求人票の隅に、若葉の形のマークや「くるみん」「えるぼし」のマークが載っている。説明会では「国の認定を受けています」と聞く。でも、何を満たした印なのかは、わからないままではありませんか。
自分が確認したい残業や休みの条件と、どうつながるのかも、わかりにくいですよね。
先に、答えを書いておきます。三つの認定は、別々の法律に基づく基準を、ある時点で満たした印です。自分が確認したい条件への答えそのものではありません。条件は、求人票と職場情報で、出典と時点をそろえて確認しましょう。
この記事は、気になる会社の認定やデータを、応募の前に読み解きたい人に向けて書きました。「認定がある会社を選べばよい」「認定が無い会社は避ける」とは書きません。制度の説明は、厚生労働省の資料で確認したことだけです。資料と確認した日は、末尾の「参考にした資料」にまとめました。
この記事でわかること
ユースエール・くるみん・えるぼしは、別々の法律に基づいて厚生労働大臣が認定する制度です。三つの認定が見ている基準の違いがわかるようになります。
認定を受けた会社と、会社が公表したデータを調べる場所は、厚生労働省のサイトと「しょくばらぼ」です。
データを読むときに確認する四つの点(何を数えたか・何で割ったか・いつの数字か・どう動いてきたか)がわかるようになります。
自分の条件を、求人票と職場情報で確認するメモを作れるようになります。
三つの認定は、それぞれ何を基準にしていますか?
基準は、認定ごとに違います。三つとも、会社が申請し、基準を満たしたときに厚生労働大臣が認定する制度です。一つの認定があっても、ほかの認定の基準を満たすとは限りません。
| 認定 | もとになる法律 | 申請できる会社 | 見ていること |
|---|---|---|---|
| ユースエール | 若者雇用促進法 | 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業 | 若者の採用と育成、若者の雇用管理の状況 |
| くるみん | 次世代育成支援対策推進法 | 規模や業種を問わない | 働く人の仕事と子育ての両立 |
| えるぼし | 女性活躍推進法 | 女性の活躍についての行動計画を作って届け出た会社 | 採用・継続就業・労働時間等の働き方・管理職比率・多様なキャリアコースの五つの項目 |
ユースエール認定(若者雇用促進法)
若者の採用と育成に力を入れ、若者の雇用管理の状況などが基準を満たした中小企業を認定する制度です。数字で決まった基準は、次の四つです。
| 項目 | ユースエール認定の基準 |
|---|---|
| 離職率 | 直近3事業年度に、新卒などで正社員として入った人の離職率が20%以下 |
| 残業 | 前の事業年度の、正社員の所定外労働時間の月平均が20時間以下。法定時間外労働が月平均で60時間以上になった正社員もいない |
| 有給休暇 | 前の事業年度の正社員について、取得率の平均が70%以上か、取得日数の平均が10日以上 |
| 育児休業等 | 直近3事業年度に、取得した男性が1人以上いるか、女性の取得率が75%以上 |
数字のほかに、人材育成の方針と教育訓練の計画を作っていることも基準です。若者雇用促進法に基づく職場情報を、決められた項目について公表していることも求められます。
メモ
法定時間外労働は、法律で決まった1日8時間・週40時間を超えた労働です。
くるみん認定(次世代育成支援対策推進法)
出発点は、会社が働く人の仕事と子育ての両立を支える行動計画を作り、目標を達成することです。そのうえで基準を満たすと、「子育てサポート企業」として認定されます。
より高い水準の基準を満たしたプラチナくるみんと、2022年4月に始まったトライくるみんもあります。不妊治療と仕事の両立の取組を加えたものが、「プラス」の認定です。
基準は2025年4月1日に改正されました。厚生労働省のパンフレット(令和8年2月)では、くるみんの基準は9項目です。数字で決まっている基準には、次のものがあります。
| 項目 | くるみん認定の基準(2025年4月からの基準) |
|---|---|
| 男性の育児休業等 | 計画期間の取得率が30%以上で、その割合を厚生労働省の「両立支援のひろば」に載せている。会社独自の育児目的の休暇と合わせて数える方法もある |
| 女性の育児休業等 | 計画期間の取得率が75%以上。育児休業の対象になる有期雇用の女性についても、75%以上 |
| 残業 | 計画期間が終わる事業年度に、フルタイムで働く人の法定の時間外労働と休日労働の合計の平均が、各月30時間未満。25〜39歳で働く人の平均が各月45時間未満でもよい |
| 長い残業 | 法定時間外労働が月平均で60時間以上になった人がいない |
えるぼし認定(女性活躍推進法)
女性の活躍についての行動計画を作って届け出た会社が対象です。そのうち、取組の実施状況などが基準を満たした会社を認定します。段階は、五つの項目のうち、満たした項目の数で分かれます。
| 満たした項目の数 | 段階 | 加わる条件 |
|---|---|---|
| 五つ全部 | 3段階目 | 満たしていない項目が無いので、加わらない |
| 三つか四つ | 2段階目 | 満たしていない項目の実績が改善していることなど |
| 一つか二つ | 1段階目 | 満たしていない項目の実績が改善していることなど |
さらに上の基準を満たしたプラチナえるぼしもあります。2026年4月1日には、女性の健康支援の基準を加えた「えるぼしプラス」が始まりました。
労働時間等の働き方の項目では、法定の時間外労働と休日労働の合計の平均を、雇用管理区分ごとに見ます。厚生労働省のパンフレットでは、直近の事業年度のどの月も45時間未満であることが基準です。
雇用管理区分は、総合職と一般職のように、会社が分けて雇用管理をしている働く人の区分です。
認定は、いつの時点の働き方を表していますか?
