「ゼミ・研究の内容を教えてください」。エントリーシートでこの設問を見て、手が止まったことはありませんか。
研究の題名を書き写すと、ゼミの外の人には通じない言葉が並ぶ。研究はまだ途中で、結果と呼べるものも無い。何をどこまで書けばいいのか、迷いますよね。
先に、答えを書いておきます。研究は、五つの段に分けて書きます。専門の言葉は、何をするものかで言い直しましょう。研究が途中でも、五つの段は書けます。
この記事は、ゼミや研究の内容をESと面接で説明する学生に向けて書きました。「このテーマなら評価が上がる」とは書きません。会社が何を見るかは、外からはわからないからです。推薦の仕組みのように、大学ごとに違うことも扱いません。履歴書の欄の名前は厚生労働省の様式で確認し、末尾の「参考にした資料」にまとめました。
この記事でわかること
研究は、五つの段に分けて書きます。何を調べているか・なぜ選んだか・どう進めているか・わかったこととつまずいたこと・仕事での使い方です。
専門の言葉は、何をするものかで言い直します。研究が途中なら、わかったことと、まだわからないことを分けて書きましょう。
履歴書のどの欄に書けるかと、面接対策150問のQ71〜Q80で練習する順番がわかるようになります。
研究の説明は、どう組み立てますか?
五つの段で組み立てます。同じ分野を学んでいない人が読んでもわかる順番です。段ごとに、一文ずつ書き出してください。
何を調べているか一文目
何について何を確かめようとしているかを、題名を写さずに書きます。
なぜそれを選んだか二文目
選んだきっかけと、何がまだわかっていないと考えたかを書きます。「興味があったから」で終わらせないでください。
どう進めているか三文目
何を使ってどう調べているかと、その方法にした理由を書きます。理系なら実験の条件、文系なら資料や聞き取りの集め方です。
わかったことと、つまずいたこと四文目
わかったことを書きましょう。予想と違った結果や、やり方を変えた場面があれば、何を変えたかまで添えます。
仕事での使い方五文目
研究で使った手順のうち、仕事でも使えると考えるものを一つ書きます。「論理的に考える力」で終わらせず、応募先の仕事のどの場面で使うかまで書いてください。
面接対策150問の「研究説明の型」は、次の順に話す型です。
- テーマ
- なぜそれを問うのか
- 手法
- わかったこと
- 限界と次の一手
面接では、五つの段に「限界と次の一手」も足して話せるようにしておきましょう。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
書き方の例(文系のゼミ・五つの段)
何を調べているか:地域の祭りの準備が、上の世代から若い住民にどう引き継がれているかを調べています。
なぜ選んだか:地元の祭りの段取りが、一人の記憶にしか残っていないと知ったのがきっかけです。何が引き継がれずに残るのかは、まだわかっていないと考えました。
どう進めているか:運営に関わる住民の方に話を聞き、準備の記録と突き合わせています。
わかったこと・つまずいたこと:誰に声をかけるかが記録に残っていないとわかってきました。最初は問いが大きすぎて答えにくいと言われ、工程ごとに聞く形に直しました。
仕事での使い方:答えやすい単位に問いを分けて聞く手順は、仕事で人から話を聞く場面でも使えると考えています。
書き方の例(理系の研究・五つの段)
何を調べているか:果物の皮から取り出した成分で、切った野菜の色の変化をどこまで遅らせられるかを確かめています。
なぜ選んだか:捨てられている果物の皮を使えないかと考えたのがきっかけです。温度によって効き方が変わるかは、まだ確かめられていないと考えました。
どう進めているか:成分の量と保管の温度を変えて色の変化を測り、同じ条件をくり返して結果がそろうかを見ています。
わかったこと・つまずいたこと:低い温度では差が出ましたが、常温では差が見えず、測る間隔を短くして調べ直しています。
仕事での使い方:条件を一つずつ変えて原因を探す手順は、仕事で問題の原因を調べる場面でも使えると考えています。
専門の言葉は、どう言い直しますか?
言い直す基準は、何をするものかです。面接対策150問の学業・研究の分野も、専門の言葉を避け、高校生に説明する言葉で話すことを挙げています。五つの段を書き終えたら、次の順に進めてください。
専門の言葉に印をつける最初に
手法や装置の名前・略語・理論の名前など、ゼミや研究室の外では使わない言葉に印をつけます。
何をするものかで言い直す次に
印をつけた言葉を、何をするものかで言い直します。例:「吸光度を測る」は「液体に光を当てて、色の濃さを数字にする」と言えます。残す言葉は一つに絞り、説明を添えましょう。
専門外の人に読んでもらう最後に
家族や別の学部の友人に読んでもらい、何の研究だと思ったかを聞きます。答えがずれていたら、一文目から書き直してください。
例文:専門の言葉のまま
地域行事における世代間の知識継承の構造を、質的調査により分析しています。
例文:何をするものかで言い直したもの
地域の祭りの準備が、上の世代から若い住民にどう引き継がれているかを、住民の方への聞き取りで調べています。
→ 言い直した例文は、何を・どうやって調べているかを、専門の言葉を使わずに書いています。
研究が途中で結果が無いときは、どう書きますか?
