「主務として部を支えました」。エントリーシートの部活の欄に、この一文だけを書いて手が止まっていませんか。
大会の申し込みも部費の管理も、他大学との連絡も受け持ってきた。それなのに、どれを選べばいいのかが決められない。面接で何を聞かれるのかも、見当がつきませんよね。
書き始めるのは、役職の名前ではなく、やってきた仕事からです。仕事を一行に一つずつ書き出し、ESには自分で変えたことが書ける場面を一つ選びます。面接に向けては、重ねて聞かれたときの別の場面も用意しておきましょう。
この記事は、体育会の部活で主将・副将・主務・マネージャー・学生コーチを務めた人と、役職が無かった人に向けて書きました。「この役職なら選考で有利になる」「主将には〇〇の業界が向いている」とは書きません。選考で何を見るかは会社が決めることで、役職と業界や職種を結びつける公的な出典も無いからです。
この記事でわかること
役職の名前ではなく、やってきた仕事を一行に一つずつ書き出します。仕事ごとに、相手・扱ったもの・自分で変えたことを書き足してください。
ESには、自分で変えたことが書ける場面を一つ選びましょう。困っていたこと・変えたこと・その後の変化の順に書きます。
面接では、最初の一文で役職と受け持った仕事を言ってください。重ねて聞かれたときの別の場面も、一つ用意しておきます。
役職が無かった人も含めて、役職ごとに洗い出す仕事と練習する問いがわかるようになります。
役職によって、書き方は変わりますか?
変わりません。役職の名前と、その役職が受け持つ仕事は、部によって異なります。どの役職でも、役職の名前ではなく、やってきた仕事から書き始めます。
メモ
ESの欄に合わせた文章の組み立ては、体育会学生の自己PRと体育会のガクチカの記事にまとめています。この記事で扱うのは、その手前の段階です。役職で受け持った仕事を洗い出し、ESと面接で話す文にまとめるまでを書きます。
やってきた仕事を洗い出す最初に
紙かメモの画面に、役職で受け持った仕事を一行に一つずつ書き出します。次の四つに分けて書き出してください。
- 毎週の仕事
- 毎月の仕事
- 大会や合宿の前だけの仕事
- 急に起きて対応した仕事
一つの仕事ごとに、相手と扱ったもの、自分で変えたことを横に書き足しましょう。相手は部員・監督・学外の人など、扱ったものは日程・書類・お金・道具・記録などです。練習・授業・遠征の予定も、同じ紙に書き添えておきます。限られた時間でどう回したかを書く材料になります。
ESに書く場面を一つ選ぶ次に
自分で変えたことが書けた仕事から、設問に合う場面を一つ選びます。書く順番は、次のとおりです。
- 役職と受け持った仕事
- 困っていたこと
- 自分で変えたこと
- 変えたあとの周りの動き
- 仕事での使い方
部の中だけで通じる言葉は、競技を知らない人にもわかる言葉に置き換えてください。仕事を表す言葉に迷ったら、自己分析チェック(80問)の結果に出る傾向と見比べます。
面接で話す順番と、重ねて聞かれる問いを用意する最後に
面接では、最初の一文で役職と受け持った仕事を言い、ESに書いた場面を話します。重ねて聞かれたときのために、一覧から別の場面をもう一つ選んでおきましょう。
練習には、面接対策150問のリーダーシップ・フォロワーシップの分野(Q51〜Q55)を使ってください。
役職ごとに、書く中心と練習する問いを表にまとめました。問いの番号は、面接対策150問のものです。
| 役職 | 書く中心 | 練習する問い |
|---|---|---|
| 主将・副将 | 決めたことと、誰に聞き、何と何を比べて決めたか | Q51・Q52・Q53・Q55(副将はQ41・Q54も) |
| 主務 | 事務と調整の仕事が、段取り・確認・調整のどれにあたるか | Q44・Q146・Q56・Q57 |
| マネージャー | 支えた仕事の手順を、どう変えたか | Q54・Q56・Q57 |
| 学生コーチ | 相手に合わせて、教え方をどう変えたか | Q45・Q142 |
| 役職が無かった人 | 当番や係の仕事で、自分で変えたこと | Q54・Q27・Q69 |
引退の月から、この作業をいつ進めるかを決めるときは、体育会学生の就活のページで順番を確認してください。
主将・副将は、何を書けばいいですか?