認定は、申請した会社がその時点の基準を満たした印です。時点の決まりは、認定ごとに違います。
| 認定 | 時点にかかわる決まり(厚生労働省の資料から) |
|---|---|
| ユースエール | 認定のあとも、事業年度ごとに、基準に合っているかの確認を受ける |
| くるみん | マークの上の部分に最新の認定年が入り、星の数はそれまでに認定を受けた回数。2025年4月からの基準で認定されたマークには、「(2025年度基準)」と書かれる。2027年3月31日までは改正前の基準でも申請でき、その場合は改正前の基準のマークになる |
| えるぼし | 認定のあとも年に1回以上、満たした項目の実績を女性の活躍推進企業データベースに載せる。2段階目と1段階目の会社は、満たしていない項目の取組の状況も載せる |
基準の数字は、会社全体や区分ごとの平均と割合です。配属される部署の働き方は、認定からはわかりません。
認定を受けた会社とデータは、どこで探せますか?
厚生労働省のサイトで探せます。認定ごとの一覧に加えて、会社が公表したデータも同じサイトで読めます。
| 認定 | 認定企業の一覧 | データを調べるサイト |
|---|---|---|
| ユースエール | 「若者雇用促進総合サイト」に一覧がある | 同じサイトの企業検索で、認定を受けた会社に絞れる。若者雇用促進法に基づく職場情報を出している会社を調べるサイト |
| くるみん | 厚生労働省のページに、都道府県別の一覧(令和8年8月末時点)がある | 「両立支援のひろば」で、企業名・所在地・業種から、会社の行動計画と取組を検索できる |
| えるぼし | 厚生労働省のページに、一覧(令和8年8月末日現在)がある | 「女性の活躍推進企業データベース」で、会社ごとの「企業認定等」の欄に、受けている認定のマークが付く |
| 三つをまとめて | 「しょくばらぼ」で条件から探すときに、「認定・表彰・その他の制度」を選べる | 「しょくばらぼ」で、三つのサイトに載った情報を横断して調べ、会社どうしを比較できる |
注意
一覧に名前が無くても、認定が無いとは限りません。くるみんの一覧は、公表に了解した会社だけを載せています。えるぼしの一覧にも、希望で載せていない会社があると書かれています。
気になる会社は、求人票や採用ページのマークも見てください。それでもわからなければ、会社に問い合わせましょう。
しょくばらぼの基本の使い方は、企業研究のやり方の記事でも触れています。同じ会社の求人がハローワークインターネットサービスに載っていれば、しょくばらぼの会社の画面からその求人へ移れます。
公開データの数字は、どこに注意して読みますか?
確認するのは、次の四つの点です。女性の活躍推進企業データベースのページは、載っているデータは会社が自ら公表したものだと説明しています。厚生労働省の求職者・学生向けのリーフレットも、数字を見るときの注意を挙げています。
| 確認する点 | 見ること |
|---|---|
| 何を数えた数字か | 同じ残業でも、数え方の違う数字がある。しょくばらぼの用語説明では、「月平均所定外労働時間」と「平均残業時間」は別の項目 |
| 何で割った数字か | リーフレットによると、会社が任意で出す数字は、計算に使う分母が会社ごとに違うことがある |
| いつの数字か | どの事業年度の数字か、いつ更新されたか。しょくばらぼは、同じ項目の出典が複数あるときは、更新日がいちばん新しいものを表示すると説明している |
| どう動いてきたか | 一年分だけで読まず、年ごとの変化と、行動計画の目標をあわせて読む。データベースのページによると、平均継続勤務年数は、設立まもない会社や新規採用を増やした会社では短く出ることがある |
残業の二つの項目の数え方の違いは、次のとおりです。
| 項目(しょくばらぼ) | 数えているもの | 数えない人 |
|---|---|---|
| 月平均所定外労働時間 | 正社員の所定外労働時間の月平均 | 課長級以上の人 |
| 平均残業時間 | 法定の時間外労働と休日労働の合計の月平均 | 管理監督者や短時間で働く人など |
認定の基準も、数え方が分かれます。ユースエールは所定外労働時間で数え、くるみんとえるぼしは法定の時間外労働と休日労働で数えます。二つの会社を比較する前に、何を数えて何で割った数字かをそろえてください。
自分の条件は、どの順番で確認しますか?