結果がまだ無いのに、何を書けばいいのでしょうか。研究が途中でも、五つの段は書けます。四文目を、わかったことと、まだわからないことに分けて書きます。
いまの段階を書く最初に
テーマを決めた段階か、データを集めている段階か、まとめている段階かを書きます。
わかったことと、まだわからないことを分ける次に
途中で見えてきたことは、「いまのところ」と断って書きましょう。予想と違った結果や、やり方を変えた出来事は、結果が出る前でも書けます。
次にやることを書く最後に
これから何を確かめるかと、いつごろまでに進める予定かを書いてください。
注意
確認していないことを、結果のように書かないでください。「明らかにしました」と書けるのは、確かめ終えたことだけです。
例文:結果を先取りしたもの
果物の皮の成分が、野菜の変色を防ぐことを明らかにしました。
例文:いまの段階を書いたもの
いまのところ、低い温度では色の変わり方に差が出ています。常温ではまだ差が確かめられていないので、測る間隔を短くして調べ直しています。
→ いまの段階を書いた例文は、わかったことと、まだ確かめていないことを分けて書いています。
ESと履歴書には、どう書きますか?
設問を先に読みます。設問が何を聞いているかを読んでから、五つの段のどれを中心にするかを決めましょう。
設問を読む最初に
研究の内容を聞く設問なら、一文目から三文目を中心にします。学業で力を入れたことを聞く設問なら、自分が工夫したことや、つまずきを直したことを中心にします。
字数に合わせて段を選ぶ次に
字数が限られた欄では、一文目から三文目を書きます。余裕があれば、四文目と五文目を足してください。
メモ
共同研究や、まだ発表していない結果を書くときは、書いてよい範囲を指導教員に確認してください。
履歴書では、どの欄に書けますか?
用紙によって、書ける欄が違います。厚生労働省の履歴書様式例には、研究だけを書く欄はありません。
| 用紙 | 研究を書ける欄 | 書く段 |
|---|---|---|
| 厚生労働省の履歴書様式例 | 「好きな学科」(志望の動機・特技・アピールポイントと同じ一つの欄) | 一文目に絞る |
| 大学などを卒業する予定の人向けの、厚生労働省の参考例 | 自己紹介書の「得意な科目及び研究課題」 | 一文目と二文目 |
| 応募先が指定した用紙・エントリーシート | 研究の欄があれば、その欄 | 欄の名前に合わせる |
厚生労働省は、会社が様式例とは別の履歴書やエントリーシートを使うこともできるとしています。用紙の選び方とほかの欄は、履歴書の書き方(新卒)の記事にまとめました。
面接の練習は、どの順番で進めますか?
書いたことを、声に出して練習します。面接対策150問の学業・研究(Q71〜Q75)と研究(理系)・応用力(Q76〜Q80)の分野を、次の順に使いましょう。
テーマと選んだ理由Q71・Q72
Q71(テーマ)とQ72(選んだ理由)で、一文目と二文目を声に出します。
専門外の人への説明Q79
Q79(専門外の人への説明)で、言い直した言葉で話せているかを、録音して確認してください。
手法・外れた予想・限界Q76〜Q78
Q76で手法の確からしさを、Q77で予想が外れたときの扱いを話します。Q78では、研究から言えないことを話しましょう。文系のゼミなら、資料や聞き取りの集め方を手法として話します。
仕事での使い方Q80
Q80で、研究の手順を仕事の場面に当てはめて話します。
分野ごとの5問は、学業・研究と研究(理系)・応用力のページで続けて開けます。「見本を隠して自分で答える」をオンにして声に出して答え、「面接官が重ねて聞くこと」にも答えましょう。答えられた問いには、「準備OK」の印をつけます。
ESを出す前と、面接の前に確かめること0 / 7 完了
編集部
テーマの一文は、研究が進むたびに書き直してください。ESを出したあとに研究が進んでいたら、面接では「出したあと、ここまで進みました」と足して話してくださいね。
質問と答え
ゼミに入っていない、またはテーマがまだ決まっていません。何を書けばいいですか?
そのことを一文で書いてから、力を入れている授業や、テーマを決めるために調べていることを書きます。授業の発表やレポートでも、何を調べたか・なぜその問いにしたか・どう資料を集めたかを、五つの段で書けます。
共同研究で、まだ発表していない内容があります。どこまで書いていいですか?
どこまで書いてよいかを、指導教員に確認してください。書けない部分は、数値や対象の名前を伏せます。そのうえで、何を確かめようとしているかと、自分が担当している部分を書きます。
履歴書の「好きな学科」の欄には、何を書けばいいですか?
厚生労働省の履歴書様式例では、好きな学科は、志望の動機や特技、アピールポイントと同じ一つの欄に並んでいます。研究のことを書くなら、何を調べているかを一文にして、ほかに書くことと字数を分けます。応募先が用紙を指定しているときは、その用紙の欄に合わせます。
参考にした資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確認したものだけを書いています。それぞれ、確認した日を添えました。
厚生労働省「厚生労働省履歴書様式例」(A4版、PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「新規大学等卒業予定者用標準的事項の参考例」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省「新たな履歴書の様式例の作成について」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/
次に読む記事は、二つです。研究をガクチカの題材にするときの記事と、履歴書の欄ごとの書き方の記事です。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。