転職を考え始めて、職務経歴書を開きました。担当した仕事の名前は並べられますが、自分が何をしたのかを書こうとすると、手が止まります。数字を入れたくても、どの資料のどの数字を使えばいいのかが分かりません。
この記事を読み終えると、手元に三つ残ります。勤め先ごとに業務・役割・工夫・数字を書き出す枠、数字の出どころの確かめ方、ジョブ・カードの様式の使い分けです。書き出した内容を職務経歴書と面接に移す順番と、公的な相談窓口も載せています。
この記事は、棚卸しで向いている仕事が分かる、ジョブ・カードで選考が進めやすくなる、とは書きません。会社が選考で何を見るかは外から分からず、年収や求人の見通しも、出どころが無いからです。制度の説明は厚生労働省のページで確かめたことに限り、例はすべて架空です。
この記事の結論
棚卸しは、勤め先ごとに、業務・役割・工夫・数字を、自分の記録を見ながら書き出します。
ジョブ・カードは厚生労働省の制度です。在職者と求職者は、職務経歴シート(様式2)から書き始め、書いた内容を職務経歴書の材料に使えます。
一人で進まないときは、ハローワーク内などの相談コーナーで、キャリアの相談を無料で受けられます。
棚卸しでやることと、ほかの記事との分担
この記事でいう棚卸しは、これまでの勤め先ごとに、仕事の事実を書き出して並べる作業です。これは、この記事での呼び方です。書き出すのは、担当した業務、そこでの役割、自分で変えたこと、数字の四つです。
新卒向けの自己分析は自己分析のやり方の記事にあります。学生時代の経験から動き方を言葉にする手順なので、職歴のある人が勤め先の仕事を整理するときは、この記事の手順を使います。
書類に組み立てる手順は職務経歴書の書き方の記事に、転職の準備全体の順番は転職の進め方まとめの記事にあります。退職前の引き継ぎの一覧は目的が違い、退職までの引き継ぎの進め方の記事にあります。
ジョブ・カードとは何か
厚生労働省のページは、ジョブ・カードをキャリア・プランニングと職業能力証明のツールとしています。相談の支援を受けながら、求職活動や職業能力開発の場面で使う制度です。
在職者と求職者向けのページは、次の四つの様式を、番号の順に作るよう案内しています。
職務経歴シート(様式2)ステップ1
これまでの職歴を順番に書きます。正確な時期が分からなくても、書き進めてよいとされています。順番は、あとから変えられます。
職業能力証明シート(様式3-1・3-2)ステップ2
3-1は免許・資格、3-2は学習歴・訓練歴です。これまでに取った資格や、学んできたことを書き出します。
キャリア・プラン作成補助シートステップ3(省略できます)
価値観や強み・弱みを書き出すシートです。在職者用と求職者用があり、書いた内容はステップ4に移せます。
キャリア・プランシート(様式1-1)ステップ4
価値観や興味、強み、将来取り組みたい仕事や働き方、これから取り組むことを書きます。就業経験のない人は、様式1-2を使います。
様式はPDFとExcelでダウンロードでき、記入例も用意されています。ウェブ上のマイジョブ・カードでも作れます。アカウントを登録すると、書いた内容を一部転記して、履歴書や職務経歴書を作成・編集できます。
ウェブで入力するときは、保存やダウンロードをしないまま60分が過ぎると、入力内容が自動で消えます。下書き保存をこまめに押すか、先にダウンロードしておきます。
勤め先ごとに書き出す手順
様式2の欄は、期間、会社名・所属・職名(雇用形態)、職務の内容、職務の中で学んだこと・得られた知識・技能等、の四つです。この欄に沿って、1社ずつ書き出します。
勤め先と期間を並べる最初に
勤め先、所属、職名、雇用形態、在籍した期間を書きます。月が思い出せないときは、辞令や給与明細など、手元の記録で確かめます。
業務を書き出す次に
所属ごとに、担当した業務を一行ずつ書きます。扱った商材や対象、使った道具、関わった社内外の人を添えます。
役割を書く業務ごとに
様式2の注意書きは、職務の内容に、可能な限り果たした役割や貢献したことも書くとしています。一人で担当したのか、チームの一員か、人に教える立場だったかを書き分けます。
工夫を一つ書く業務ごとに
やり方を変えたこと、決まりを作ったこと、頼まれる前に動いたことを、一つ書きます。思い出せない業務は、空けておいて構いません。
