「プロジェクトは何本もあるのに、どこまで細かく書けばいいんだろう」。職務経歴書を開いたまま、手が止まっていませんか。
顧客の名前や案件の内容を、どこまで書いていいのかも迷いますよね。
先に、答えを書いておきます。プロジェクトごとに、期間・体制の人数・担当工程・使った技術・自分の役割・工夫の6項目を、同じ順で書きます。顧客名は、前の勤め先の決まりを確認してから、業種と規模に言い換えましょう。使える技術は、任された作業と使った期間で水準を書いてください。
この記事は、開発や運用の仕事を続けてきて、別の会社のエンジニア職に応募する人に向けて書きました。「この書き方なら書類選考を通る」とは書きません。書類で何を見るかは、会社が決めることだからです。年収や求人の数、求められる言語の傾向も、公的な出典が無いので書きません。欄の決まりは、ハローワークの「職務経歴書の作り方」で確認したことだけです。守秘の決まりの内容は公的な資料で確認できなかったので、確認の仕方と伏せ方だけを書きます。
この記事でわかること
プロジェクト1本を、6項目で同じ順に書く型がわかります。
顧客名・製品名・非公開の数字は、決まりを確認してから言い換えて伏せましょう。その手順がわかるようになります。
使える技術の欄を、任された作業と使った期間で、水準まで書いた形で作れるようになります。
経験が浅いときに使う材料と、応募先に合わせて枚数に収める手順もわかります。
職務経歴書の欄には、どんな決まりがありますか?
入れる決まりがある欄は、四つです。ハローワークの「職務経歴書の作り方」のパンフレットは、記載項目を自由としています。決まりがあるのは、標題・氏名・日付・職務経歴です。
分量と書式の決まりは、次の表にまとめました。
| 決まり | パンフレットの内容 |
|---|---|
| 分量 | A4縦1〜2枚程度が一般的 |
| 別紙を付けるとき | 「開発担当プロジェクト一覧」のような別紙を付けるときは、枚数が1〜2枚から若干延びても差し支えない |
| 年号 | 和暦か西暦のどちらかにそろえる。IT企業などへの応募では、西暦が一般的 |
| 専門的な用語や内容 | かっこ書きで説明を付ける |
職務経歴の欄は、勤務先ごとに期間・勤務先・事業内容・所属・役職・雇用形態・職務内容・実績を書く形で示されています。職務内容には、仕事の具体的な内容・処理の方法・責任の範囲を書き、使った機器や技術も付けられます。エンジニアは、この職務内容を、プロジェクトごとに分けて書きます。
この記事での呼び方
「プロジェクト」は、期間と目的のある一つの開発や運用の仕事のことです。公的な定義のある言葉ではなく、この記事での呼び方です。「6項目」も、この記事で決めた分け方になります。
職務経歴書の全体の構成と書く順番は、職務経歴書の書き方の記事にまとめています。使ったツールと操作の水準の考え方は、事務職の職務経歴書の書き方の記事も参考にしてください。
プロジェクト1本は、どう書きますか?
