「最初の面談で、何を話せばいいんだろう」。転職エージェントから面談の日程の連絡が届いて、手が止まったことはありませんか。
別の事業者にも登録している。同じ会社の求人が二つの経路から届いたらどうするのか、紹介を断るときに何と書けばいいのかも、わかりにくいですよね。
先に、答えを書いておきます。面談の前に用意するのは、三枚の紙です。事業者を複数使うときは、応募先を自分の表に記録してください。断る連絡は、短く、理由を一つにして書きます。
この記事は、転職エージェント(有料職業紹介事業者)の面談を控えている人に向けて書きました。事業者どうしの比較や、特定の事業者を勧めることはしません。この記事を書いている Only Life 株式会社も、職業紹介事業者です。個人情報の扱いは、職業安定法と厚生労働省の指針で確認したことだけです。資料と確認した日は、末尾の「参考にした資料」にまとめました。
この記事でわかること
面談の前に用意する三枚の紙を作れるようになります。職務経歴の要約・希望の条件と理由・譲れない条件の三つです。
面談に関わる三つの決まりと、面談のメモの最初に書く三行がわかるようになります。
複数の事業者を使うときの、応募先の記録の表を作れるようになります。同じ求人に、別の経路から応募しないための表です。
個人情報を渡す前に、事業者に確認してよい項目がわかるようになります。
紹介を断る連絡と、利用をやめる連絡の書き方もわかるようになります。例文は、自分の状況に合わせて書き直して使ってください。
面談の前に、どんな決まりを知っておけばいいですか?
知っておく決まりは、三つです。有料職業紹介の許可や手数料の決まりなど、職業紹介の仕組み全体は、転職エージェントの仕組みと使い方の記事にまとめています。ここでは、面談の準備に関わる決まりだけを取り出しました。
| 決まり | 内容 | 確認した資料 |
|---|---|---|
| 労働条件の明示 | 事業者は、原則として求職者に最初に接する時点までに、仕事の内容や賃金などを示す。示す方法は、書面か電子メールなど | 厚生労働省・都道府県労働局の求職者向けの資料 |
| 手数料と苦情の扱いの説明 | 有料職業紹介事業者は、手数料と苦情の処理について、あらかじめ求職者に示す | 職業安定法の第32条の13 |
| 求職の申込みの受理 | 事業者は、求職の申込みを全て受け付ける。内容が法令に違反するときは、受け付けないことができる | 職業安定法の第5条の7 |
面談のメモは、この三つの決まりに関わる三行から書き始めましょう。
- 受け取った書面の名前
- 手数料の説明があったか
- 苦情を伝える窓口はどこか
面談の前に、何を用意すればいいですか?
用意するのは、三枚の紙です。どれも手書きでかまいません。
厚生労働省の指針は、事業者が、求職者の能力に合った紹介ができるよう、能力を的確につかむことに努めるとしています。面談で経歴や希望を聞かれたときに、答えの材料になるのが次の三枚です。
職務経歴の要約一枚目
勤め先ごとの期間・職種・担当した仕事を、声に出して1分ほどで話せる長さにまとめます。職務経歴書があれば、そのコピーを手元に置いて、そこから要約を作ってください。
ハローワークの職務経歴書の資料は、出した書類のコピーを取り、面接の前に読み返すよう示しています。記載と食い違う受け答えをしないためです。面談の前にも、同じように読み返しておきましょう。
希望の条件と理由二枚目
欄は、求人票の欄に合わせて六つに分けます。
- 仕事の内容
- 雇用形態
- 就業場所
- 賃金
- 就業時間
- 休日
それぞれに、希望と、そう考える理由を一行ずつ書きましょう。ハローワークの「求人情報の見方」のページによると、求人票の賃金は税込みの額です。希望も税込みで書いておけば、紹介された求人と同じ形で比較できます。
条件が思いつかないときは、自己分析チェック(80問)の結果を、考える材料にしてください。
譲れない条件三枚目
二枚目の希望のうち、満たされなければ応募しないものを、二つか三つに絞ります。それぞれに、理由と、動かせる幅があるかどうかを書いてください。
問いの形が近いものに、Q130(長く働き続けるために必要な条件)とQ126(転勤や異動の可能性)があります。転勤や働き方の条件は、この二つの問いに声に出して答えながら絞りましょう。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
書き方の例:ばくぜんとした伝え方
働きやすくて、成長できる会社を探しています。
書き方の例:条件と理由を添えた伝え方
就業場所は〇〇線沿線で、通勤は片道〇分以内を希望します。平日の夜に資格の勉強の時間を取りたいためです。仕事の内容は、前職の△△の経験を使える営業職を中心に見ています。
→ 添えた例には、場所と時間の条件、その理由、仕事の内容の三つが入っています。
理由をどこまで話すかは、自分で決めてかまいません。紹介された求人と条件がずれたときは、二枚目と三枚目の紙を見ながら、動かせる条件を決めてください。
複数の事業者を使うときは、何を記録すればいいですか?