数字の出どころを探す業務ごとに
数字は、思い出で書かずに、記録から拾います。評価面談の資料、自分の日報や週報、月次の報告、社内システムの画面、メールなどを探します。
数字の横に、何を数えたか、いつからいつまでか、何と比べたか、どの記録から取ったかを書き添えます。
学んだことを書く最後に
その業務で身についた知識や技能を書きます。資格を取った、研修を受けたなど、事実で書けるものから並べます。
前の会社の資料を手元に持っているか、書類に使ってよいかは、会社の決まりや取引上の約束によって変わります。使えない数字は、金額の代わりに比率を書くなど、書き方を変えます。記録から拾えない数字は書きません。
書き出しが浅い例(架空)
事務を担当。受発注の入力と問い合わせへの対応を行った。
書き出しが深い例(架空)
【業務】〇〇の受発注の入力と、取引先からの問い合わせ対応(部署の担当は〇人、自分は問い合わせの窓口)。【役割】入力の手順書を作る担当と、新しく入った人への説明役。【工夫】問い合わせの種類を〇つに分けた一覧を作り、回答の文面を共有した。【数字】20XX年度の問い合わせ〇件のうち、一覧に載せた種類は〇件(自分の月次の記録)。
→ 深い例は、業務・役割・工夫・数字が分かれて入り、数字の出どころ(自分の月次の記録)も添えてあります。浅い例は、何をどこまで担当したのかが分かりません。
方向を言葉にする:補助シートとキャリア・プランシート
仕事の事実が出そろったら、これからの方向を考えます。在職者用のキャリア・プラン作成補助シートは、そのための順に作られています。
キャリアの曲線を描く補助シートのA-1
仕事を始めてから今までのキャリアについて、どれだけ納得していたかを、曲線で描きます。山や谷は、自分のものさしで決めます。
印象に残った出来事を書くA-2
影響を受けた出来事を3つ以上、順位を付けて書きます。いつ、どこで、誰と、何を、どんな影響があったかを、具体的に書くよう求められます。
こだわりと強み・弱みを選ぶA-3・B
用意された一覧から、仕事を選ぶうえでのこだわりと、自信のある項目・自信のない項目を選びます。
周りの期待と将来を書くC・D
上司・同僚・顧客などからの期待、仕事と両立させたいこと、将来取り組みたい仕事や働き方、これから取り組むことを書きます。
ここで書いた価値観と将来の希望は、転職理由や志望動機の材料になります。組み立ては、転職の面接の記事と転職の志望動機の記事にあります。
強みの言葉が出てこないときは、自己分析チェック(80問)の結果を、言葉を探す材料にします。結果の言葉には、棚卸しの表から出来事を一つ添えます。
職務経歴書と面接に移す
棚卸しの表は、そのまま出す書類ではありません。応募先ごとに、使う部分を選びます。
求人票と重なる業務に印を付ける書類の前に
応募先の求人票の仕事の内容を読み、棚卸しの表の中で重なる業務に印を付けます。重ならない業務は、短く書く候補にします。
重なる業務を書類に移す書類を書くとき
業務・役割・工夫・数字を、職務内容と実績の欄に移します。構成と書く順番は職務経歴書の書き方の記事にあります。
面接の問いに合わせて取り出す面接の前に
面接対策150問は新卒向けの言い方ですが、問いの形が転職の面接と同じものがあります。次の問いで、表から答えを取り出す練習ができます。強みを根拠つきで答えるQ11、別の場面でも発揮したかを聞くQ12です。課題と解決の流れを聞くQ61、効果が出なかった打ち手の扱いを聞くQ64もあります。
数字の出どころを言えるようにする面接の前に
数字の根拠を聞かれたときに、どの記録から取ったかを答えられるようにします。数字の横に書いたメモが、そのまま答えの材料になります。
一人で進まないときの公的な窓口
厚生労働省委託事業のページによると、47か所の支援センターと、ハローワーク内の相談コーナーに、無料の窓口があります。ジョブ・カードを使った相談の対象は、在職労働者と求職者です。
実施方法は、対面かオンラインです。ページには所要時間60分とあり、職業紹介は行わないと書かれています。受ける前に、ジョブ・カードを作っておく決まりです。
