「このES、生成AIに整えてもらおうかな」。下書きを前にそう考えて、手が止まったことはありませんか。
インターンで聞いた話や、ゼミの仲間の名前を入れてもいいのか、出てきた文章をそのまま出していいのか、わからない。応募先の案内に決まりがあったかも、すぐには思い出せない。何から確認すればいいのか、迷いますよね。
先に、答えを書いておきます。使う前に、応募先の案内・大学の指針・サービスの利用規約で決まりを確認します。個人情報や、会社から受け取った公開されていない情報は入力しません。出力はそのまま出さず、自分の経験と資料で確かめてから使いましょう。
この記事は、ESや面接の準備に生成AIを使おうとしている人に向けて書きました。AIサービスの名前や指示文の例は載せません。会社が選考で生成AIの使用をどう扱うかは、外からはわからないので書きません。注意点は、個人情報保護委員会と文部科学省の資料で確認したことだけです。資料と確認した日は、末尾の「参考にした資料」にまとめました。
この記事でわかること
生成AIを使う前に確認する決まりは、応募先の案内・大学の指針・サービスの利用規約の三つです。
入力しないものは、個人情報・会社から受け取った公開されていない情報・使用を禁じられた選考の課題です。
出力を、自分の経験・一次の資料・自分の言葉の三つで確かめてから使う手順がわかるようになります。
面接で使い方を聞かれたときの答えは、面接対策150問のQ86〜Q90で練習できます。
使う前に、何を確認しますか?
確認するのは、三つの決まりです。応募先の案内・大学の指針・使うサービスの利用規約を、次の表の時期に読みましょう。
| 確認するもの | 読む時期 | 読む場所と、決まりがあったときの扱い |
|---|---|---|
| 応募先の案内 | ESや課題に取りかかる前 | 募集要項・ESの設問や注意書き・選考の課題や受検の案内。使ってよい範囲や、使ったことを書く欄が示されていれば、そのとおりにする。使わないよう書かれていれば、その選考では使わない |
| 大学の指針 | レポートやゼミで使う前 | 大学が学生に示している、生成AIの扱いの指針。あれば、使う前に読む |
| サービスの利用規約 | 使い始める前 | 利用規約とプライバシーポリシー。入力した内容がどう扱われるかを読む |
文部科学省の周知は、大学・高専が生成AIの扱いの指針などを学生に示すことが望ましいとしています。個人情報保護委員会の留意点は、利用規約やプライバシーポリシーを確認するよう挙げています。入れる情報の内容を踏まえて、使うかどうかを判断することも挙げています。
案内の意味がわからないときは、自分で決めずに、案内の問い合わせ先に問い合わせてください。
メモ
確認した決まりは、応募先ごとのメモに、確認した日と一緒に書いておきましょう。問い合わせのメールの書き方は、就活のメールと電話の記事にまとめています。
生成AIに入力しないものは、何ですか?
入力しないものは、三つです。どれも、下書きを入れる前に外します。
| 入力しないもの | 出てくる場面 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 自分や他人の個人情報 | 下書きを入れる前 | 名前・大学名・連絡先・学籍番号は、〇〇に置き換えてから入れる。ゼミやアルバイト先の人の話は、誰のことかわからない形に書き直す |
| 会社から受け取った、公開されていない情報 | インターンや説明会のあと | インターン・説明会・OB・OG訪問で受け取った資料と、社員から聞いた公開されていない話は入れない。資料に扱い方の決まりが書かれていれば、それに従う |
| 使用を禁じられた選考の課題 | 課題を受けたとき | 選考の課題(Webテスト・作文など)の案内で生成AIの使用が禁じられていたら、その問題も答えも入れない |
表の三つは、二つの公的機関の注意を踏まえて決めました。個人情報保護委員会は、令和5年(2023年)6月2日に、生成AIサービスの利用についての注意喚起を出しています。一般の利用者向けの留意点では、入力した個人情報がAIの学習に使われるおそれを挙げています。
学習に使われた情報が、ほかの情報と結びついて出てくるおそれも、留意点の一つです。その内容は正しくないこともあるため、こうしたおそれを踏まえて入力するかを判断するよう呼びかけています。
文部科学省が令和5年7月13日に大学・高専へ出した周知も、入力の注意を挙げています。機密情報や個人情報が意図せず外に出るおそれがあるとして、安易に入力するのは避ける必要があるとしています。
ポイント
文部科学省の周知は、生成AIによっては、入力した内容を学習に使わせないこと(オプトアウト)ができるとしています。オプトアウトをしていても、表の三つは入力しません。
出力は、どう確かめてから使いますか?