6項目を、毎回同じ順で書きます。勤務先の枠の下に、プロジェクトを一つずつ書いていきましょう。順番は、勤務先の並びと同じにそろえます。
パンフレットは、迷うときは古い経歴から書く方法にするとしています。新しい経歴から書く方法も、パンフレットの例の一つです。項目の順をそろえておくと、どのプロジェクトも、同じ位置に同じ情報が来ます。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 期間 | 「20XX年4月〜20XX年9月(6か月)」のように、年月と月数を書く。パンフレットも、期間に年数や月数を添える形を示している |
| 体制の人数 | 「全体〇人、自分のチーム〇人」のように、人数を二段で書く。パンフレットは、所属に部署の人数を、管理職には部下の人数を添えるとしている。プロジェクトの体制も、同じ考え方で人数を添える |
| 担当工程 | 要件の整理・設計・実装・テスト・リリース・運用や保守のうち、自分が担当した工程。工程の呼び方は会社によって違うので、やった作業がわかる言葉にする |
| 使った技術 | そのプロジェクトで使ったもの(言語・フレームワーク・データベース・OSやクラウド・ツール)。パンフレットは、職務内容に使った機器や技術を付けてよいとしている |
| 自分の役割 | 実装の担当・レビューの担当・チームの進行の担当など、責任の範囲。何を自分で決め、何を人に確認したかも一言添える |
| 工夫 | 変える前の状態・自分が変えたこと・変えたあとの状態の順に書く。数値を添えるときは、何の数値か・いつの期間か・何と比べたかを入れる |
数値の添え方は、営業職の職務経歴書の書き方の記事を参考にしてください。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
例文:工程と技術の名前が無い書き方
業務システムの開発に参加。複数の言語とデータベースを使用。
例文:案件名と6項目を同じ順で書いた書き方
【期間】20XX年4月〜20XX年9月(6か月)
【案件】小売業向け受発注システムの改修
【体制】全体〇人、開発チーム〇人(自分を含む〇人が実装)
【担当工程】詳細設計、実装、単体テスト、結合テストの実施
【使った技術】言語〇〇、データベース〇〇、バージョン管理ツール〇〇
【役割】〇〇画面の機能の実装を担当。ほかのメンバーの実装のレビューも担当
【工夫】表示に時間がかかっていた〇〇の集計の方法を変更し、画面の表示時間を〇秒から〇秒に短縮
→ 同じ順で書いた例には、【案件】の欄のほかに、6項目がすべて入っています。どの工程を、どの技術で、どの範囲まで担当したかが読み取れます。
顧客名や非公開の情報は、どう書きますか?
決まりを確認し、言い換えて伏せます。プロジェクトの話には、次のような外に出せない情報が混ざります。
- 顧客の名前
- 製品やシステムの名前
- システムの構成
- 売上の数字
どこまで書いてよいかは、前の勤め先の決まりや、顧客との取り決めで変わります。その決まりの内容は、書きません。パンフレットに記載が無く、ほかの公的な資料でも確認していないためです。
書く前に、決まりを確認する最初に
前の勤め先の就業規則・入社のときなどに交わした書面・案件に関わる取り決めを読み直します。在職中なら、社内の担当部署に確認してください。書いてよいか判断できない情報は、伏せるほうに倒しましょう。
顧客名を、業種と規模に言い換える次に
顧客の名前の代わりに、「小売業(従業員〇〇人規模)」のように業種と規模を書きます。パンフレットも、勤務先の事業内容を、事業の種類と従業員の人数で書く例を示しています。顧客の種類は、職務内容に付けてよいとされています。
製品名やシステム名を、種類に言い換える次に
社内や顧客だけで通じる名前は、「受発注システム」「在庫管理システム」のように、種類で書きます。
非公開の数字を、比率や期間に言い換える次に
売上の金額や処理の件数は、前の方式と比べた短縮の割合や、運用した期間に置き換えます。取引先の社名や金額を書けないときの考え方は、営業職の職務経歴書の書き方の記事も参考にしてください。
資料そのものは付けない最後に
前の勤め先で作った設計書・画面の画像・ソースコードは、職務経歴書にも別紙にも付けません。別紙にするのは、文字で書いたプロジェクトの一覧までです。
例文:伏せ方が足りない書き方
顧客:〇〇株式会社。システム名:△△。年間の取引額:〇億円の受発注を処理。
例文:伏せた書き方
顧客:小売業(従業員〇〇人規模)。システム:受発注システム。処理にかかる時間を、前の方式と比べて〇%短縮。
→ 伏せた例でも、業種・システムの種類・変わったことは読み取れます。
注意
勤務先の名前は、略さずに正式な名称で書きます。パンフレットは、企業名などの固有名詞は略号を使わず、正式の名称で書くとしています。伏せるのは、勤務先ではなく、顧客や案件の名前です。
面接では、提出した職務経歴書の内容に基づいて質問されることがあります。伏せた部分を聞かれる場面に備えて、話せる範囲を先に決めておきましょう。話せない部分は話せないと伝え、自分の役割・使った技術の種類・工夫の三つで答えます。
使える技術の欄は、どう書きますか?