在職労働者向けの案内には「無料・原則1回」とあります。続けて受けたいときは、申し込み先の相談コーナーに、回数を確かめます。有料で受けたいときは、マイジョブ・カードから、キャリアコンサルタントを探して依頼できます。
ハローワークでは、就職支援も受けられます。マイジョブ・カードに登録した内容は、ハローワークの求職登録にも使えます。
棚卸しを終える前に確かめること0 / 7 完了
全部の様式を一度に埋めなくても構いません。ステップ3は、省略できると案内されています。まず、いまの勤め先1社分の様式2を書きます。書けなかった欄に印を付けて相談コーナーに持っていくと、聞くことが具体的になります。
よくある質問
ジョブ・カードは、応募先に出さなければいけませんか?
確かめたページには、応募先に出す決まりは書かれていません。応募先の案内が書式を指定しているときは、その案内に従います。様式2の注意書きは、応募書類として社外で使う場合があることに留意して書くとしています。
職務経歴シート(様式2)と職務経歴書は、同じものですか?
同じではありません。様式2は、キャリア・プランシートを作るときの資料や、応募書類などに使う、職歴の整理用の様式です。職務経歴書は応募先ごとに書き変えるので、様式2で整理した内容から、重なる業務を選んで移します。ジョブ・カード準拠様式の職務経歴書も、ダウンロードのページにあります。
数字が見つからない仕事は、どう書けばいいですか?
数字が見つからない業務は、担当した範囲と、自分が変えたことを書きます。記録から拾えない数字は書きません。あとから記録が見つかったときに、書き足します。
在職中でも、無料のキャリアコンサルティングを受けられますか?
対象は、在職労働者と求職者と案内されています。対面かオンラインで、職業紹介は行いません。受ける前に、ジョブ・カードを作っておく決まりです。申し込み先と日時は、案内のページで確かめます。
参考にした公的資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確かめたものだけを書いています。確かめた日も添えています。
厚生労働省「ジョブ・カード制度」
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード「在職者の方へ」
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード「求職者の方へ」
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード「ジョブ・カード様式のダウンロード」
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード「様式2 職務経歴シート」(PDF)
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード「様式1-1 キャリア・プランシート(就業経験がある方用)」(PDF)
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード「キャリア・プラン作成補助シート(在職者用)」(PDF)
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード「無料のキャリアコンサルティングを活用する」
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省 マイジョブ・カード(入力内容の保存などの質問と回答のページ)
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
厚生労働省委託事業 キャリア形成・リスキリング推進事業「個人向け無料キャリアコンサルティング」
https://carigaku.mhlw.go.jp/
棚卸しの表を書類に組み立てる記事と、転職の準備全体の順番を書いた記事を並べておきます。
【完全無料】
書き出した内容を、一緒に見る
はじめに状況をお聞きします。そのうえで、合いそうな条件や職種をお伝えします。面談のあとは、職務経歴書を見たり、模擬面接をしたりできます。どれを進めるかは、面談の最後に決めます。
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