決めたことと、決め方を書きます。主将や副将の仕事には、部の方針や練習の進め方を決める場面があります。ESでは、誰に何を聞き、何と何を比べて決めたかまで書いてください。
主将・副将が洗い出す仕事の例
練習の目標や進め方を、監督や部員と話して決める
練習の前後のミーティングで、全体に伝えることを決める
部員から意見を集め、監督やコーチに伝える
部の決まりごとを見直す
副将の場合は、主将がいないときに代わりを務める・練習の班をまとめる・主将と部員の間で話を聞く
例文は実在の人物・企業のものではありません。
例文:決めたことだけの文
主将として、練習の前のミーティングを短くしました。
例文:決め方まで書いた文
主将として、部員〇〇人の練習の進め方を決める役を受け持ちました。練習前のミーティングが〇分続いていたため、学年ごとの代表に意見を聞き、内容を絞る案と前日に紙で配る案を比べました。前日に読める紙の案を選び、ミーティングは〇分になりました。
→ 決め方まで書いた例には、誰に意見を聞いたか、何と何を比べたか、変えたあとの結果が入っています。
副将は、主将と意見が分かれた場面や、主将と部員の間で話を聞いた場面を一覧から探しましょう。
例文:副将の場面
副将として、練習の量をめぐって学年の間で意見が分かれたときの調整を受け持ちました。学年ごとに〇人ずつ話を聞き、二つの案を一枚に書き出して主将に渡しました。
面接では、最初の一文で何を決めたかを言い、次に決め方を話します。練習には、面接対策150問の次の問いを使ってください。
- Q51(リーダーシップを発揮した経験)とQ55(いちばん厳しい判断):決めたことと決め方を話す
- Q53(やる気が見えないメンバーへの対応):練習に気持ちが向いていない部員に声をかけた場面があるとき
- Q52(リーダーとしてのスタイル):自分の決め方の特徴をまとめる
- Q41(意見が合わない相手との進め方)とQ54(リーダーではない立場での貢献):副将の場面を話す
主務の事務と調整の仕事は、どう書けばいいですか?
受け持った仕事の名前から書き始めます。主務という言葉が指す仕事は、部によって異なるためです。この記事では、大会の申し込み・日程の管理・部費の管理・他大学や連盟との連絡を、主務の仕事の例として扱います。
四つの仕事を洗い出す
四つの仕事を、次の表で洗い出してください。右の列は、一覧に書き足すことです。
| 仕事 | 内容 | 一覧に書き足すこと |
|---|---|---|
| 大会の申し込み(締切のある仕事) | 出場する部員の名簿や書類を集めて、締切までに出す | 何の大会に何人分を、締切のどれくらい前にそろえたか。書類の不足や書き間違いを防ぐために、自分で決めた確認の仕方 |
| 日程の管理(毎週・毎月の仕事) | 練習・試合・遠征の予定を立て、会場や移動の手配をして、部員に伝える | 予定が変わったときに、誰に、どの順番で、何を使って伝えたか |
| 部費の管理(お金を扱う仕事) | 部費を集め、支払い、記録して、部員や監督に報告する | 記録の付け方と、金額の合わない箇所を見つける確認の仕方 |
| 他大学や連盟との連絡(学外の人との仕事) | 練習試合の日程を他大学の部と合わせる。大会の運営について連盟とやり取りする | 相手の立場、頼んだこと、どの条件を合わせたか |
段取り・確認・調整のどれかを決めて、ESに書く
事務と調整の仕事を表す三つの言葉
段取りは、締切から逆算して、作業の順番と日にちを決めることです。
確認は、書類やお金の間違いを防ぐ手順を作ることを指します。
調整は、他大学・連盟・監督など、立場の違う相手と日程や条件を合わせることです。
四つの仕事から一つを選び、この三つのどれにあたるかを決めてから書きましょう。作業の名前だけでは、何を変えたのかが書かれていません。
例文:仕事の名前だけの文
主務として、大会の申し込みや部費の管理など、部の運営を支えました。
例文:段取りまで書いた文
主務として、年〇回の大会の申し込みを受け持ちました。部員〇〇人分の書類が締切の前日にそろう状態だったため、集める日を締切の〇週間前に決め、名簿と突き合わせる表を作りました。その後の大会では、締切の〇日前に提出を終えています。
→ 段取りまで書いた例には、受け持った仕事、困っていたこと、自分で変えた手順、変えたあとの結果が入っています。
注意
部員・他大学・連盟の名前は書かずに、「部員〇〇人」「他大学の部」「学外の団体」と言い換えてください。部費の金額は、外に出してよいかを部で確認します。書かないときは、件数・回数・手順の変化で書きましょう。
面接では、手順をそう決めた理由まで話す
面接では、ESに書いた場面を話したあとに、手順をそう決めた理由を一文で添えます。
例文:理由の一文
集める日を締切の〇週間前にしたのは、書き間違いを直す時間を残すためです。
重ねて聞かれたときのために、次の三つも用意しておきましょう。
- 学外の人への頼み方:Q44(年上や立場が上の人に動いてもらった経験)で練習する
- 予定どおりに進まなかったときの対応:Q146(予期しないトラブルへの動き方)で練習する
- 部費の記録のように数字を扱った仕事:Q56(成果を数字で説明)とQ57(数字の測り方)で練習し、何をどう記録した数字かまで答える
マネージャー・学生コーチは、何を書けばいいですか?
