「責任感があります」。職務経歴書の自己PRの欄に一行目を書いて、その先が続かないことはありませんか。
職務内容と実績の欄は、もう書き終えている。それなのに自己PRだけは、ほかの人にも書ける文に見えてしまう。面接で「自己PRをお願いします」と言われたときに話すことも、まだ決まっていない。どこから手を付ければいいのか、迷いますよね。
先に、答えを書いておきます。自己PRは、仕事の棚卸しから強みを一つ選び、根拠の場面を添えて書きます。根拠の場面には、何をしたか・期間・比べた相手の三つを入れましょう。最後は、応募先の仕事での使い方の一文で結んでください。
この記事は、仕事の経験があり、職務経歴書の自己PRの欄と面接の準備をしている人に向けて書きました。「この自己PRなら通る」とは書きません。会社が何を見るかは、会社が決めることだからです。強みの種類ごとの相場も、公的な出典が無いので書きません。欄の決まりは、ハローワークの「職務経歴書の作り方」のパンフレットで確認したことだけです。
この記事でわかること
自己PRの欄は、職務経歴書の中で自分で選んで足す項目です。欄の決まりと、ていねいな文体で書くことがわかります。
仕事の棚卸しから、求人票と重なる強みを一つ選ぶ手順がわかるようになります。
根拠の場面に入れる三つ(何をしたか・期間・比べた相手)と、応募先の仕事での使い方の一文を書けるようになります。
面接では、欄と同じ事実で話しましょう。提出した職務経歴書のコピーを読み返す準備もわかります。
自己PRの欄には、何を書く決まりがありますか?
自己PRは、自分で選んで足す欄です。ハローワークの「職務経歴書の作り方」のパンフレットは、記載項目を自由としています。入れる決まりがあるのは、標題・氏名・日付・職務経歴の四つです。
| 確認すること | パンフレットの書き方 |
|---|---|
| 入れる決まりがある項目 | 標題・氏名・日付・職務経歴の四つ |
| 自分で選んで足す項目 | 自己PR・取得資格・志望動機など |
| 自己PRの欄に書く内容 | 性格や行動の特徴・仕事への姿勢や意欲・将来の目標など |
| 欄の見出し | 「自己PR」のほかに、「私の強み」「アピールポイント」などの書き方が例にある |
| 文体 | 職務経歴の欄は「〜を担当」のように名詞で終える。自己PRと志望動機の欄は、ていねいな文体にするとよいとされている |
自己PRの欄は、ていねいな文体で書きましょう。職務経歴の欄の文を、そのまま写すことはしません。
メモ
この記事では、強みを使った仕事の一場面を「根拠の場面」と呼びます。公的な定義のある言葉ではありません。何をしたか・いつからいつまでか・何と比べたかの三つを書いたものを指します。
この記事で扱うのは、仕事の経験がある人が、自己PRの欄と面接で使う形です。近い内容は、次の記事にまとめています。
- 職務経歴の欄の実績に数値を添える書き方:営業職の職務経歴書の書き方
- 職種を変える応募で、重なる経験を探す手順:未経験の職種への転職
- 新卒の学生がESに書く自己PR:自己PRが書けないときの素材の出し方
- 職務経歴書の全体の構成と書く順番:職務経歴書の書き方
強みは、棚卸しからどう選びますか?
強みは、仕事の経験から探します。パンフレットも、まず職務経歴を振り返って書き出し、そこから能力や長所、強みを整理するよう書いています。欄に書く強みは、求人票の仕事と重なるものを一つ選びましょう。
職務経歴を書き出す最初に
勤め先ごとに、時期・所属・役職・職務内容・実績を書き出します。パンフレットは、特別な経験があれば、受賞歴やプロジェクトの経験、特命業務なども書き出すとしています。社外の活動や、研修・資格の取得のような努力した経験も、同じ紙に書いてください。
四つの見方で、強みの候補を拾う次に
パンフレットが挙げる整理の見方は、次の四つです。
- 仕事で心がけたことや身につけたこと
- 努力して乗り越えたこと
- やりがいや達成感があった場面
- どの職務にも共通してできること
見方ごとに、思い出した場面を一行ずつ足しましょう。
候補に、短い名前を付ける候補が出たら
拾った場面のそれぞれに、「〇〇の段取り」「〇〇の確認」のように、何ができるかを短い言葉で付けます。パンフレットの17〜18頁には、強みを表す言葉の例が載っています。性格や行動の面と、ビジネス能力の面に分けた例です。言葉が出ないときは、そこから近いものを探してください。
求人票と重なる候補を、一つ選ぶ応募のたび
応募先の求人票の仕事の内容を読み、いちばん重なる候補を一つ残します。パンフレットは、記載内容が長くなると焦点がぼけるとして、メリハリをつけるよう書いています。一つに絞るのは、欄に書くことをはっきりさせるためです。
言葉が出てこないときは、自己分析チェック(80問)の結果も、言葉を探す材料に使ってください。
メモ
パンフレットの記載例には、強みを複数挙げているものもあります。一つに絞るのはこの記事の手順で、欄の決まりではありません。複数を書くときは、強みごとに、次の見出しの根拠の場面を一つずつ付けましょう。
根拠の場面には、何を書きますか?