名前に、水準と期間を添えます。パンフレットの記載項目の表には、能力を書く項目の見出しの例が載っています。「扱える機械」「扱える言語」「活かせる技術」「専門知識」などです。
この中から自分に合う見出しを選んで、使える技術の欄を作りましょう。事務系の職種では、操作できるソフトの名前に加えて、操作できる水準も付けられるとされています。
技術を分ける最初に
言語・フレームワークやライブラリ・データベース・OSやクラウド・開発のツールの五つに分けて書き出します。この分け方は、この記事での呼び方です。
水準を、何をしたかで書く次に
「初級」「中級」「上級」の一語は、何ができるかを決めていません。できる作業(使った道具、担当した工程、一人でできたか)を書いてください。パンフレットの表計算ソフトの記載例は、できる操作で水準を書いています。集計やグラフ作成のほか、財務関数まで扱える、という書き方です。同じように、「設計から実装、単体テストまで担当」「既存の処理の修正が中心」のように、任された作業で書きましょう。
使った期間を添える次に
「約〇年(20XX年〜20XX年)」のように、使った期間と、最後に使った時期を書きます。
名前は正式な名称で書く次に
略称や社内だけの呼び方は使いません。パンフレットは、固有名詞は略さず正式の名称で書くとしています。技術やツールの名前も、この考え方にそろえましょう。専門的な語には、かっこ書きで説明を付けます。
資格は取得年月まで書く最後に
資格の名前は、合格証に書かれた正式な名称で書きます。パンフレットは、取得年月を付けてよいとしています。勉強中のもの・失効したもの・一次試験だけ合格したものも、その旨を明記すれば書いてかまいません。
例文:水準がわからない書き方
言語:〇〇、△△、□□(すべて経験あり)。クラウド:経験あり。
例文:水準がわかる書き方
【扱える言語】言語〇〇:約〇年。設計から実装、単体テストまで担当。言語△△:約〇年。既存の処理の修正が中心。
【データベース】データベース〇〇:約〇年。テーブルの設計と、処理が遅い問い合わせの見直しを担当。
【クラウド】〇〇:勉強中。自分で作った小さなシステムを置いて動かした。
→ 水準がわかる例には、任された作業・期間・勉強中の表示が入っています。技術の名前だけの書き方とは、読み取れることが違います。
実務の経験が浅いときは、何を書きますか?
小さな担当も、そのまま書きます。パンフレットは、職務経歴や資格がなく、実務に自信がない場合に使える材料として、次の六つを挙げています。
- 応募職種と関係のあるアルバイトの経験
- 訓練や研修の経験
- いま勉強している分野
- 性格や行動の特徴
- 仕事への姿勢
- 将来の目標
思い当たる材料は、ありませんか。研修の記録や、いま学んでいる技術も、書く材料になります。担当した範囲が小さいときは、広げずに小さいまま書きましょう。
| 材料 | 書き方 |
|---|---|
| 小さな担当 | 修正や保守、運用だけの経験でも、6項目で書く |
| 研修や訓練 | 職業訓練は、施設名・コース名・得られた能力を書く(パンフレット)。社内の研修や、社外のセミナーに参加した履歴も、項目の例に載っている |
| 勉強中の分野 | 「勉強中」と明記して、技術の欄に書く。何を学び、何を作ったかを一文で添える |
| 自分で作ったもの | 仕事の経歴と区別して「学習で作成」と明記し、6項目で書く。体制は「個人」、役割は全体の担当。パンフレットは、作品集を別紙に付けてよいとしている |
| 姿勢と将来の目標 | 仕事への姿勢と、これから伸ばしたい技術を、自己PRの欄に書く。パンフレットの項目の例にも挙がっている |
別の職種からエンジニアへ移る場合は、未経験の職種への転職の記事の手順で、応募条件との重なりを書き出してください。
応募先に合わせて、どう選んで枚数に収めますか?