支えた仕事と、教えた仕事を書きます。仕事の洗い出し方は、ほかの役職と同じです。「支えました」「教えました」で終わらせず、どの手順や教え方をどう変えたかを書いてください。
マネージャーの仕事
マネージャーが洗い出す仕事の例
練習の準備と片づけをする
練習や試合の記録(出欠・タイム・練習の内容など)を付ける
用具を管理する
部員に連絡する
試合や遠征の準備をする
例文:マネージャーの場面
マネージャーとして、用具の管理を受け持ちました。練習の後に、用具が足りないとわかることが続いていました。そこで、練習の前と後に数を数える表を作り、数える係を学年ごとに分けています。表を使い始めてからは、片づけが〇分早く終わるようになりました。
面接の練習には、Q54(リーダーではない立場での貢献)を使ってください。記録の数字を話すときは、Q56とQ57で、何の数字をどう数えたかまで答えます。
学生コーチの仕事
学生コーチが洗い出す仕事の例
練習メニューを作る
選手の動きを見て、気づいたことを伝える
下級生に教える
監督やコーチと練習の方針を話し、選手に伝える
試合の映像や記録を見て、次の練習に反映する
学生コーチの話は、教えた内容より、相手に合わせて教え方をどう変えたかを書きましょう。
例文:学生コーチの場面
下級生〇人の練習を受け持ちました。言葉の説明では動きが変わらない部員には、手本の動きを撮影して一緒に見る形に変えました。
選手から学生コーチに移った人は、移った経緯を一文で書きます。字数は、移ったあとに受け持った仕事に使ってください。面接では、Q45(後輩や新人を育てた経験)とQ142(相手に合わせて説明した経験)で練習します。
役職が無かった人は、何を書けばいいですか?
当番や係の仕事を書きます。役職が無くても、部で受け持った仕事はあります。学年で分けた仕事や自分から始めたことも、同じように一行ずつ書き出してください。
役職が無かった人が洗い出す仕事の例
用具や会場の準備などの当番を受け持つ
学年で分けた係を受け持つ
練習の工夫を自分から始める
後輩に声をかけたり、教えたりする
試合に出なかった期間や、故障で練習を離れた期間に、別の仕事を受け持つ
ESは「部員として」から書き始めます。役職が無かったことを断る文は書かずに、受け持った仕事と自分で変えたことに字数を使いましょう。
例文:当番の場面
部員として、練習前の準備の当番を受け持ちました。準備に時間がかかり、練習の開始が遅れていました。道具の置き場所を図にして当番の間で共有し、準備にかかる時間を〇分縮めています。
面接では、最初の一文で受け持った仕事を言います。練習には、面接対策150問の次の問いを使ってください。
- Q54(リーダーではない立場での貢献)
- Q27(自分で判断して動いたこと)
- Q69(チームの中で担う役割):チームの中での役回りを聞かれたとき
出番のなかった期間や故障の期間の書き方は、体育会のガクチカの記事にまとめています。
ESを出す前と、面接の前に確認すること0 / 7 完了
洗い出した仕事は、ESのほかに何に使いますか?
就活の軸を決める材料にします。書き出した仕事の一覧に、もう一度やりたい仕事と、できれば避けたい仕事の印を付けてください。印の横には、そう感じた理由を一行ずつ書いておきましょう。
自己分析チェック(80問)は、結果を五つの傾向の強さで示します。印を付けた仕事での自分の動き方と、結果の傾向を見比べてください。やりたいことを整理する手がかりにします。
就活の軸は、仕事の内容の軸と、働く条件の軸に分けて作ります。作り方は、就活の軸の決め方の記事にまとめています。競技の経験から軸の候補を書き出す手順は、体育会の経験から就活の軸を決めるの記事を参考にしてください。
編集部
書き出した仕事の一覧は、ESを出したあとも取っておいてくださいね。面接で別の場面を聞かれたときは、一覧を見返して、話す場面を選んでください。
質問と答え
主将と主務のように、役職を二つ受け持っていました。どちらを書けばいいですか?
両方の仕事を同じ一覧に書き出し、設問に合う場面を一つ選びます。ESに書かなかったほうの仕事は、面接で重ねて聞かれたときの場面として用意しておきましょう。
役職に就いた期間が短く、書けることがありません。
期間の長さではなく、受け持った仕事の一覧から探します。役職に就く前に受け持った当番や係の仕事も、同じ一覧に書いてください。
部費の金額や、他大学・連盟の名前を書いてもいいですか?
名前は書かずに、「他大学の部」「学外の団体」のように言い換えます。金額は、外に出してよいかを部で確認しましょう。書かないときは、件数・回数・手順の変化で書きます。
役職が無かったことは、選考で不利になりますか?
公的な出典が無いので、書きません。選考で何を見るかは、会社が決めることです。役職が無くても、受け持った仕事を同じ手順で洗い出し、ESと面接で話す文にまとめられます。
役職の仕事を整理したら、自己PRとガクチカの欄に組み立て、就活の軸につなげましょう。次に読む記事として紹介します。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。