記録するのは、応募先と、その経路です。同じ求人が二つの経路から出されたとき、会社の側でどう扱うかは、外からはわかりません。重ならないようにする作業は、自分の表で行いましょう。
複数の事業者への申込みを制限する定めは、職業安定法・指針・厚生労働省の求職者向けの資料には見つかりませんでした。事業者ごとの利用の条件は、申し込むときの案内で確認してください。
書き方の例:応募先の記録の表
| 項目 | 書くこと | 記入の例 |
|---|---|---|
| 会社名と求人の名前 | 求人票に番号があれば、番号も控える | 〇〇社/営業職 |
| 経路 | 自分で応募したのか、どの事業者の紹介なのかを、事業者ごとに分けて書く | 事業者ア |
| 応募の意思を伝えた日と相手 | 伝えた日と、伝えた相手 | 〇月〇日/事業者アの担当者 |
| 出した書類 | 書類の名前と、書類を作った日 | 職務経歴書(〇月〇日版) |
| 選考の段階と次の連絡の日 | いまの段階と、次に連絡が来る日 | 書類の結果待ち/次の連絡:〇月〇日 |
| 断った日と理由 | 断った日と、その理由 | (断ったときに書き込む) |
では、紹介を受けたとき、表をどう使えばいいのでしょうか。応募の意思を伝える前に、表で同じ会社の求人を探します。手順は次の五つです。
利用の条件を読む登録のとき
事業者ごとの案内に、利用の条件や連絡の方法が書かれていれば読んでおきます。わからない点は、登録のときに聞いてください。
いま応募している会社を伝える最初の面談
応募中や選考中の会社があれば、表を見ながら伝えます。どこまで伝えるかは、自分で決めてかまいません。
応募の意思を伝える前に、表を見る紹介のたび
紹介を受けた求人の会社名を、表で探します。同じ会社の求人がすでにあれば、同じ職種か、募集している部署が違うのかを、求人票で確認しましょう。
同じ求人があれば、経路を一つに決める重なったとき
応募の意思をまだ伝えていないなら、進める経路を一つ決めます。もう一方には、「その求人は別の経路で進めています」と伝えてください。相手の事業者の名前まで言うかは、自分で決めます。
両方に伝えたあとなら、それぞれの事業者に状況を知らせて、どう進めるかを聞きましょう。
書類の版をそろえる書類を出すたび
ハローワークの職務経歴書の資料は、書類を応募先に応じて書くよう示しています。同じ内容の使い回しは、適当でないとしています。応募先ごとに書き変えた版には、作った日を付けて表に記入してください。
事業者に直してもらったときは、直す前と直したあとの両方のコピーを残します。同じ会社に版の違う書類が出ていないかを、表で確認するためです。
在職中の日程の組み方は、在職中の転職活動の進め方の記事にまとめています。事業者を通した日程の調整でも、出られる時間帯を最初に伝えておきましょう。
個人情報を渡す前に、何を確認しますか?
確認するのは、集める目的と、保管・削除の扱いです。職業安定法の第5条の5は、職業紹介事業者が求職者の個人情報を扱うときの決まりを定めています。
事業者は、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして集めなければなりません。保管と使用も、集めた目的の範囲内に限られます。本人の同意があるときなどは、例外です。
厚生労働省の指針は、集める目的を、求職者が思い描ける程度に具体的に示すよう求めています。同意を求めるときに、内容を具体的に示すことも、指針の定めです。業務に必要な分を超える扱いへの同意を、紹介の条件にしてはならない、とも書かれています。
注意
指針は、事業者が次の三つを集めてはならないとしています。
- 社会的な差別の原因になるおそれのある事項(出生地など)
- 思想と信条
- 労働組合への加入状況
特別な職業上の必要性があり、目的を示して本人から集める場合は、例外とされています。
集める目的を読む渡す前
登録の画面や申込書にある利用目的を読みます。何のために使うのかがわからない項目は、聞いてから渡してください。
答えたくない質問は、目的を聞いてから決める面談で
先の三つの事項に近いことを聞かれたら、何のために必要かを確認しましょう。答えるかどうかは、その説明をもとに決めます。会社の面接で答えなくてよい質問は、面接で答えなくていい質問の記事にまとめています。
保管と削除の扱いを聞く登録のとき
指針は、事業者に二つのことを定めています。保管する必要がなくなった個人情報を破棄か削除する措置を講じることと、求めに応じて措置の内容を説明することです。保管の期間と削除の扱いは、登録のときに聞いておきましょう。
勤め先への連絡の扱いを伝える最初の面談
職業安定法の第51条は、職業紹介事業者と従業者に、秘密を守る義務を定めています。業務で知った人の秘密を、正当な理由なく漏らしてはならないという決まりです。在職中なら、勤め先へ連絡してよいかどうかを最初に伝えてください。連絡してよい時間帯と手段も、あわせて伝えます。
紹介を断るときや、利用をやめるときは、どう連絡しますか?
