返し方と記録の残し方は、面接で答えなくていい質問の記事にまとめています。
こうした質問を受けたときの問い合わせ先として、厚生労働省は、最寄りのハローワークと都道府県労働局を案内しています。
最終面接の前に用意する答え
最終面接で何を確かめるかも、会社によって違います。ここでは、入社の意思と条件にかかわる質問に、事実で答えられるようにしておく手順を書きます。
ほかの会社の選考状況を書き出す前日まで
応募している会社の数と、それぞれの選考の段階を書き出します。社名まで言うかどうかは、自分で決めて構いません。
入社の意思と、迷っている点を分ける前日まで
入社したいかどうかと、迷っている点を分けて書きます。迷っている点は、何が分かれば決められるかまで書きます。
条件の答えを一枚にまとめる前日まで
入社日・勤務地・希望年収について、ここまでの面接で答えたことと、求人票の条件を一枚に並べます。前の面接と違う数字や日付を言わないためです。
内定の連絡のあとの手順を決めておく連絡を受けたら
労働条件通知書などの書面を受け取り、求人票や面接で聞いた条件と照らし合わせてから返事をします。ハローワークの「求人情報の見方」のページも、求人票は雇用契約書ではないとしています。
面接対策150問のQ118(他社の選考状況)とQ119(入社の意思と迷う点)も、問いの形が同じです。
面接の前に確かめること0 / 8 完了
答えを用意したら、出した職務経歴書と求人票を横に置いて、声に出して答えてみてください。書類と違う数字や日付が口から出たら、話すほうを書類にそろえて直します。
よくある質問
希望年収を聞かれたら、相場の金額を答えればいいですか?
この記事では、年収の相場は書きません。公的な出どころが無いからです。いまの年収を税込みの内訳で確かめ、希望の額と根拠を決めて、求人票の賃金の欄と照らし合わせてから答えます。
「御社の規定に従います」と答えてもいいですか?
ハローワークの「応募書類の作り方」は、本人希望記入欄に特に書くことが無いときの書き方に「勤務条件は貴社の規定に従います。」を挙げています。求人票の賃金の幅で構わないなら、面接でも同じように答えられます。下限があるなら、いまの年収の事実と根拠を添えます。
在職中で、入社できる日がまだ決められません。
就業規則で退職の申し出の時期を確かめ、引き継ぎと年次有給休暇の残りの見込みから、「内定のご連絡から〇か月ほど」のように期間で答えます。日付が決まったら、日付で伝え直します。
中途の面接でも、家族のことを聞かれたら答えないといけませんか?
厚生労働省は、家族に関すること(職業・続柄・健康など)を、企業が把握しないよう示す事項に挙げています。この考え方は新卒の採用に限りません。答えるかどうかは自分で決められ、問い合わせ先はハローワークと都道府県労働局です。
参考にした公的資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確かめたものだけを書いています。確かめた日も添えています。
厚生労働省「公正な採用選考の基本」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省 公正採用選考特設サイト「求職者の皆様へ」
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/
厚生労働省 公正採用選考特設サイト「よくある質問」
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/
厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!(求職者の皆さまへ)」(リーフレット、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「求人情報の見方」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「応募書類の作り方」パンフレット(1. 履歴書、PDF)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
質問ごとの組み立てのうち、転職理由と、内定のあとに条件を書面で確かめる手順は、それぞれの記事にまとめています。
【完全無料】
面接の答えの組み立てを、模擬面接で確かめる
はじめに状況をお聞きします。そのうえで、合いそうな条件や職種をお伝えします。面談のあとは、職務経歴書を見たり、模擬面接をしたりできます。どれを進めるかは、面談の最後に決めます。
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