確かめ方は、三つです。文部科学省の周知は、文章を作る生成AIを、次に来る見込みの高い語句を確率的に選んでいくものだと説明しています。そのため出力には、事実と違う内容や偏りが入るおそれがあるとしています。
検索の結果と同じく、内容を確認して裏付けを取る必要があるという指摘です。個人情報保護委員会の留意点も、応答の中に正確でない内容が入ることがあるとしています。出力は、次の三つを済ませてから使いましょう。
自分の経験と突き合わせる一つ目
出力を一文ずつ読み、手元の記録と突き合わせます。チェックするのは、次の三つです。
- 自分がしていないこと
- 担っていない役割
- 確認していない数字
記録で確かめられない一文は、消すか、記録にある事実に書き換えます。
事実を一次の資料で確かめる二つ目
会社の事業・制度・数字は、出力から写さず、会社の公表資料や採用ページで取り直します。国の制度や日程は、公的機関のページで確認します。会社の情報の調べ方は、企業研究のやり方の記事を参考にしてください。
自分の言葉に直す三つ目
ふだん使わない言い回しは、自分が話すときの言葉に置き換えます。直したら声に出して読みましょう。面接で同じことを自分の言葉で話せるかを、ここで確かめます。
三つを済ませると、文はどう変わるのでしょうか。
例文は実在の人物・企業のものではありません。
例文:出力をそのまま出した文
新人の教育の仕組みを作り、店舗の売上の向上に大きく貢献しました。
例文:三つの確かめ方を済ませた文
新人に教える手順を紙にまとめ、〇〇の作業を一人で進められるようにしました。
→ 直した例では、「売上の向上に大きく貢献」という言い方を外し、新人に教える手順をまとめたという、自分がした作業だけを書いています。
文部科学省の周知は、出力をそのまま用いてレポートなどを作ることを、一般に不適切と考えられるとしています。自分の学びを深めることにつながらない、というのが理由です。出力に既存の著作物がそのまま入っていて、気づかずに使うと剽窃にあたるおそれも挙げています。
この周知は、大学の学びについてのものです。ESにも同じ手順を当てるのは、この記事の考え方です。
ES・自己PR・ガクチカでは、生成AIに何を渡しますか?
渡すのは、自分で書いた下書きだけです。素材は、自分の経験から出します。
素材の出し方は、自己PRとガクチカの記事にまとめています。自己PRの記事には、下書きを生成AIに直してもらうときの線引きも書いています。
メモ
ESを出す前のチェックには、ESの書き方の基本の記事のチェックリストを使ってください。生成AIを使ったESも、同じリストで確認します。
面接で生成AIの使い方を聞かれたら、どう答えますか?
材料は、実際に行った場面です。ここまでの手順を自分で行った場面を、答えに入れます。
面接対策150問には、生成AI・情報感度(Q86〜Q90)の分野に5問を入れています。問いごとに話すことを、次の表にまとめました。
| 問い | 話すこと |
|---|---|
| Q86(使っているか、どんな用途か) | 使っている場面を一つ挙げ、何のために使い、出力をどう確かめたかまで話す。使っていなければ、そのことと、調べものや文章を確認するときにしていることを話す |
| Q87(出た内容の正しさの確かめ方) | 確かめる手順を順番に話す。何を一次の資料で取り直すか・確かめられなかったときの扱い・どの資料で確認したかを入れる。誤りに気づいて直した場面があれば、一つ添える |
| Q88(任せないと決めている作業) | 任せないと決めている作業と、そう決めた理由を話す |
| Q89(守っているルール) | 入力しないもの・出力の確かめ方・従っている決まりを、実際に行った場面と一緒に話す |
| Q90(自分の価値はどこにあるか) | 結論・理由・自分の経験の場面・もう一度結論の順に話す。自分が担える部分を具体的に一つ挙げ、気持ちの言葉だけで終わらせずに、実際にやったことを入れる |
例文:Q88(任せないと決めている作業)の答え
経験の中身は自分で書くと決めています。面接で、自分の言葉で話す内容だからです。
Q89は、決まりを言うだけで終わらせず、実際に行った場面まで話します。違いは、次の例文のとおりです。
例文:続きが足りない答え
個人情報は入れないように気をつけています。
例文:決まりと場面まで話した答え
三つ決めています。一つ目は、名前や連絡先、インターンで受け取った資料を入力しないことです。二つ目は、数字と会社の情報を、会社の公表資料で取り直すことです。三つ目は、大学や応募先の決まりに従うことで、ゼミのレポートでは大学の指針を読んでから使いました。
→ 場面まで話した例には、入力しないもの・確かめ方・従っている決まりと、実際に行った場面が入っています。
答えを組み立てたら、150問の問いを読んで、声に出して答えてください。重ねて聞かれたときのために、使った場面をもう一つ用意しておきます。
生成AIを使う前と、出す前に確認すること0 / 8 完了
編集部
生成AIを使ったら、何に使い、どこを自分で直したかを、その日のうちにメモに残してください。面接で守っているルールを聞かれたときに、実際の場面と一緒に答えられます。
質問と答え
ESを生成AIで書いてもいいですか?
応募先の案内に決まりがあれば、それに従います。決まりが無いときも、経験の内容は自分で書きます。出力はそのまま出さず、自分の経験と一次の資料で確かめ、自分の言葉に直してから使います。
生成AIを使ったことを、ESに書く必要はありますか?
応募先の案内に、使ったかどうかを書く欄や決まりがあれば、それに従います。案内に無く、どうするか迷うときは、案内の問い合わせ先に問い合わせます。
面接で「生成AIは使っていません」と答えてもいいですか?
使っていなければ、そのまま答えます。そのうえで、調べものや文章を確認するときにしていることを話します。面接対策150問のQ86とQ87で練習できます。
入力した内容を、AIの学習に使わせないようにできますか?
文部科学省の周知は、生成AIによっては、入力した内容を学習に使わせないこと(オプトアウト)ができるとしています。使うサービスの利用規約とプライバシーポリシーで確認しましょう。オプトアウトをしても、この記事の手順では、個人情報や公開されていない情報は入力しません。
参考にした資料
制度・日程・法律についての説明は、次の公的機関のページで確認したものだけを書いています。それぞれ、確認した日を添えました。
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
https://www.ppc.go.jp/
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(別添1、令和5年6月2日、PDF)
https://www.ppc.go.jp/
文部科学省「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」(令和5年7月13日)
https://www.mext.go.jp/
文部科学省「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて(周知)」(事務連絡、令和5年7月13日、PDF)
https://www.mext.go.jp/
ESの書き方の全体と、自己PRの素材の出し方は、次の二つの記事にまとめています。
この記事の内容を、自分の場合に当てはめて相談したいときは、ページの下の案内から申し込めます。