書くのは、三つです。強みの言葉だけでは、その強みを使って何をしたかが書かれていません。選んだ強みを使った仕事の場面を一つ選び、次の表の三つを書きましょう。
| 書くこと | 書き方 |
|---|---|
| 何をしたか | 担当した仕事と、自分が決めたこと・変えたことを書く。チームで進めた仕事なら、自分が担当した範囲を先に書く |
| いつからいつまでか(期間) | 年月で書く。パンフレットは、年号を和暦か西暦のどちらかにそろえるとしている。職務経歴の欄の期間と同じ書き方にする |
| 何と比べたか(比べた相手) | 変える前のやり方・前年度・目標など、何と比べた変化かを書く。数値が出せないときは、変える前の手順と変えたあとの手順の違いを書く |
では、「調整が得意です」だけの文は、三つを入れるとどう変わるのでしょうか。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
例文:場面の無い文
調整が得意で、周囲から頼られていました。
例文:場面のある文
20XX年4月から1年間、複数の部署から来る〇〇の依頼の受け付けを担当しました。期限と所要時間で並べる一覧表を作り、期限を過ぎた依頼を、前年度の月〇件から月〇件に減らしました。
→ 場面のある例文には、何をしたか・期間・比べた相手(前年度)が入っています。場面の無い例文には、何を根拠に頼られたのかが書かれていません。
数値の添え方(何の数値か・期間・比べた相手)は、営業職の職務経歴書の書き方の記事を参考にしてください。取引先の社名や金額のように、社外に出せない情報の扱いも、同じ記事にまとめています。
職務経歴の欄の実績と同じ場面を使うなら、期間と数値は実績の欄と同じ値にします。文そのものは写しません。
実績の欄は何をして何が変わったかの記録で、自己PRの欄は、選んだ強みを応募先でどう使うかを書く欄です。この分け方は、この記事での整理です。
応募先の仕事での使い方は、どう書きますか?
求人票の作業を一つ選び、強みの使い方を一文で書きます。場面だけでは、過去の話で終わるからです。
パンフレットは、応募先が求めていることを、求人票や応募先のホームページから集めるよう書いています。そのうえで、応募先の中で自分の経験や能力を活かせることを整理するとしています。
求人票の仕事の内容を、作業に分ける最初に
求人票の仕事の内容を、作業の言葉で一行ずつ書き出します。
強みが使える作業を、一つ選ぶ次に
書き出した作業のうち、選んだ強みが使えるものを一つ選びます。見つからないときは、棚卸しの紙を読み直しましょう。応募先が求める経験の一部や、似たものを探す見方です。この見方も、パンフレットに書かれています。
使い方を一文で書く最後に
「この強みを、〇〇の業務の△△のときに使います」の形で、一文にまとめてください。どの作業の話かは、求人票と同じ言葉で書きます。
注意
パンフレットは、同じ内容を複数の応募先に使い回すのは適当でないとしています。応募先ごとに、使い方の一文を書き直してください。
応募先ごとに変えるのは、使い方の一文です。期間や比べた相手のような事実は、どの応募先でも変えません。
職種を変える応募で、求人の条件と経験の重なりが十分でないときの探し方は、未経験の職種への転職の記事にまとめています。
欄に書く形と、面接で話す形は、どう違いますか?
事実と順番は、同じです。違うのは、足すことと削ることです。
| 比べること | 職務経歴書の欄 | 面接 |
|---|---|---|
| 順番 | 強みを言い切る一文・根拠の場面・使い方の一文 | 欄と同じ順番で話す |
| 期間・比べた相手・数値 | 職務経歴の欄の実績と同じ値 | 欄と同じ値 |
| 足すこと・削ること | 長くなるときは場面の説明を削り、期間と比べた相手は残す | 欄に書ききれなかった工夫を足す |
職務経歴書の欄には、どう書きますか?