連絡は、三つに分けて書きます。
- 求人を一件断る連絡
- 連絡の回数や時間帯を変えてもらう連絡
- 利用をやめる連絡
どれも、理由は一つに絞りましょう。理由は、譲れない条件の紙のどの行に当たるかで書きます。
求人を一件断るときは、どう書きますか?
断る求人と、ほかの求人の紹介を続けてほしいかどうかを、一通に書きます。理由は、譲れない条件のどれに合わないかを一文で添えてください。
例文:求人の紹介を断る
〇〇様
ご紹介の△△社の求人は、見送らせてください。
就業場所が、私の譲れない条件である通勤の時間に合わないためです。
条件に合う別の求人があれば、引き続きご紹介をお願いします。
連絡の回数や時間帯を変えてほしいときは、どう伝えますか?
連絡の手段や時間帯の希望は、断りの連絡とは別に、短く伝えます。在職中なら、勤務時間中に連絡が入らない形を頼んでおきましょう。
例文:連絡の形を変えてもらう
〇〇様
平日の日中は仕事で電話に出られません。
連絡はメールでお願いします。お返事は、平日の夜にまとめて送ります。
利用をやめるときは、どう伝えますか?
選考中の求人があるときは、その結果が出てから伝えるか、結果の連絡の方法を決めてから伝えましょう。利用をやめるときの連絡の形を定めたものは、今回確認した資料には見つかりませんでした。事業者の利用の案内に手順があれば、それに従ってください。
指針は、事業者が、個人情報の開示や訂正(削除を含む)の求めの扱いを、規程に定めることを求めています。求めたことを理由に、本人を不利に扱ってはならないとも定めています。やめる連絡には、保管と削除の扱いを問い合わせる一文を入れましょう。
例文:利用をやめる
〇〇様
〇月〇日付で、転職エージェントの利用をやめることにしました。
これまでの面談とご紹介に、お礼を申し上げます。
お預けした個人情報の保管と削除の扱いについて、貴社の規程に沿ってお知らせください。
今後の求人の紹介と連絡は、不要です。
連絡のあとも紹介が続くときや、断りにくい状況があるときは、事業者の苦情の窓口に伝えます。厚生労働省の資料によると、事業者には、苦情を迅速・適切に処理する体制を整える努力義務があります。
メモ
同じ資料は、職業紹介事業の許可や運営についての質問を、事業所の所在地の都道府県労働局に問い合わせるよう案内しています。
面談の前日に、何を確認しますか?
前日は、次の八つを確認します。
面談の前に確認すること0 / 8 完了
編集部
面談のあとは、その日のうちに表を更新してください。紹介された求人ごとに、返事の期限もメモしておきましょう。断るときは、一件ずつ短く連絡してくださいね。
内定が出たあとの労働条件は、内定後に確かめる労働条件の記事で確認しましょう。転職活動全体の順番は、転職の進め方まとめの記事にまとめています。
質問と答え
複数の転職エージェントに、同時に登録してもいいですか?
複数の事業者への申込みを制限する定めは、見つかりませんでした。確認したのは、職業安定法・指針・厚生労働省の求職者向けの資料です。事業者ごとの利用の条件は、申し込むときの案内で確認してください。応募先は自分の表に記録して、同じ求人が重ならないようにします。
同じ求人を、二つの経路から紹介されました。
応募の意思をまだ伝えていないなら、進める経路を一つに決めます。もう一方には、別の経路で進めていると伝えてください。両方に伝えたあとなら、それぞれの事業者に状況を知らせて、進め方を聞きましょう。会社の側の扱いは外からはわからないので、重ならないようにする作業は表で行います。
面談で、家族の収入や支持政党を聞かれました。答えないといけませんか?
答える前に、何のために必要かを聞いてください。厚生労働省の指針は、社会的な差別の原因になるおそれのある事項・思想と信条・労働組合への加入状況を、事業者が集めてはならないとしています。特別な職業上の必要性があり、目的を示して本人から集める場合は例外です。
利用をやめたあと、預けた個人情報は消してもらえますか?
やめる連絡に、保管と削除の扱いを問い合わせる一文を入れましょう。指針は、事業者が、保管する必要がなくなった個人情報を破棄か削除する措置を講じ、求めに応じて内容を説明するとしています。開示や訂正(削除を含む)の求めの扱いは、事業者の規程に定める項目です。
参考にした資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確認したものだけを書いています。それぞれ、確認した日を添えました。
e-Gov法令検索「職業安定法」(第5条の5・第5条の7・第32条の13・第51条)
https://laws.e-gov.go.jp/
厚生労働省・都道府県労働局「職業紹介事業者を利用するときに知っておきたいこと(求職者の皆さまへ)」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(平成11年労働省告示第141号)
https://www.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「職務経歴書」パンフレット(PDF)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
ハローワークインターネットサービス「求人情報の見方」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
職務経歴書の整え方と、転職エージェントの仕組みは、次の記事にまとめています。
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