求人票と職場情報で、次の五つの順に確認します。認定とデータは、調べる入口です。
確認したい条件を書き出す最初に
残業・休み・育児と仕事の両立・研修など、自分にとって譲れない条件を書き出します。条件の軸の作り方は、就活の軸の決め方の記事にまとめています。
条件と、基準・データの項目を結ぶ次に
条件ごとに、関係する認定の基準とデータの項目を書き出します。たとえば「残業は月〇〇時間まで」なら、三つの認定の残業の基準が当たります。しょくばらぼでは、「月平均所定外労働時間」と「平均残業時間」の欄です。
求人票で労働条件を確認する応募の前
厚生労働省のリーフレットは、募集する会社が示す労働条件を挙げています。仕事の内容・就業場所・始業と終業の時刻・所定外労働の有無・賃金などです。求人票と募集要項で、自分の条件に関わる欄を読んでください。
職場情報で確認する応募の前
若者雇用促進法では、会社は平均勤続年数や研修の有無などの職場情報を、求職者に提供することになっています。公表されていない項目の求め方は、企業研究のやり方の記事にまとめています。
わからないことを質問にする説明会・面接
ここまででわからなかったことは、説明会や面接で聞く質問にします。面接対策150問のQ135(配属や評価について確認したいこと)で、聞き方の練習ができます。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
書き方の例:認定で止まったメモ
〇〇社:くるみん認定あり。条件は確認済み。
書き方の例:条件ごとに出典を書いたメモ
〇〇社 残業:求人票に所定外労働ありと書かれている。職場情報の所定外労働時間の月平均はXX時間(20XX年度、若者雇用促進総合サイト)。くるみん認定は20XX年で、「2025年度基準」の表記あり。配属先の部署の残業はわからないので、説明会で聞く。
→ 条件ごとに書いたメモには、数字の出典と時点と、まだわからないことが入っています。認定で止まったメモは、認定があることを、条件を確認した代わりにしています。
「くるみん認定あり」の一言で、条件まで確認したつもりになっていませんか。認定の有無と、自分の条件の確認は、別の行に書き分けましょう。
面接対策150問には、働き方についての考えを聞く問いもあります。Q127(残業や休日の働き方)とQ130(長く働き続けるために必要な条件)です。確認した条件を、自分の言葉で話す練習に使ってください。
応募の前に確認すること0 / 5 完了
編集部
認定やデータを書き留めるときは、どのサイトで見たかと、いつの数字かを同じ行に書いてください。二つの会社を比較するときは、同じ時点の数字どうしを選びましょう。
質問と答え
認定を受けていない会社は、避けたほうがいいですか?
認定の有無だけでは、決められません。認定は、会社が申請して基準を満たしたときに受けるものです。ユースエールは、中小企業だけが対象です。確認したい条件は、認定の有無にかかわらず、求人票と職場情報で確認しましょう。
認定企業の一覧に、会社の名前がありません。
一覧に無いだけでは、認定が無いとは言えません。くるみんの一覧は、公表に了解した会社だけを載せています。えるぼしの一覧にも、希望で載せていない会社があります。求人票や採用ページのマークを見て、わからなければ会社に問い合わせてください。
くるみんのマークに書かれた年は、何を表していますか?
厚生労働省のパンフレットによると、マークの上の部分の年は最新の認定年で、星の数はそれまでに認定を受けた回数です。2025年4月からの基準で認定されたマークには、「(2025年度基準)」と書かれます。
しょくばらぼと、ほかのサイトで数字が違います。
しょくばらぼは、三つのサイトなどから情報を集めて表示しています。同じ項目の出典が複数あるときは、更新日がいちばん新しいものを表示すると説明しています。どの事業年度の数字か、何を数えた数字かを、元のサイトで確認しましょう。
参考にした資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確認したものだけを書いています。それぞれ、確認した日を添えました。
厚生労働省「ユースエール認定制度」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省 若者雇用促進総合サイト「若者雇用促進総合サイトの使い方」
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/
厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省 次世代育成支援対策推進法関係パンフレット(令和8年2月)17〜25ページ(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「くるみん認定、プラチナくるみん認定及びトライくるみん認定企業名都道府県別一覧」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省 両立支援のひろば「一般事業主行動計画公表サイト」
https://ryouritsu.mhlw.go.jp/
厚生労働省 パンフレット「女性活躍推進法に基づくえるぼし認定・プラチナえるぼし認定のご案内」(令和8年6月作成、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「女性活躍推進法への取組状況(一般事業主行動計画策定届出・「えるぼし」「プラチナえるぼし」認定状況)」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省 女性の活躍推進企業データベース「データを見るときのポイント」
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職場情報総合サイト しょくばらぼ「学生・求職者の方向け利用方法」
https://shokuba.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職場情報総合サイト しょくばらぼ「情報掲載元サイト」(PDF)
https://shokuba.mhlw.go.jp/
厚生労働省 職場情報総合サイト しょくばらぼ「用語説明」
https://shokuba.mhlw.go.jp/
厚生労働省 リーフレット「自分に合った就職先を検討するために職場情報を確認しましょう」(求職者・学生等向け、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
職場情報の求め方と、条件の作り方の記事にまとめています。最初に読む記事は、次の二つです。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。