強みを言い切る一文・根拠の場面・使い方の一文の順に書きます。パンフレットの記載例にも、強みを一文で言い切り、その下に根拠を添える形のものがあります。
例文:欄に書く自己PR
依頼の優先順位を決め、期限に間に合わせる段取りが私の強みです。
20XX年4月から1年間、複数の部署から来る〇〇の依頼の受け付けを担当しました。受け付けた順に処理していたため期限を過ぎる依頼が出ていたので、期限と所要時間で並べる一覧表を作りました。期限を過ぎた依頼は、前年度の月〇件から月〇件に減りました。
貴社の〇〇の業務では、複数の案件の期限を一覧にして進行を管理する場面で、この段取りを使います。
欄の長さは、職務経歴書全体の枚数に合わせましょう。パンフレットは、職務経歴書をA4縦1〜2枚程度としています。自己PRで長くなるときは、場面の説明を削り、期間と比べた相手は残してください。
面接では、どう話しますか?
欄と同じ事実で話します。提出した職務経歴書を見ながら、面接で質問されることもあります。パンフレットは、完成した職務経歴書のコピーを面接の前に読み返すよう書いています。書いた内容と食い違う受け答えをしないためです。
最初に、強みを言い切る話し始め
欄の一文目と同じ強みを、最初に言います。
根拠の場面を、欄と同じ事実で話す次に
期間と比べた相手、数値があれば数値を、欄と同じ値で話します。欄に書ききれなかった工夫は、ここで足しましょう。
使い方で結ぶ最後に
欄の最後の一文と同じ、応募先の業務での使い方で結びます。
重ねて聞かれることを用意する前日まで
次の三つについて、答えを書いておいてください。別の場面でも使えたか・その強みが裏目に出たことはあるか・数値をどう測ったかです。
重ねて聞かれることは、面接対策150問の強みの分野で練習できます。
- Q11:強みを根拠と一緒に答える問い
- Q12:別の場面でも発揮したかを聞く問い
- Q13:強みが裏目に出たことを聞く問い
- Q14:強みを応募先の仕事でどう活かすかを聞く問い(使い方の一文に当たる)
- Q56・Q57:数値の測り方を聞かれる練習
メモ
150問は、新卒の面接向けに作った問いで、見本の答えは学生を想定しています。問いの形が転職の面接と同じものもあります。答えの内容を自分の職務経歴の事実に置き換えて、声に出す練習に使ってください。
転職理由や退職理由を聞かれたときの組み立て方は、転職の面接の記事にまとめています。
自己PRを出す前に確認すること0 / 6 完了
編集部
自己PRを書いたら、一度声に出して読んでみてください。説明が止まったら、その場面に期間と比べた相手が書けているかを確認しましょう。足りなければ、棚卸しの紙に戻ってくださいね。
質問と答え
強みが思いつかないときは、どうしたらいいですか?
四つの見方で、棚卸しの紙を読み直してください。ハローワークの「職務経歴書の作り方」が挙げる見方です。仕事の中で身につけたこと・乗り越えたこと・達成感のあった場面・どの職務にも共通してできることの四つです。言葉は、パンフレットの強みを表す言葉の例から探しましょう。
強みは、複数書いてもいいですか?
書く数は、自分で決めてかまいません。パンフレットの記載例には、強みを複数挙げているものもあります。複数書くときは、強みごとに根拠の場面を一つずつ付けましょう。職務経歴書全体がA4縦1〜2枚程度に収まるかも確認してください。
数値で表せない仕事でも、自己PRは書けますか?
書けます。変える前の手順と変えたあとの手順の違い・担当した範囲・期間を書いてください。数値を添えられる仕事の書き方は、営業職の職務経歴書の記事を参考にしてください。
面接で、職務経歴書に書いたのと違う話をしてもいいですか?
事実は同じにしてください。パンフレットは、提出した職務経歴書のコピーを面接の前に読み返すよう書いています。書いた内容と食い違う受け答えをしないためです。欄に書ききれなかった工夫を足すのは、かまいません。
参考にした資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確認したものだけを書いています。それぞれ、確認した日を添えました。
厚生労働省『職務経歴書の作り方』(パンフレット、令和5年5月)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
次に読む記事として、転職の面接の組み立てと、職務経歴書の実績に数値を添える書き方の記事を紹介します。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。