全部を書き出してから、選びます。エンジニアは、プロジェクトの数も使った技術の数も、人によって大きく変わります。全部を同じ詳しさで書くと、A4縦1〜2枚程度に収まりません。
パンフレットも、記載内容が長くなると焦点がぼけるので、メリハリをつけるよう書いています。応募のたびに、求人票と重なるプロジェクトを選んで詳しく書きましょう。
全部を書き出す最初に
パンフレットが勧めるマスターシートに、プロジェクトを全部、6項目で書きます。この段階では、枚数を気にせずに書いてください。応募のたびに、ここから選ぶからです。
求人票を読み、重なるものを選ぶ応募のたび
求人票の仕事の内容や、使う技術の記載を読みます。重なるプロジェクトを選び、6項目で詳しく書きましょう。パンフレットは、同じ内容を複数の応募先に使い回すのは適当でないとしています。
ほかは一覧に回す次に
重ならないプロジェクトは、期間・案件の種類・使った技術・役割を1行にまとめ、別紙の一覧に回します。別紙を付けるときの枚数は、最初の見出しの表のとおりです。
応募職種を、求人票のとおりに書く次に
応募する職種は、求人票に書かれた職種名をそのまま書きます。
提出した控えを、面接の前に読む最後に
パンフレットは、完成した職務経歴書のコピーを取り、面接の前に読み返すよう書いています。書いた内容と食い違う受け答えをしないためです。
面接で工夫や役割を聞かれる練習には、面接対策150問の課題解決・PDCAの分野を使ってください。練習に使う問いは、次のとおりです。
- Q61:課題と解決の流れを聞く問い
- Q62:課題の分け方を聞く問い
- Q64:効果が出なかった打ち手の扱いを聞く問い
- Q56:成果を数字で説明する問い
- Q57:その数字をどう測ったかを聞く問い
- Q54:リーダーではない立場での貢献を聞く問い(役割の答え方の練習)
メモ
面接対策150問は、新卒の面接向けに作った問いで、見本の答えは学生を想定しています。問いの形は転職の面接と同じものがあるので、答えの内容は、自分のプロジェクトの事実に置き換えましょう。そのうえで、声に出す練習に使ってください。
出す前に確かめること0 / 7 完了
編集部
書いた職務経歴書は、プロジェクトを1本選んで、6項目をそのまま声に出して説明してみてください。工程や役割の項目で言葉が止まったら、マスターシートに戻りましょう。自分が実際に何をしたかを書き足してください。
質問と答え
個人で作ったものや、勉強のために作ったものも書いてよいですか?
書けます。仕事の経歴と区別できるように、「学習で作成」と明記します。パンフレットは、いま勉強している分野や作品集を、自分をアピールする材料に挙げています。
プロジェクトが何十本もあり、1〜2枚に収まりません。
本体はA4縦1〜2枚程度が一般的です。パンフレットは、開発担当プロジェクト一覧のような別紙を付けるときは、枚数が若干延びてもよいとしています。応募先の求人票と重なるものを詳しく書き、ほかは別紙の一覧に1行ずつ回します。
顧客の名前を書いてよいかわかりません。
前の勤め先の就業規則や、案件に関わる取り決めで確認します。判断できないときは、業種と規模に言い換えて伏せましょう。決まりの内容は、公的な資料で確認できなかったので書いていません。
使える技術は、いくつ書けばよいですか?
個数の決まりは、パンフレットにはありません。求人票に書かれた技術と、任された作業まで書けるものから順に書きます。書いた内容は、面接で質問される材料になります。
参考にした資料
書き方の決まりは、次の公的機関の資料で確認したものだけを書いています。確認した日も添えました。
厚生労働省『職務経歴書の作り方』(パンフレット、令和5年5月)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
次に読む記事として、職務経歴書の全体の構成と、事務職の職務経歴書の記事を紹介します。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。